六郷町立六郷中学校

<平成9年度の実施報告>

  本校のこれまでのインターネット接続コンピュータはインターネットルーム1台、職員室2台の計3台が稼働しており、生徒と職員が利用可能の状態であった。

  ところが、今年度コンピュータ教室のコンピュータが更新時期を迎えたことに伴ってこれまでのDOSマシン22台が42台のWINDOWSマシンに入れ替わった。また、同時に学校が地域プロバイダに接続され、42台のいずれのコンピュータからもダイヤルアップによるインターネット接続が可能となった。こうしたハードウェアの面での状況が進んだことにより、本校のインターネット利用はこれまで以上に便利になり、利用の促進が図られることになった。

○インターネット利用状況

・実践項目1「酸性雨調査プロジェクトへの参加」

  平成8年の11月より同プロジェクトに参加させてもらっている。活動の主体は科学部の生徒である。観測機器の発注から納入に時間がかかり、酸性雨の観測を始めて日が浅いが、生徒が放課後等の部活動の時間を利用して定期的に活動している。今年度は観測データの蓄積を重点に行い、今後各地のデータの比較、分析等の作業をしながら研究を進めていく計画である。

・実践項目2「インターネット学習プログラムの開発」

  インターネットを利用するという観点からの実践例は多いが、パソコン通信やインターネットなどのコンピュータネットワークのしくみ(サーバー・ルータ・光ファイバなどハードウェアのこと、アドレスのしくみ、パケットやプロトコルといったソフトウェアのこと、パソコン通信のこと、インターネットの光と影などネチケットに関することなど)を学習する機会がきわめて少ないため、それらを学習していくことのできるCAIの開発を進めている。対象教科は技術・家庭科。マイクロソフト社のVisual Basicを使い、生徒一人一人が学習を進めていくことのできる学習プログラムを開発した。学習プログラムは7つのモジュールからなる。また、この学習を進めることで「生徒がネチケットを身につける」ことができることもねらっている。まだまだ未完成な部分を残しているため、改良を進めたいと考えている。

・実践項目3「授業でのホームページ作成学習」

  技術・家庭科ではマイクロソフト社のWordを使って個人のホームページを、2年生の選択教科授業(技術・家庭)では学校のホームページの作成を行っている。各自が自分を振り返り、自分を見つめ直すよい機会となっている。また、自分の学校や町を改めて見直すよい機会になっており、各自が必要な資料を自分で探してくるという授業に対する積極的な態度が見られるようになってきた。個人のホームページを実際に本校サーバーに載せる計画は無いが、コンピュータ教室内で互いのホームページを見合うシステムについては検討中である。選択教科で作成した学校や生徒会、部活動などの紹介はサーバーに登録したいと考えている。

・実践項目4「メール交換」

  イギリスから本校にみえているALTの方の兄弟や友人の方を中心に、生徒がメール交換を行い、交流を深めている。実施教科は主に選択の「国際理解」、選択の「技術・家庭科」である。目には見えないが実際に外国の方と文字による交流を行うことで、生徒たちの外国への興味、関心は高まり、逆に日本や町、学校、自分自身を見つめ直す素晴らしい機会となっている。また、必要に迫られてか英語そのものに対する習得意欲が高くなり、メールの内容について英語教師に尋ねてくる生徒の姿が多くなった。

・実践項目5「修学旅行生徒研修計画」

  本校では4月、東京方面に修学旅行に出かける。その際、班ごとに研修テーマを決め、研修先を探して研修計画を立てさせている。この活動の有力な情報源となっているのがインターネットである。住所や電話番号をはじめ、どんなことをやっているところなのかなどの情報をインターネットで入手し、自分たちの手で連絡を取り、計画を立案している。教師が決めて教師が引率するこれまでの修学旅行から、生徒自らが計画、実行する修学旅行への移行に、本校でのインターネット利用は大きな役割を担っている。このことは修学旅行に対する生徒たちの参加意識に、大きな変革をもたらした。

○平成9年度の成果と課題

  インターネットがコンピュータ教室の42台のコンピュータで利用可能になったことで、生徒たちにとってのインターネットが大変身近なものになったと言える。情報の収集といういわば受け身のインターネット利用だけに止まらず、ホームページや観測データの送付、電子メールの送受信などによる情報の発信という分野に生徒が入り込み、大変に強い興味・関心を示している様子を見ることができた。また、インターネットが簡単に利用できる環境が出来てきており、インターネットが特別なものでなくなってきたことが大きな成果である。今後は特別教室へ専用線を引き込むかダイヤルアップでの回線数を増やすこと、生徒による動画の送受信やテレビ会議、国内外のより多くの学校や生徒との交流などを進めるとともに、実践研究を深めていきたい。

  また、本校は「学校教育・社会教育合同研究会」の指定を受け研究を進めているが、こうした成果などもインターネット上で公開し、広く意見の交換を求めたいと考えている。

○新100校プロジェクトに参加して

  100校プロジェクトが発足した平成6年当時、インターネットがめざましく一般に普及し始めた頃であった。あれからまる3年が経過し、インターネットの利用環境はコンピュータの性能、回線速度、プロバイダ数の著しい増加や利用料金の低減などのハードウェアの面や運用面での利便性が向上するとともに、インターネットの利用や教育利用の実践例が蓄積され、ソフト面での進展がなされてきた。本校も微力ながら日常のインターネット利用、生徒が手軽に利用できる環境やアドバイスという点に力を注いできた。その結果、生徒たちはさほど抵抗もなくインターネットを利用し、学習場面をはじめとする学校での活用が出来るようになってきたことは、利用当初からすると大きな変化である。今後とも地道ながら、インターネットのより有効な教育利用に向けて研究を進めたいと考える。

  この間、ネットワークを通じたたくさんの方々より頂いた協力、アドバイスは本当に有り難いものでした。インターネットはコンピュータのネットワークであり、人と人とのネットワークであることを実感した次第です。こうした研究の機会を与えていただいた多くの関係者の皆様に心より感謝申し上げます。