大阪市立聾学校

■インターネット利用状況

 1.教職員の組織作り

  昨年度は「インターネット活用委員会」という組織で高等部内のものでしたが、今年度からは全校的な位置づけとしての組織が発足しました。「インターネット研究班」といいます。高等部主事、同和主担、生徒指導部、英語科、視聴覚部、100P正副担当者からなる11名で発足し(部長100P正担当)、月1回程度放課後に開かれています。活動内容は昨年度より継続されているものとして、インターネットの活用方法についての企画・立案、個人情報の保護等の倫理的な問題の審議等、さらに今年度からは高等部の教職員全てにメールアカウントを発行することになり(昨年度までは希望者のみ)その管理の方法などについても話し合われました。具体的には、およそ次のような内容です。

 ・個人情報、著作権の保護等についての学習会 大阪市の「個人情報保護条例」および大阪市教育委員会発行の「情報教育の手引き」についての理解をより深めるための学習会を実施しています。特にホームページに生徒の個人情報を公開するときは、その都度審議し慎重に対応しています。

 ・インターネット関連の研修会の実施 昨年度からそうですが、「より多くの教職員がインターネットについての理解を深めることが、生徒の活動に生かされてくる」という考えのもとに今年度も教職員を対象とした研修会を開きました。ひとつは「教職員が個人(家庭)でインターネットを利用する場合について」というテーマで、最近のインターネットの社会的な拡がりや、プロバイダーとの契約方法、費用等を市販のインターネット関連の雑誌を教材にしてより具体的に理解してもらおうというものです。もうひとつは「高等部の教職員全員に対するメールアカウントの発行について」というテーマで、今年度から高等部の教職員全てにメールアカウントを発行することになりましたので、教職員による個人のパスワード管理の重要性を理解してもらうためのものです。

 ・インターネットの活用方法について 必要な情報を得るための方法として、WEBの検索エンジンの使い方について学習会をもちました。

 2.成果と今後の課題

  本校のコンピュータ関連の組織は、「情報教育研究班」(全校的)「パソコン連絡委員会」(全校的)「ソフトウェア委員会」(高等部内)と上述の「インターネット研究班」(全校的)と4つありますが、各組織の目的と活動内容はそれぞれ異なっており、(しかたがないと思われる一面もありますが)必ずしも有機的なつながりをもっているとは言い難い状況です。今後、インターネットの利用が全校的な拡がりをみせるためには、このような組織がお互いに関係を深めることが必要ではないかと思います。 教職員による電子メールの利用が確実に増えています。昨年度までは100P担当者や希望する教職員だけが利用していましたが、教職員全員にメールアカウントを発行したことによって、今年度は徐々に拡がりをみせています。しかし、その一方で全く利用されないメールアカウントも残念ながら存在しています。メールアカウントを高等部全ての生徒、教職員に発行する意義は大きいですが、使われていないメールアカウントも少なくないことも現状です。使われていないものも含めたメールアカウント及びパスワードの管理をどのように進めていくか、特定の教職員だけに頼らないで、組織的に取り組む必要性をおおいに感じています。

■活用方法

 1.電子メール実習

 ・産業工芸科及び商業科 今年度は商業科の授業でもメール実習に取り組んでいます。はじめは校内だけでメール交換を行っています。ある程度慣れた頃に、生徒個々人がメーリングリストについての情報をWEBの検索エンジンで探し、自分の興味に合ったものに参加しています。はじめは読むだけの生徒が多かったですが、徐々に返事を出せるようになっています。メーリングリストへ参加することによって、ネチケットについての指導がより具体的に進めるようになりました。「コンピュータの向こうに人がいる」ことの実感が少しずつわいてきているようです。

 2.ホームページ実習

 ・商業科 昨年度までは日本語による作成だけでしたが、今年度からは各種翻訳ソフトを使用した、英語によるホームページの作成に取り組んでいます。少しでも世界を意識してほしいと思っているからです。今後はホームページをただ作るのではなくて、ページレイアウトソフト等を使って、「ホームページをデザインする」という要素も含めて指導していきたいと考えています。

 3.成果と今後の課題

  100Pがはじまった頃に比べると教職員のインターネットへの関心はかなり深まり、電子メールの使い方や検索エンジンの使い方なども研修を通じてかなり理解が進みました。しかし個人で利用するにとどまっている教職員も少なくなく、授業での活用はまだまだこれからというのが現状です。これまでは、特定の教職員によって実践されてきたという側面が強いのですが、今後は、より多くの教職員によってインターネットの活用について具体的にとりくむ必要性があると考えています。

■新100校プロジェクトに参加して

  100Pの時に試行錯誤していたこと(組織作り、研修、授業での活用等)が、より具体的になりはじめたということで有意義な1年だったと思います。生徒達も学校にインターネットがあることをごく当然のように感じているし、学校にインターネットがようやく定着したのではないでしょうか。しかし、まだまだ未解決な課題も残されたままです。ネットワークの管理者育成、端末数不足、シェアウェア料金の支払い等、100Pがはじまった頃からの課題です。インターネット利用が進むにつれて、この様な課題がより具体的になった1年でもありました。