清泉女学院中学・高等学校

○ネットワーク利用状況

1 「GLOBE」(環境のための地球学習観測プログラム)への参加

  文部省によって選定された全国23校の中の1校として、インターネットを通じて生徒が観測した諸データをグローブアメリカ(NASA)へ発信してきた。現在およそ30名のボランティアが、毎日データを送信している。

2 自主企画「オンライン・ディベート」の実施

  本校が女子校であるという制約を越え、生徒の間にある男子の高校生の意見や異なった立場からの考えを聞きたいという要望に応えるため、インターネットを使ってディベートを企画し、東北学院中学高等学校、宮城県立泉高校等と、「倫理」や「家庭科」の授業に関係あるテーマでオンラインディベートを行った。

3 重点企画「既存データベースの活用」への参加

  従来から地理の授業等で、パソコン通信を通して新聞社のデータベースの利用がなされており、その有効性が確かめられていたので、重点企画に参加し、より活発にDBの利用をすすめることにした。

  ただし、今年度は、年度後半の追加募集へ応募したので、実際にアクセスが可能になったのは、平成10年に入ってからになり、実質的な成果を十分あげることはできなかった。

4 授業として(前年度からの継続)

  1 中学2年生 総合教科「情報基礎」の中で、インターネットの紹介をして、積極的に活用するよう促した。また、HTMLの作成を指導した。

  2 高校2年生「地理B」の「交通と情報」の単元で、インターネットやパソコン通信の概要を説明し、WWW、e-mail、newsgroupを利用させた。(各自にe-mail addressを与えた。配当5時間)

    この授業の上に立って、「地域研究」(課題研究)の手段の一つとしてインターネットの利用を勧め、WWWやニュースグループによって、各種データを入手させ、発表に役立たせた。

  3. 高校1年生ゼミ(前期)「インターネット活用講座」でも上記3.と同じような内容を扱い、さらに後期のゼミにおいてもインターネット関連のテーマを扱った。

5 生徒の自主的利用として(前年度からの継続)

  1.  課題(レポート等)作成のためのデータ収集

    ニュースグループK12等によって学校外へ意見を求め、それをもとにして課題を作成した。

  2.  さまざまな情報へのアクセス

    本校では、放課後等はコンピュータ教室を開放しているので、生徒たちは各自の趣味や関心によって、さまざまなサイトへアクセスして利用している。

○平成9年度の成果と課題

 1 主な利用状況と成果は前ページの通り。

   「GLOBE」に関しては、平成10年度も引き続き実施されるので、今年度以上に様々な観測データや既存データベースの資料の送受信等がインターネット上で行われるものと期待される。

 2 企画されながら、十分成果を上げることができなかったものに、女子教育フォーラム(メーリングリストの構築)と、ホームページ方式による学校外からの「生き方」情報の受信とデータベース化の2つがある。これらについては、校内での準備が整い次第、広く参加を呼びかけたい。

 3 校内ネットーワーク整備の第一段階として、図書館と教員控室へインターネットの端末を設置した。これによって、コンピュータ教室へ来なくても、インターネットの利用が可能となり、特に図書館においては、従来の図書利用とあいまって、情報収集の新たな展開が期待される。

○新100校プロジェクトに参加して

 ・インターネットの位置づけ

   本年度「GLOBE」へ参加したことに示されるように、今年度はインターネットが本来の意味で「道具として」教育現場で使われるようになった一年であった。

   昨年度までは、インターネットそのものがまだ珍しく、接続していること自体が話題となったが、いよいよ「中身」を問われる段階となったと言えよう。

   そうした意味で、華々しい展開はなされなかったが、オンライン・ディベート、前述のGLOBEなど、個々の教科や分野において着実な利用が始まっている。

   これらに加えて、来年度は、「既存データベース」の利用が継続されるなら、生徒個人によるデータベースへのアクセスとその利用により、学習活動に新しい局面が開けると期待される。

 ・インターネット利用の基本方針

   本校では、従来から情報教育の基本方針として、コンピュータを「自己表現の一手段」、「情報獲得の一手段」として捉えて、教育実践を積み重ねてきた。

   従って、インターネット導入にあたっても、「さりげなく生徒の傍らに置く」ことを基本方針としたため、大がかりなプロジェクトや派手な実験はむしろ意図的にさけてきた。そして、普通の授業の一部としてインターネットを利用し指導した。

   現状としては、生徒は自由に放課後等に自由にインターネット(WWW、newsgroup)を利用しており、少しずつ着実に利用者が増えており、所期の目的の第一段階は達成できていると思える。

 ・スクール・アイデンティティの再確認

   インターネットは、自分の学校のアイディンティティの再確認にも若干の寄与をしてきた。すなわちホームページの公開を始めとして、作品を公開した生徒たちにとって、学校の特色やあり方を見直す機会になり、「何を紹介するか」「何が自分の学校の特色か」などを考えることを通して、学校生活の再発見の場となった。

   「インターネットで学校が変わる」のではなく、その学校のありようがそのまま「情報発信」されてしまう、そしてまたインターネットの利用は、その学校の体質そのものによって左右されるのだということを、改めて痛感している。

 ・本校のホームページ構築の理念、授業の中で生徒にHTMLを指導していることに関しては、昨年度の実施状況をご覧ください。