沖縄県立美里高等学校

○ネットワークの利用状況

 概略

  今年度について言えば、残念ながら前年度にくらべ低調であったといえるだろう。とくに積極的に利用する生徒が見られなかったのが気になる。ネットサーフィンをする生徒は、確かに増えてはいるが、自ら情報発信を試みる生徒は少なかった。これには、いくつか理由は考えられるが、教師の側の働きかけが、依然として大きい比重を占めているといえる。

  メールの利用は、英語科の教師を中心に確実に増えており、またこれまでにない新しい動きも見られた。

  1) 修学旅行ネットワーク構築の試み

    沖縄へ修学旅行にくる学校間をネットワークで結んでみようという意図で企画したのであるが、完全に企画倒れに終わっている。参加校は20数校に及んでいるにもかかわらず、肝心のメーリングリストへの投稿は、初期のころを除いてほとんどなされない状態である。参加希望の高校があるわけだから、決して需要がないわけではない。問題はどのような指向で参加しているかであろう。沖縄へ修学旅行に来る学校間で情報交換してほしいのだが、あまり  そういう意識はないようだ。

     失敗に学ぶのも大事だ

    失敗した企画は、何が問題だったろうか?

    ひとつには、この企画を立案した私とメーリングリストに参加したメンバーとの間に意識のずれがあった。メンバーの多くは、おそらくこのメーリングリストに参加する事により、何らかの有益な情報を得られると考えたのかもしれない。あるいは、沖縄で交流できる地元の学校の情報がえられると考えたのかもしれない。しかし、これは無理な注文である。沖縄県内でインターネットに接続している高校は、皆無であり、UCHINA(メーリングリスト)に参加している教員もすべて美里高校の職員だけという、現実がある。しかもほんの数人である。したがって私がこのメーリングリストで考えたのは、やって来る学校間での情報交換であり、相互の経験の共有であった。お互いが経験を分かち合う事で、累乗的に旅行の効果が高まる事を期待したのである。意図がうまく伝わらなかったようだ。

  2)授業の実践

    去年にならって、慰霊の日にちなんだ授業を試みた。

    今回は、授業案もつくり、掲載した。しかし、どうしても電子紙芝居の域を抜けきれない。 かぎられた時間では、生徒のアクセスは限界があるし、どうしてもこれだけは教えたいという欲が働くから、教師の側が盛りだくさんに内容を盛り込んでしまう。

  3)他校職員の利用

    今年になって、インターネットもそろそろ身近な存在になってきたのだろうか、近隣の高校から何名かの先生が、美里高校の設備を利用するようになった。インターネットにアクセスできる学校が周辺にはないこともあって、本校でメールを利用する先生がいた。また、サーバを保有しているという事で、本校のサーバを利用して、自己開発した教材(Shockwaveを利用)を研究発表した先生もいた。これは、これまでにない新しい動きである。

  4)夏休み、教育工学研究会の主催で、インターネット講習会を行った。かなりの先生が参加し、盛況であった。テキストとして宇部高専のページを利用した。

  5)サーバ構築の講習会を試みた。しかし、参加者が少なく失敗といえる結果になった。サーバの管理者の養成は難しい。

  6)アトランタの高校生(日本語クラス)とのメールなどで交流。

   まだまだ、始まったばかりだが、先方のコンピュータ環境が整いしだい電子メールでの交流を行う予定である。現在は、紙のメール(はがき、封書、ファックス)が中心。

   ちなみにあちらの責任者は、本県出身の女性である。

  7)授業での利用

   3年生総合選択で、ウエッブページの作成を試みた。しかし残念ながら。3学期からの取り組みで、時間不足のため公開するまでに至らなかった。

○平成9年度の成果と課題

  1) 正直いって今年度は、成果といえるほどの成果がなかった。

    しかし、来年度への課題はいくつか見えてきたといえるだろう。

  2) 県内にもようやく、いくつかインターネットに接続する学校が増えてきた。美里高校は、目覚しい成果を収めてきたわけではないが、少なくとも県内他校より経験は積んでいる。今年は、県内他校との交流を通して、これまでに得られた経験を共有するようにしたい。

  3) 最近、WWWの利用者が増えてきた。いかがわしいサイトも以前にくらべ異常に膨らんでいる。これまで生徒への個別的な教育や規制で対応してきたが、どうやら限界にきている。フィルターの利用も含めて、何らかの基本的の方法を確立すべきであろう。

  4) 学校内だけの利用にとどまらず、外に向けて何らかのサービスを提供できないか、考えてみたいと思う。たとえば今回、依頼を受けて生物研究会のメーリングリストを作ってみた。責任者の先生にメンバーの登録方法などをメーリングリストの管理の仕方を教えている。せっかくのシステムなのでオープンな形での活用を考えたい。

○平成10年度以降はどうなるか

  ようやく新しい接続先のめどがたってきた。しかし、まだまだ予断は許されない。もう少し山あり谷ありの状況が続きそうだ。来年度の接続がうまくいったとしても、さらにそれ以降については、まだまだ流動的である。また、接続できたとしてもサーバの管理の問題がある。それまでの責任者が転勤した場合、うまく引継ぎできるか微妙であろう。管理についても、他校の教師も含めて管理グループのネットワークが必要ではないかと思われる。インターネットに接続する学校が増えるにつれて、相互の交流がますます頻繁にかつ緊密に行われると思うが、その過程でネットワークの重要性が課題として浮かび上がってくるだろう。

  文責:100校プロジェクト責任者兼サーバ管理者 本村金三