京都府立商業高等学校

○ インターネット利用状況

・京都総体での取組

 (1) 京都総体用ホームページの充実

   平成9年度全国高等学校総合体育大会(京都総体)における概要やガイド・大会日程・競技会場地(京都市以南)・参加者への宿泊案内等、京都総体に関する内容のホームページの作成を「課題研究」を中心に取り組み、充実を図った。

 (2) 競技結果集計処理

   本校が京都府記録センターとしての役割を担当し、京都府内の各競技会場からFAXで送られてくる競技結果等をネットワークを利用し、別会場にあるプレスセンターで検索できるというイントラネットを利用したシステムを今回初めて試み、報道員にコンピュータ検索により記録提供を行なった。このことにより、約50万枚の記録用紙を節約することができた。

   さらに、上記の処理と同時並行して、各競技会場からのFAXをもとに、全競技結果について入力し、インターネットにおいても一般の方々に速報として競技記録の提供を行った。インターネットでの速報については、本校で集約したものを京都府のサーバに登録するという方法をとったが、全競技結果のデータを正確に、そして、定時に情報提供できるように心掛け、10万件を超えるアクセスがあり大好評であった。

・「課題研究」におけるホームページの作成

  電子出版という題で、インターネットの歴史、ホームページの作り方やマルチメディアの使い方といった内容の「課題研究」におけるホームページを作成した。後期については、ホームページ作成用ソフトを利用し取り組んだが、細かい部分の調整についてはやはり、HTMLの知識が必要であった。今後もHTMLについては、基礎的な知識の指導は必要だと考えている。

・外部情報の収集・加工・分析、およびプレゼンテーション

  「情報処理」「経営情報」の授業等で、インターネットから様々な統計資料を取り出し、表計算ソフトを利用して、グラフ化をするなど情報の分析を行い、さらに、プレゼンテーションソフトも活用し、その分析した内容を発表するという取組を行った。

・インターネットを利用した英語学習

  「リーディング」の授業で、教科書に童話「シンデレラ」にはアメリカ版とヨーロッパ版があると書かれていたので、電子メールを利用して調査を実施し、また、アメリカ版・ヨーロッパ版それぞれに対する好みがあるので、他の国々の人々はどのように考えているかの、意見交流を図る取組を行った。

  その結果、13カ国の人からの様々な情報を入手することができ、インターネットと英語を利用することによって、他の国々の人々と積極的にコミュニケーションを図ることができた。

○平成9年度の成果と課題

・成果

  従来は、商業科の科目を中心に取り組むことが多かったが、職員室等からもインターネットにアクセスできる環境が整っていることにより、多くの教科の教員が、インターネットを通じて、情報収集を行い、それを教材として授業の中に取り入れている。

・課題

  平成9年夏に、コンピュータシステムのリプレースを行い、Windows95で利用できるパソコンも増え、また、314台のパソコンやワープロ等の内、約8割を校内LANに接続し、パソコン実習室や職員室・各準備室からでもインターネットにアクセスできる環境を整えている。しかし、本校の場合、会計科5クラス、情報処理科2クラス、流通経済科1クラス、国際経済科1クラスの1学年9クラス規模の単独制の商業高校であり、全学科とも、情報教育には力を入れていることもあって、最新機種の揃ったパソコン実習室はほぼ満杯の状況である。商業科では「情報処理」等の授業の中で、インターネットの利用について取り扱うことが多く、普通教科においては、生徒にインターネットの実習をさせながら利用するということは、非常に少ない。今後は、商業科だけの利用でなく、普通教科での利用、特に英語科での利用も考え、パソコン実習室の運用については、工夫が必要だと考えている。

  ネチケットについては、外部講師を招くなど授業の中でも取り組んでいる。放課後の利用についても、パソコン実習室については、原則として担当教員がつくことにしており、生徒についても十分に注意を促しているため、現状では、モラルは守られていると考える。しかし、授業でのインターネットの利用が増えるとともに、放課後の利用も増えることは確実であり、今後もモラルを守ったインターネット利用ができるように、注意する必要があると考えている。

○新100校プロジェクトに参加して

  平成6年に京都で開催された全国産業教育フェアでインターネット紹介の取組をし、その当時は、インターネットに接続するだけで大変苦労したが、一般の方々にも興味を持って見ていただいた。その後も、京都府立高等学校展において、インターネットの紹介を行っており、平成9年についてもインターネット体験コーナーを設けたが、以前と違い生徒補助員の補助がなくても、一般の方々が自由に操作されるようになってきており、インターネットの急速な普及を感じ取ることができる。

  また、本校では学校開放講座で「パソコン教室」を実施しており、講座の後半には、インターネットに関する講習も取り入れている。参加者からの関心も高く、インターネットについての講習を継続して希望される方も増えている。

  生徒の利用では、就職希望者が会社を選ぶのに、インターネットを利用して会社研究を行い、実際受験する際には、その会社の地図を取り込み、受験に行く際に役立てるなどといった使い方をすることもある。進学の場合でも、大学等のホームページにアクセスし、参考にする生徒も多い。また、通産省の情報処理技術者試験の合否結果をインターネットで確認するなど、教育としてのインターネット利用の上に、生徒の実務的にインターネットを利用するケースも増えてきている。

  教員の利用では、各種研究会等の案内も、まず、電子メールを利用し、従来よりも早く伝達できており、後程、公文書を送るということも多くなってきた。

  平成9年10月から京都府教育情報ネットワークが始動した。京都府総合教育センターを拠点とし、本校(京都市伏見区)と府立工業高校(福知山市)を南部と北部のサブ拠点として、3年間で、高校や養護学校など府立学校を高速専用回線で接続し、さらに、京都府下の小・中学校も通信網に入れる計画である。このことにより、本校でも高速回線を利用することが可能となり、従来よりも、インターネット利用も楽になり、さらに、利用も増加していくものと考える。この恵まれた環境を生かし、教育におけるインターネットの活用について、さらに研究をしなければならないと考えている。