宮崎県立延岡商業高等学校
○インターネット利用状況
平成7・8年度の実施報告に加えて平成9年度の特徴的なことを報告する。
1 自主企画「インターネット生徒会交流プロジェクト」
交流の準備として,生徒会役員の生徒が自由にコンピュータを扱えるように研修を行った。生徒の取り組みは非常に良く,積極的にホームページの検索や,一太郎等のソフトを利用して実施要項やオリジナルの賞状を作成して,自ら学習していった。生徒がより自由に使えるように生徒会室へコンピュータ(ネットワーク)を購入・設置した。
インターネット生徒会交流を他校に提案するためにホームページを作成することにした。10月には,本県の高等学校総合文化祭が地元延岡で開催され,本校の生徒会役員は生徒会交流部門のテーマである「校則について」の討議の企画と運営を行った。そこで各校の校則の状況を調査することとなったのだが,生徒が県内の状況だけでなく,より広範囲な状況をインターネットを使って調査したが,あまりよい情報は得ることが出来なかった。交流校を増やすため11月には,メールによる生徒会交流を行うためにホームページを検索し,1ヶ月以上要して各学校のメールアドレス一覧表の作成をし直接全国の学校へ参加募集のメール送信した。約120校にメールを出し,現在では10校からの参加のメールが届いており,今後も発展させていく予定である。
2 校内ネットワークの充実
インターネット導入を契機として校内ネットワークの見直しと拡充を進めてきた。クライアントパソコンを生徒用として4教室64台に設置し,各職員室にも1台ずつ配置することができた。ネットワークの設計はすべて職員で行い,可能な限りネットワークケーブルの敷設も職員でおこなった。
3 校内専用WWWサーバの構築および校内専用ホームページの充実
校内向けWWWサーバを設置し,校内専用のホームページを構築した。このホームページはセキュリティの観点から外部に公開できないもインターネットやパソコンを使用する上で注意事項や校内の連絡を掲載している。また,インターネット関係の文書を共有する道具として活用している。インターネット関係の文書には,たとえば利用ID申請書やインターネットの講習会資料や校内で作成したマニュアルなどもある。
4 インターネットを道具として活用する授業の深化
インターネットを使用すること自体が目的となっている場合も少なくない。そこで,インターネットやコンピュータを道具として使う場面を作ることによって,コンピュータを道具として活用する生徒の育成をはかりたいと考えた。インターネットおよびコンピュータを道具として活用する場面をつくるために,情報を取り扱う流れを以下のように想定した授業を構成した。
(1) 問題の分析
(2) 情報の収集(サーチエンジン等を利用して情報の検索する)
(3) 情報の取捨選択(必要なデータのダウンロード)
(4) 情報の加工(各種アプリケーションソフト【Lotus123等】でデータの加工)
(5) 意志決定(生徒自身の判断)
5 教科別リンク集の作成
各教科ごとにインターネットを利用しやすい環境を作るために,各教科でよく使うホームページや生徒に紹介したいホームページのリンク集を作成した。
6 インターネットとPOSシステムと連携による商業教育の試行
本校に導入されたPOSシステムとインターネットを活用したSA(ストアオートメーション)システムの授業を試行してきた。POSシステムから登録されたデータをインターネットで情報交換し,集計分析するなど授業を試行した。
○平成9年度の成果と課題
1 自主企画「インターネット生徒会交流プロジェクト」
このプロジェクト開始当初はホームページ開設だけで,参加校が集まると考えていたがほとんど応募がなかった。そこで,この企画の今年になって生徒会交流参加募集のメールを直接全国約120校に出したところ,10校ほどからからの参加のメールが届いた。生徒会の年間行事と同時並行して進めたため,当初計画よりだいぶ進行が遅くなった。しかし,生徒の関心・意欲も高く,生徒自身がコンピュータを学びながら活用し推進していくこのプロジェクトは十分に価値のあるものだと考える。次年度以降も発展させていく予定である。
2 校内ネットワークの充実
ネットワークの設計はすべて職員で行い,可能な限りネットワークケーブルの敷設も職員でおこなった。このことによって,生徒及び職員の使用する機会も今まで以上に増やすことができ,インターネット活用の基盤が広がった。また,それらの作業を通して職員のコンピュータスキルを伸ばすことができた。そのおかげもあり,情報処理技術者試験に合格した職員が5名になり,うれしい限りである。課題としては,校内LANの設計は既存のLANを基本として拡張したため,ネットワークの負荷のかかる部分があり,費用を考慮しながら今後の改善が必要である。
3 校内専用WWWサーバの構築および校内専用ホームページの充実
校内専用のホームページには外部に公開できないものやインターネットやパソコンを使用する上での注意事項や校内の連絡を掲載している。そのため,インターネットの導入教育や情報リテラシーの指導など校内で統一したレベルで行えるようになった。また,ID申請書や校内向けマニュアルなどインターネット関係の文書を共有しているため,職員が校内どこからでも文書が引き出せる。インターネットの利用を推進するとともに,担当者の転勤などにも対応できると考えている。
4 インターネットを道具として活用する授業の深化
インターネット上に存在する多種多様な情報を生徒自ら検索および参照させることによって,インターネット上に有効な情報が存在することを体験させることができた。また,情報を取捨選択および加工していく過程において,どのように情報を効率的に処理していくか考える姿勢が身についたように思う。情報を合理的に処理し,管理する能力が育ちつつあると考える。今後の課題としては,生徒へ提示した課題は適切であったかということである。生徒へ提示した課題は適切な内容であったか,課題の提示の仕方は適切であったのかどうか等,今後工夫改善していかなければならない。
5 教科別リンク集の作成
各教科でよく使うホームページや生徒に紹介したいホームページのリンク集を作成したので,インターネットの各教科での利用がしやすくなった。
6 インターネットとPOSシステムと連携による商業教育の試行
これは商業高校における科目「総合実践」のなかでこれからの時代に向けて商業教育の試行ができた。本年度は校内取引のみであったが,次年度は外部との取引をおこないたい。
○新100校プロジェクトに参加して
インターネットを活用した取り組みを進めていくなかで,生徒の進捗状況を見ながら,生徒の能力や興味・関心にあった指導を適宜入れるように努力した。この結果,生徒からは「最初は何をどうすればよいのかよくわからなかったが,今はインターネットやパソコンの利用が一番楽しい。」「ほかにも色々調べてみたいので放課後もインターネットを使わせてほしい。」「インターネットの時間が一番楽しい。」などの感想が聞かれるようになり,学習が進むにつれて生徒が積極的に取り組むようになり効果が出てきたのではないかと考えている。
インターネット上に存在する多種多様な情報を生徒自ら検索および参照させることによって,インターネット上に有効な情報が存在することを体験させることができた。また,情報を取捨選択および加工していく過程において,どのように情報を効率的に処理していくか考える姿勢が身についように思う。情報を合理的に処理し,管理する能力が育ちつつあると考える。