栃木県立小山北桜高等学校

○インターネット利用状況

 緑地工学科による「インターネットを取り入れた造園教育」

   〜造園材料の理解と活用を適時簡便に行うために〜

     樹木検索を作成し、ホームページに載せる

○平成9年度の成果と課題

作成理由

 1.花の時期や実の時期など季節を追う展開となり、系統立てた学習ができない。

 2.特に、花木の多くは早春から初夏にかけて開花するため、季節的に繁閑の差が生じる。また、早春の花には、生徒の春期休業中に開花するものも少なくない。

 3.校内の見本園においては、日照などの条件が悪く生育が健全でないもの、雌雄異株で雄株(あるいは雌株)しかないものなど教材として十分に条件を満たしきれないものもある。

 4.天候が悪い場合には野外での観察やスケッチができない。

 検索樹種 高等学校造園技術検定より約100種

 検索項目

  1)樹木名による検索 50音順にならんだ樹木の名前から

  2)形態による検索 「常緑針葉樹」「落葉針葉樹」「常緑広葉樹」「落葉広葉樹」

  3)利用目的による検索 「春に花を楽しむ」「夏に花を楽しむ」「秋に花を楽しむ」「冬に花を楽しむ」「実を楽しむ」「香りを楽しむ」「紅葉を楽しむ」「生け垣や仕立物として楽しむ」「幹・枝・葉や自然樹形を楽しむ」

作成方法

  平成8年4月から科の生徒1人に数種の樹木を割り当て校内の樹木の1年を通じた観察をさせ、その変化をデジタルカメラで撮影した。また、文献による調査も併せて実施した。一方で、生徒にホームページ作成の授業を実施し、平成9年4月より、コンピュータへの入力ページ作成に取り組んできた。なお、千葉大学自然科学研究科古谷勝則先生に随時指導を受けた。

成果

  教育効果は別に記載

  地方紙等掲載4件

  日本造園学会関東支部にて報告

教育効果

  本来、今年度当初からこの樹木検索の利用を計画していたが、制作の過程で生じた様々な問題から完成がおくれ、授業での活用にはいたっていない。そのため、ここではこの検索システム及びインターネットを学習活動に導入した場合の利点を記す。

  1)樹木検索システムの利点

  1)季節や天候を問わず、造園樹木の学習ができる。

  2)植栽計画を行う上で十分な知識がなくても目的の樹木を選ぶことができる。

  3)データの書き換え、追加が可能であるため、継続的に内容を充実・発展させることができる。

  4)インターネットを通して、データの発信・受信及び共同利用ができる。

  5)関連したサイトへのリンクを張ることにより、さらにニーズにあった情報が得られる。

  検索システムとしては、筑波実験植物園には、類似したシステムがある。これは、目的の植物が、園内の何処にあるかを画面上で検索できるほか、Q&A方式で植物に関する情報を得らる。緑化材料の指導にも活用できるので、参考までにここに紹介する。

  造園学会のホームページにある公園作品選集は、最近、作られた全国の公園の中から特に優れたものを紹介しており、造園計画の授業を通じて生徒に利用させている。

今後の課題

 1)欠落している画像データの収集

 2)樹形全体を写した写真の充実

 3)樹木の性質・栽培管理・キーワードの項目についても対応する写真の撮影

   例えば、風によって枝を折られたユリノキ写真

   チャドクガの被害を受けたヤブツバキの写真

   本校校名の由来ともなったオモイガワザクラの写真

 4)検索項目の再検討 

 5)各樹木のデータ表記の再検討

 6)画面の通信速度の向上(アナログからデジタルへ)

 7)造園樹木以外の材料への応用

 8)検索ソフトの導入

 9)インターネットを通じた情報受け入れ体制の確立

 10)関連したサイトへリンクを張る

  特に10)はインターネットならではのものであり、特定の地域にしかない樹木や、各国に存在する原種などの情報を発信して頂き、そこにリンクを張ってゆきたい。

  今後、上記の課題に取り組み、授業での効果的な活用、及び一般の方々の利用にも対応できるものにしていきたい。

○新100校プロジェクトに参加して

  前任者が転勤したため、ネットワーク管理者として、トラブルが多く、十分な活動ができなかった。しかし、一点に絞った樹木検索の発信は、周囲から大きな評価を得られ、驚いている。関連している高校とのリンクにより、より深く、広い情報源と成りうるリンクを張ってゆきたい。本県では、次年度のインターネット設置高校は数校であるようだが、本校のみダイヤルアップでなく、常時接続を認めて頂けた。これも100校プロジェクトに参加させていただき、ある程度の実績があったからであり、感謝している。しかし、本校は、本県高校教育のインターネット先駆者としての責任もまた生じているわけで、今後とも格闘は続きそうである。