前橋市立第四中学校

インターネットの利用状況

校内での展開

 「1人1実践」の取り組み

  インターネットは子どもたちの学習の手段であり、環境である。それを子どもたちに保証するには、学校生活の様々な場面でインターネットを用いた子どもたちの主体的な活動がなされるべきである。そのためには、子どもたちに関わる我々教員がインターネットという新しい学習の手段の特質を理解し、それを毎日の授業の中でいかに有効に活用するかを考えないと、学校全体での取り組みにはいたらない。

  そこで、広い意味での情報教育の必要性や、授業形態の工夫、教師自身の情報化への対応の必要性などをます、教員が持つことを目的に、実際に1人1研究として個別にテーマを設定し、授業実践を行う研修を行った。教科担当とは、どの場面にどのように課題解決等、生徒主体の活動を位置づけ、その解決の手段としてどうインターネットを活用するか、という計画の段階から話し合いを行い、授業の準備段階から継続的に支援を行った。

  その結果、ほとんどの教員がインターネットを活用した授業実践を行い、インターネットを使って自主的に課題解決を行う子どもたちの生き生きとした姿や反応を直に感じることで、学習へのインターネット活用の意味や課題について自分自身の問題として認識することができるようになった。

地域への展開

 前橋市教育情報ネットワーク(menet)

  こうした四中での実践の成果は、過去3回にわたって開かれている、本校の公開研究会で公開されてきた。そして、その成果を地域に広めるべく、前橋市教育情報ネットワーク(menet)が構築された。こうしたネットワークの構築は、今後多くの自治体で実施されると思われるが、前橋市のネットワークの大きな特徴としては、先に述べた様に、利用の主体は子どもたちであることを基本理念としたネットワークの構築がなされていることにある。そのため、学校へのインターネットの接続は基本的に20〜40台のLAN間接続であり、それぞれの学校で柔軟に運用できるようにインターネット接続のための専用のサーバーが設置されている。そして、各学校は前橋市総合学習プラザのファイヤーウォールの内部に接続され、子ども同士が様々な交流を行いながら、徐々にインターネットの世界に飛び出していけるようになっている。また、イントラネットの機能を生かした様々なプロジェクトやビデオカンファレンスなども予定されている。

  更に学校のネットワーク環境の管理や、学習への利用支援などをプラザで一括して行うことで、学校の管理者の負担を低減しつつ、自由度の高い柔軟な運用ができるようになっている他、それぞれの学校の担当者への研修を週に1回行い、情報交換を行いながら、その意識を高めていった。こうしたシステムの基本的な考え方には、この100校プロジェクトで行われた様々な支援体制や運用がモデルになっている。

インターネットつなぎ隊(GIVE)

  前述したように、それぞれの学校を接続するだけでなく、その利用の支援を行う上でも教育委員会などがそのための組織を持ち、運用することは重要である。しかし、残念ながら学校にも行政にも、こうした大規模なネットワークを構築・運用するだけの技術力はないのが実状である。しかも日々変化するインターネットの世界や、子どもたちからの要求に応えるには、できるだけトップダウンでなくボトムアップの活動が必要になる。本校では、校内のLAN工事をボランティアの方たちの協力を得て行ったが、その後そのメンバーを中心に「インターネットつなぎ隊」が発足し、行政と学校への支援活動を行っている。インターネット接続で最も重要な「人」の問題の解決のための方策として、地域のボランティアとの連携は重要なテーマの一つであると考えている。

世界への展開

 日本人学校スクールニュースプロジェクト

  現在世界中に83校の日本人学校等の在外教育施設があるが、その多くがインターネットに接続されている。そこで、そうした日本人学校同士で共同のプロジェクトを実施するために、本校では「スクールニュースプロジェクト」を実施している。これは毎月1回、共通のテーマをもとに、参加校がスクールニュースを作成し、それをお互いに見て意見や感想・質問などを交換しあいながら交流を深め、身近な生活のレベルからの真の国際理解教育を行おうというものである。今まで、国際交流というとどうしても英語など言葉の壁が存在し、文化や生活習慣といった深い内容まで議論が進まなかったが、お互い同じ年齢の中学生としての視点で、しかも日本語で交流できることが本プロジェクトの大きな特徴である。

平成9年度の成果と課題

  今年度はインターネットというすばらしい環境を学校、地域、そして世界へと広げ、本校の今までの実践を共有しつつ広めていくことができた。

  特にインターネットを広めるというと物理的な接続を意味することが多いが、より重要なのはそれをどう使うかというアプリケーションの問題であり、それを支えるのは人である。その人が学校や地域、そして世界中の日本人学校で徐々に育ちつつあるのが一番大きな成果だと思っている。

  しかし、こうした取り組みが、それぞれの学校や自治体でバラバラに行われているのは、非常に効率が悪いし、これから全国展開を図る際の障害にもなると思われる。教育用ドメインの問題も含め、全国的な活用のための支援を行ったり、カリキュラム開発やプロジェクトの企画・運用を行うための組織の設立が強く望まれる。