宮城教育大学附属小学校
○インターネット利用状況
本年度は,新100校プロジェクトに参加し,5つの重点企画を中心に取り組んできた。
その概要について以下にまとめていく。
1 情報手段としてネットワークを活用する企画
(1)ねらい/目的
・これまでの情報手段では,得られないようなリアルタイムの情報や広範囲からの情報を収集することで科学技術の進展に気付かせると共に子どもたちの情報活用能力を一層高める。
(2)実施状況
a.4年理科「流れる水のはたらき」
・仙台を流れる七北田川(本校でホームページを作成)と岐阜県の長良川の様子(Webから)を比較することを通して,流水の三作用(浸食,運搬,堆積)に気付かせることができた。
b.3年理科「こん虫のからだをしらべよう」
・「ちびなび」(検索サイト)から「虫」に必要な情報を事前に取り込み調べさせた。
この実践では,子ども一人一人に学習カードをもたせることを合わせて行った結果,子どもの課題意識が持続できる。
c.4年国語「方言」
・方言そのものを調べたり,これまでに学習した物語を自分の地方の言葉で表現したりするなどという活動をさせた。方言に関するホームページの中から自分で調べてみたい地方の方言を様々選択させて,興味関心に応じて進んで,調べることができた。
d.6年社会「日本と関わりの深い人々」
・世界の国々にある日本人学校と交流し,その国の気候や文化など文献資料ではなかなか調査できない内容でも電子メールで質問するなどして調査することができた。
(3)インターネットを活用した教材研究など
a.検索サイトでの情報の選択・教材研究に(yahoo,inforseek)など
b.オンラインソフトのダウンロード
c.校内研究に関わる情報検索(文部省から審議会答申など)
d.天気予報(学校行事実施に関わって)
e.メーリングリストでの情報交換(日本人学校メーリングリストなど)
f.オンラインショッピング(教育関係の書籍など)
2 児童活動を活性化する企画T ( ’97 子どもギネス大会)
(1)ねらい/目的
・全国から情報を得られる利点を生かして,児童会活動で企画したギネス大会の記録を集約して,他の小学校にも参加を募集して交流を広げる。
(2)実施状況
・「 ’97子どもギネス」について,本校の「いずみ委員会(児童会)」で話し合い,本年度は,他校にも広めて競い合い,交流を広げようということ内容の話し合いがなされた。そして,ルールと内容についてホームページで公開しインターネットを通して参加の募集をし,他校との交流を図ることができた。
3 地域社会との交流を促進する企画(ぼくのまち わたしのまち)
(1)ねらい/目的
・自分たちの住む町(地域)の特色(気候,郷土の偉人,伝統的行事,イベントなど)をまとめホームページに集約していくことで,自分たちの住む町(地域)のよさに気付かせると共に,他の地域との交流に発展させる。
(2)実施状況(ホームページの内容)
a.3年総合学習「ふるさと仙台の行事」
・世界中の子どもたちにインターネットで募集した「願いごと短冊」の内容
・仙台の伝統的な行事について(どんと祭,小正月,青葉祭り,光のページェント)
b.4年総合学習「川とわたしたち」
・仙台を流れている七北田川の上流・中流・下流の調査活動の様子
・研究発表会の様子(七北田川マップ)
c.5年総合学習「身近な環境」
・各県の銘木や木材の輸出入量,樹木や環境との関わりについての情報リンク集
・1年間の調査活動や研究発表会の様子
d.6年総合学習「仙台に生きるわたしたち」
・仙台城,通りや町名の由来,寺社の歴史,江戸時代の用水路について
・海外日本人学校とのE−mailでの交流内容
4 総合学習(3年「仙台七夕に願いごと短冊を飾ろう!」の活動を通して)
(1)ねらい/目的
・インターネットを通して呼びかけて「願い事」を短冊にして「仙台七夕」に飾り,地元の伝統行事への多くの参加を促す。
(2)実施状況
・「七夕の短冊」募集のページを立ち上げ参加を呼びかけた結果約130件を越える応募があり,世界中の子どもたちからのメッセージを短冊にして飾ることができた。
(http://csr200.ipc.miyakyo-u.ac.jp/activ/tanzaku/kazari.html)−短冊が掲載されています
5 児童活動を活性化する企画 (〜新聞委員会の活動〜)
・本校の新聞については,ホームページに掲載することができたが,他校との交流については,今後の課題である。
○平成9年度の成果と課題
・新100校Pの「企画」については,どの企画も他校との十分な交流とまでは発展させることができなかったが,来年度以降も継続して実践に取り組んでいきたいと思う。
@指導計画への位置付け
インターネットを有効に活用できる教科や単元,特別活動などを実践を基にしながら, 児童の発達段階も考慮して本校の新指導計画の中に位置付けることができ,今後の教育活動をさらに充実できる。
A情報教育への関心
情報教育に関する職員研修を推進してきた結果,教官のインターネットに関する意識を高めることができ,多くの子どもたちがインターネットを体験することできた。
Bネットワークに関する技術的な問題
UNIXサーバーやネットワークに関する技術的な面や小学校として情報教育の位置付けをどのようにするかなど,解決しなければならない課題も多く出された。
○新100校プロジェクトに参加して
・この3年間の一番の大きな変化は,課題を解決する手段として図書室の活用とともに「インターネットで調べてみよう」という声が子どもたちから多く聞かれるようになった点がある。そして,実際に子ども一人一人がインターネットを経験することで解決方法が広がり,それが子どもの自信につながり,積極的に問題解決に取り組もうとする姿が多く見られた。
また,数回の校内研修会を設定した結果,多くの教官が自宅でもインターネットに接続して学習指導への有効な活用の仕方を探るようになってきた。
今後の課題も山積みされている現状ではあるが,子どもたちが自在に情報を活用し,さらに「生きる力」となっていくように今後も実践研究を積み重ねていきたいと思う。