北九州市立小森江西小学校

○インターネット利用状況

 平成 9年 6月 インターネット利用推進協力者会議(文部省事業)推進協力校として参加。

       7月 パソコン委員会による「ホタル情報」を、本校のホームページ上で公開。

       8月 オーストラリアの小学校と交流のための準備開始。

       9月 東京都鳩森小学校とネットワークディベート実施(5年生)。

      10月 校内研究 2年生 生活科「どうぶつえんをたんけんしよう」

            全国の動物園のホームページ検索。

            メールによる質問と回答。 

            HTML形式によるまとめとホームページによる発信。

      11月 校内研究 4年生 国語科「方言劇をつくろう」

            メーリングリストに協力の要請。

            大阪・宮崎・富山・山梨の4件の協力者と交流開始。

      12月 インターネット利用推進協力者会議の実践の一環として、北九州市泉台小学校と、交流開始。

           (3年生社会科)

 平成10年 1月 北九州市ホタル会議で、本校のホームページ紹介。

            ホームページを通して交流が始まった数名のホタル飼育者との交流メールの紹介。

       2月 新100校プロジェクト発表会開催。130名参加。

○平成9年度の成果と課題

  本年度は、各学年学級が日常的にインターネットを活用することができた。そのため、高学年では、自らメールの送受信を行える児童が増えてきた。また、本校のホームページの一部である「学年・学級のページ」に関心を寄せる学級も増え、作品の発表の場として活用することもできた。 小学校の授業において、ホームページの検索およびその利用について、次の点で問題が多いことがわかってきた。 

   ・小学生では読めない漢字が多く、また、読めても意味がつかめない。

   ・検索ページでリンクをたどっていっても、目的のページにたどり着かないことが多い。

   ・検索語のでの検索でも、目的のページを見つけるまで時間がかかりすぎる。

  以上のような理由から、本校ではホームページを検索利用させるときは、できるだけ事前に教師がリンク集を作ってその中で自由に閲覧させたり、1時間で利用するページを限定しておいたりする手だてをとっている。

  今後の課題の第1は、ホームページで何ができるのかという問題について模索している。小学校でしかできないもの、各学級や学年独自のアイデアを生かしたホームページづくりに取り組んでいこうとしているところである。

  第2は、職員のネットワーク活用能力の向上である。本校では、インターネットの環境が整って3年になりますが、残念ながら全職員が日常的にインターネットを自由に活用しているとはいえない。これは、職員の移動・職務の多忙・設置場所の不便さなどいろいろと原因は考えられる。本年度、回線をデジタル専用線に変更していただいたのを機に、校内LANを構築し、「ネットワーク活用」の環境づくりに努めた。できれば各教室に校内LANの形が整えばよいと思うが、これは予算面での障害があり、現在は不可能である。学習中に児童とともに慣れていくことも大切だが、さらに積極的・日常的な職員による活用が今後の課題だと考えている。

  第3は、E-mailの積極的活用である。ホームページの検索については、その問題点が明らかになってきた。逆に、メールの有効性についての関心が高まってきた。授業の中でメールをさらに有効に活用できないかということである。場合によれば、漢字ばかりのホームページよりも、メールの方が低学年では有効な場面が多いように感じる。

  以上のような点について、さらに研究を進めていこうと考えている。

○新100校プロジェクトに参加して

  平成9年10月に、専用回線をアナログからデジタルに変更していただいた。以前は、コンピュータ室にクライアントマシンが1台の環境であったが、接続速度の改善を機に、校内LANを構築することを計画した。本校所有のマシンと個人所有のマシンの計3台を教師用として職員室に設置した。(パソコン室より職員室まで10BASE−Tを配線し、4ポートのHUBにより分岐)校内LAN構築にあたっては、地元企業より、必要機器の貸与や部品の無償提供などのサポートや、本市のコンピュータサークルや大学の先生方の技術支援をいただいた。

  校内LAN構築により、情報教育担当教師だけでなく全職員が自由にインターネットを活用することができるようになった。メールアドレスの配布により情報の収集や交換が個人レベルでできるようになり、担当教師の負担が軽減されるとともに、授業での活用の幅が広がってきた。また、ホームページ作成に関する関心が高まり、各クラスが独自のホームページ作成を試みている。職員室にインターネットに接続できるクライアントマシンがあることは、「習うより慣れろ」の言葉通り、テキストによる研修会の何倍もの効果を生んでいる。

  本年度の研究のまとめとして、平成10年2月6日(金曜日)に、「新100校プロジェクト研究発表会」を開催した。研究主題は、「自ら課題を発見し、追究する授業の創造」(子どもの力を引き出す情報教育)である。5年生2クラスのインターネットを活用した公開授業の後、授業に関する分科会では活発な意見交換が行われた。また、全体会では本校の研究に関する基調提案の後、北九州ネットワーカーズフォーラム代表の土谷重幸氏より、「学校教育におけるパソコンの活用」という演目で講演をいただいた。参加者は、県外からも含め、130名あり、分科会、全体会とも大盛況であった。

  北九州市では、まだ横のつながりが弱い。担当者同士はよく知っているのだが、その学校の職員までその和はまだ広がっていない。まず、北九州内および近郊の学校同士のつながりを深めることが急務だと思う。そして、各学校が蓄積している情報を共有することから始めなくてはいけない。たとえば、カリキュラムに応じた児童のためのリンク集の共同作成。児童の作品集・作品展の共同開催と相互評価。保健や体育的な記録の公開。などが考えられる。今後、本校がその中核になるべく、研究を積極的に進めて行かなくてはいけないと感じている。

  インターネットは、自分の住んでいる地域を見つめ直すため、または、感動を共感するための道具として、今後さらに有効利用されることだろう。本校も、さらに研究・実践を進めて行かなくてはいけない。新100校プロジェクトに参加することで明らかになってきた研究の成果や今後の課題については、本校だけでなく本市全体に広めていく必要性を感じている。充実した1年間を支えてくださった関係者の皆さまに感謝したい。