名古屋市立西陵商業高等学校
1. 国際交流を推進する取り組み
新100校プロジェクトの一員としてインターネットを活用した国際理解教育に取り組んできた。生徒は何よりもプロジェクトに参加し、「体験できた」ことによって変容して行こうとしている。英語活用能力、さらにはインターネット活用能力、これらは成果欄に図示されたアンケート結果が如実に物語っている。
1.1 アジア高校生インターネット交流プロジェクト(CEC国際化重点企画)
キーワード
明日のアジア 豊かさと貧しさ 日常的な交流 国際言語英語
ねらい
・発展段階の違う社会の特性に注目し、それぞれの国で残すものを発見する。
・アジア圏で国際言語英語を日常的な交流の中で体験し生涯教育に連動させる。
・アジア圏で急速に広がりつつあるインターネットを国際的な協力の下その活用方法を探る。
・インターネットを活用した交流の後直接日本であい、日本各地でシンポジュウムを開催する。(名古屋・京都・広島)
実施状況 この企画はCECの重点企画として今年度は取り組まれた。参加16校(小学校・中学校・高校)。昨年度inet ’97の国際大会教育部会で実践報告がなされたこともあって、アジア地域からの関心も高く昨年のネパールに更にタイ、韓国を加えて実施した。INET ’97のレポートをベースにアジアパシフィックネットワーク国際大会(1998年2月17日―21日 フィリピン・マニラ)でも発表予定である。
昨年の企画を発展させて 韓国など他のアジア圏の国も今年度は迎えることができた。名古屋はじめシンポジュウムのテーマは生徒たちの手によって「環境」「エネルギー」等に決定された。各校の紹介もあわせて行われた。広島での様子はNHKのニュースでも紹介され「平和」「インターネット」が広島地域のテーマとなった。
交流の手順 メーリングリストの活用(教師用、生徒用、英語版)により、テーマ決定――>メールでの論議――>高校生の企画運営による日本での国際会議――>さらなるインターネットを使った交流
1.1.2 韓国とのバーチャルシミュレーション
2人1組で模擬的な会社(商社)を作り、商品の輸出・輸入の模擬実践を行う。通信文書の交換は電子メールを使用し、取引の交渉(negotiation)はテレビ電話(Cu-seeme)の機能を使用する。また、インターネット上にバーチャルモール(仮想商店街)を設け、商品を販売する
○具体的な授業の展開例
1.輸入模擬取引.........韓国ソウル女子商業
韓国の民芸品を輸入する。英語による通信文の交換、価格交渉を行う。@バーチャルモール、注文書作成-A取引開始の申し込み(電子メール)B引き合い(電子メール)-C商品の紹介、価格交渉(テレビ電話・・英語によるリアルタイムの会話)-D注文書、信用状の開設(電子メール)E決済(外国為替手形を送付)
2.国内模擬取引........佐賀県立杵島商業
輸入した上記の商品(韓国の民芸品)や自社の取扱商品(電気製品、スポーツ用品)は、インターネット上バーチャルモール(仮想商店街)上に登録し、販売する。
@バーチャルモールに商品登録、注文書作成
A商品の紹介、価格交渉(テレビ電話・・英語によるリアルタイムの会話)
2日本語による共同授業(西陵商業――アメリカ ハバーフォード大学日本語コース ハワイ大学)
キーワード 日本語・英語の利用 メーリングリスト Cu-SeeMe 共同授業)
ねらい
・第2外国語である英語、日本語をリアルタイムの交信の中で扱い、学習者としての共感を得させる・交流の中で自分の生活を見直す視点を把握させていく
・共同製作「Webマガジン」を通してネットワーク上でのコラボレーション(協力)と責任について学習させる。
実施状況
それぞれの学校でチームを作り、WEB上にマガジンを作製する。
テーマの決定
電子メールなどを通して意見交換しテーマを決定する。今年度は共同でWeb上にマガジンを作ることに決定した。
この段階では教師側がインターネット環境を考慮に入れ、実施可能なテーマを絞り込ませた。
電子メールでエッセイを送る
一時間の中で自分のテーマにあったエッセイを1つ書かせ、メーリングリストに投稿させる。エッセイの基本的な書き方については事前に指導しておく。
エッセイに対する感想を送る
相手側からもエッセイがやってくる。これに対して感想を送らせる。
意見交換(Cu-SeeMe・web-Chat)
相手の姿が見えないとどうしても意欲的に取り組めないもの。月に2回程度Cu-SeeMeによって 音声と画像によるリアルタイムのコミュニケーションを取り入れ、プロジェクトへの参加意欲を高めた。
プロジェクト関連URL http://202.249.160.2/japan
2 地域との交流を促進する利用
2.1 高齢者のためのインターネット初級講座
キーワード 学校開放 高齢者 継続プロジェクト
ねらい
・地域開放
・高齢者のネットワークづくり
・世代間の異文化交流
実施状況
教育委員会主催の地域開放講座の会場校として、年齢制限を設け、特に高齢者のための講座を開設した。昨年の講座ではどの方も本当に熱心で3日目の最終日には見事なホームページを作成した。
3 平成9年度の成果と課題
授業内での活用をテーマに今年度は取り組んだ。生徒の意識には大きな変化があらわれた。右図は私が担当したクラスの意識調査である。「体験する」ことの大きさをあらわしている。
画像の圧縮などソフトの開発により軽いビデオファイルをページ上に置くことができるようになった。この事によりお互いの学校生活を理解することができるようになった。
4 新100校プロジェクトに参加して
マレーシア、フィリピンの国際会議に出席した。「日本は負けていない!」そんな感触を持っている。特にインターネットを使った教育内容は世界に誇れるものと思っている。
これらもすべてこのプロジェクトに参加することによって私自身体験できた。
忙しくはあったが、世界とともにネットで結ばれた他校の人とともに時間を積み重ねることができた一年であった。