南山国際高等学校・南山国際中学校

○インターネット利用状況

・授業による実践

 (1)電子メールを利用した他校との交流

   高校2年生では、神奈川県の慶應湘南藤沢高校の生徒と電子メールによる交流を行いました。この高校との交流は3年目になりますが、毎年趣向をこらしています。今年度は「連歌」に取り組んでみました。厳密な意味での「連歌」というものは一筋縄ではいかないようですが、とにかく発句を用意して、そこに次々と「五・七・五」もしくは「七・七」を付けていくという形式で行いました。自分の作った句に、他校の生徒が次の句を付けて送ってくると、今度はどのような句を付けて送り返すかを真剣に考え、時には1つの句に30分ほどもかけて返事のメールを出している者もいました。内容は恋愛、日常の何気ない風景、サッカーのワールドカップなど様々でした。この「連歌」は、2校の生徒で合わせて7、8名のグループを作って行われましたが、グループによっては最終的に30句近く続いたところもありました。インターネットの双方向的コミュニケーション利用を十二分に生かせた企画になりました。

 (2)ホームページの作成

   今年度は中学2年生、中学3年生、また高校3年生の選択授業でホームページ作成を行いました。基本的なHTMLのタグを学習し、ある程度理解ができたところで、自由なテーマでホームページを作成しました。ホームページを作ることで、自ら情報を発信するということが大きな目標ですが、不特定多数の人間に向けて情報発信をするというのは、生徒にとってはとまどうことが多いようです。ただ、ホームページを作成することで自分を見つめ直したり、友人と意見を交換したり、教員と言葉を交わしたりと、ある意味で重要なコミュニケーションが育っているようです。これからの課題は、ホームページを基に、もっと広い範囲でのコミュニケーションの可能性を探っていくことでしょう。

・重点企画への参加

 (1)アジア高校生プロジェクト

   アジア高校生プロジェクトへ参加をしました。対象となる国は、ネパール・韓国・タイでした。本校は、海外からの帰国子女や外国人の生徒も多く外国語に堪能な生徒も多くいます。英語によるメーリングリストへの参加やオフラインミーティングでの通訳など様々な場面で生徒の活躍が見られました。生徒達は、メーリングリストで環境問題について考え、実際の交流でそれぞれの学校の話や自分達が環境問題について調べたことを発表し合いました。昨年も同企画に参加しており、来年度以降も同様な企画に参加できたらいいと考えています。

 (2)Me and Mediaプロジェクト

   今年度、2月から参加しました。まだ始めたばかりで参加生徒も2名と少ないため、これから活動していくことになります。現時点では、まだメーリングリストに生徒が参加し始めたところです。

 (3)酸性雨プロジェクト

   昨年度、共同利用企画の1つであった酸性雨調査プロジェクトに今年度も参加しました。本校では、エコロジー研究部が、酸性雨の調査を以前から行っており、この調査を今後もつづけ、データの発表をホームページを通して行い、各調査をしている学校と協力していきたいと考えています。

・課外活動での利用

  クラブ活動では、前述のエコロジー研究部があげられる。クラブのホームページの作成と管理を行っており、様々な機能を盛り込んで自分達の活動を発表している。また今年度は、生徒のインターネットの活用が浸透してきた。昼休みや放課後などは様々なホームページへアクセスしたり、電子メールをだす生徒も多くなってきました。大学の多くがホームページを持ち、入試に関する情報をインターネット上に公開しています。これを利用している生徒も年々増えつつあります。またアメリカなどの海外の大学へ入学を希望する生徒が電子メールをつかって問い合わせをすることもあります。

・その他の利用

  理科や社会の教員は、授業で使う教材資料をWWWによる検索で探すこともふえてきました。これらの資料をプリントとして活用することも多くあります。電子メールを利用する教員も半数を越え、お互いの連絡に用いたり、校外の人との交流に使う場面もみうけられます。

○平成9年度の成果と課題

  昨年、一昨年度は、どちらかというと新しいことにどんどん挑戦をしていくことが主眼でしたが、今年度は今までの成果や課題をもとにいくつかの取り組みをさらに充実されるべく活動してきた年でした。いかにそれぞれの分野でどのような成果があり、また課題が残っているのかをまとめてみました。

・授 業

  授業は、おもに電子メールをつかった交流やホームページの作成をおこないました。慶応湘南藤沢高校との交流も3年目に入り、より電子メールを有意義に使えるようになってきたと思われます。以前の1つの話題にたいしてお互いの意見を述べ合う形式では、1週間に1度しか授業がないためなかなか話がすすみません。しかし、今回のような「連歌」では、継ぎ足していくだけなのでどんどん進むのが良かったと思います。

  今年度から中学生でもホームページの作成を授業でおこないました。定型のホームページを自分用に改造することで自分のホームページを作るのですが、なかにはさらに進んで立派なものを作る生徒もでてきました。また高校3年生では、サーバーへのアップロードも生徒自身が行うようにしました。その結果、年度途中にどんどん自分のホームページを改良する生徒もでてきました。課題としては、今後生徒全員にホームページを持たせる場合、どのようにその管理を行うのか考える必要がある。生徒が個人で管理するにはなかなか難しい面もありますし、教員が管理をしてしまうと小回りが利かない面もあります。

・課外活動

  いくつか課外活動で参加しているものもある。酸性雨調査プロジェクトのようにクラブとして参加しているもの、アジア高校生プロジェクトやMe and Mediaプロジェクトのように何人かの生徒が集まって参加しているものがある。授業としてこうした交流をすることは生徒の興味を引くことが大変であったり、カリキュラム上できなかったりする。しかし課外活動でこうしたプロジェクトに参加することは、生徒も伸び伸びでき、自主的な活動に対する能力が深まるように感じる。今後、このようなプログラムにも積極的に生徒を参加させていきたいと考えている。

・進路指導

  進路指導には、以前からインターネット上を使ってきた。最近ではほとんどの国内の大学もホームページを持っており、様々な入試情報をそこから得ることができるようになった。今後も情報の入手先の1つとして定着するだろうと考えられる。

・その他

  本校は、海外からの帰国子女受け入れ校であるため、編入の問い合わせなどが電子メールで来る場合も増えた。入試要項などもホームページ上で世界中から見ることができるようになっている。まだまだその数は少ないが今後増えていくと考えられる。

  今の技術的な課題は、生徒が昼休みや放課後に自由に使うことができる端末が少なく、一方で使いたい生徒はどんどん増えつつある。今後は端末の数を増やしていく必要がある。

○新100校プロジェクトに参加して

  一昨年、昨年と100校プロジェクトを行ってきたときと比べ、今年度はインターネットがどんどん浸透してきているという印象を受けている。地域としてみると愛知県では東海スクールネット研究会が中心に様々な学校がインターネットにつながりつつある。また校内に目をむけると教職員の電子メール利用率が年々増加しています。最初は数名が使う程度だったものが、今では6割程度の教職員が使い校内研修をしなくても普通に電子メールやWWWが使える状況になってきました。また生徒のニーズも高くなってきていて自由にインターネットに接続できる端末は現在では足りない状況になっています。今後はさらに校内のネットワークの増強をはかりもっと普通にコンピュータやインターネットが使える状況にしていきたいと考えています。