大阪府立柴島高等学校

○インターネット利用状況

*総合学科の授業としてインターネット情報発信Tが開講される

  総合学科2年目の総合選択科目の授業としてインターネット情報発信Tが開講されました。生徒のインターネットに対する関心も高く、多くの生徒を集め、この講座は3講座が開講され、ネットを利用する上で必要なリテラシーやホームページの開設方法などの実習を中心に学習を進め、生徒自らが作成したホームページをお互いに評価しあい、インターネット上での個人情報の取り扱いについて理解を深めました。

*教科での利用

  情報基礎でインターネットそのものを理解するための授業が実施されたことを始め、英語の授業ではオーストラリアのことを英語で調べる資料学習、発酵科学の授業ではチーズなどの発酵食品を調べ、必要な項目をまとめる授業などが今年度展開されました。また、その他の科目についてもインターネットから入手した資料を参考資料としてプリントを作成し、授業に活用されている科目も少なくありません。

*オーストラリアでの国際学生会議への出席

  事前にEメールを使い、議論を深めた上で発表を行う国際学生会議に本校生の4名が出席しました。つたない英語で様々な国の生徒たちと交流し、国際化時代の生徒交流のあり方を学ぶことができました。

○平成9年度の成果と課題

*活用方法

  教職員へのインターネット実習を定期的に行った結果、資料学習の手段としてインターネットを活用する様々な取り組みはすすみ、インターネットの利用状況は充実してきました。今後の展開としては考える力や表現する力を養うためにインターネットを使って情報を発信する授業展開を研究する必要があると考えられます。そのために教職員は「インターネットに流れている有害情報、差別事象」や「表現の自由」、「個人情報の保護」などについての知識を深め、それらを教育活動に取り入れて行かねばなりません。

*教育効果

  インターネットに流れている情報は生きています。ある情報が別の情報を生んだり、別の情報にかき消されたりするように、情報は刻々と変化しています。それらの情報を得るときに生徒は苦労をし、迷い、考えることを学びます。そのような生きた情報に触れることにより、「考える力」が育つように思われます。また、生徒はそんな生きた情報を得ることにより、一般の授業に見られる一方向的な知識の教授では得られない喜びを知ることができます。また、自分が発信した情報に他の人が答えてくれたときにはなおさらです。本校で実施している「インターネット情報発信T」「情報基礎」などでは生徒が情報を発信する実習を中心に授業が進められています。その授業を受講している生徒の姿を見れば、インターネットを教育活動に使用する有効性がわかります。しかし、その一方では発信している個人が特定できないために生じる無責任な発言が横行し、人を傷つける事象が起きていることも確かです。

  今、ネットワーク社会は始まったばかりです。そんなネットワーク社会で生きて行くためにネットワークに関する様々な教育の必要性はさらに高まって行くと考えられます。

*技術的課題

  インターネットのサーバーを維持してゆくためにはハード面の知識やソフト面の知識が必要です。簡単な事象は日本語に翻訳されていますが、複雑な事象は英語のままのことが多く、その内容を理解するために相当な時間を要することが必要でした。専門的な教育を受けていない学校の教員では英語で書かれている専門性の高い文章を読むことは困難を極めます。サーバーに関する専門的な教育を受けておられる方の技術協力がなければ、自力でサーバーを維持することは困難であると考えられます。

○新100校プロジェクトに参加して

  1995年度から始まった100校プロジェクト、始まった当初はインターネットに関する情報も少なく、教育現場でどのように利用してゆくか具体的な方針を出せないまま1995年度は経過してしまいました。1996年度に入るとインターネットに流れている情報量が想像もできないほど増加し、情報を選択する必要が生じてきました。1997年度は自ら発信するということを目標に教育現場での利用法を探る取り組みを進めてきました。なかなか思うような成果が上がらず、焦ったこともしばしばあり、本校の教職員の皆様にはご迷惑をかけたと思います。しかし、インターネットに接続したパソコンに向かい、悩み、喜ぶ生徒の姿に勇気づけられながら、3年間がんばってきました。来年度以降の自主財源のめどはたっていませんが、生徒たちによりよい環境が提供できるようにいろいろな方策を考えて行きたいと考えております。

  100校プロジェクトを支えてくださった様々な方々には本当に感謝しております。本当に3年間ありがとうございました。