港区立神応小学校
○ネットワーク利用状況(実施項目と概要)
神応小学校では、次の点に関してネットワークを活用した。
1.「しんのう子どもネットワーク」(神応小学校ホームページ)の充実
神応小学校では、自校のホームページ「しんのう子どもネットワーク」を継続し、本年度は、主に次のようなページでの内容充実を行った。
○文部省・通産省「新100校プロジェクト」関係の活動
「一本の樹」プロジェクト幹事校(インターネットクラブ)
「ケナフ」プロジェクト(3年生)
○文部省「日本人学校プロジェクト」への参加
「世界の樹」プロジェクト幹事校(2・3・5・6年生)
○フランスビズ小学校との交流(4年生)
○共同学習「私たちの足で調べた東京都港区」(4・5・6年生)
共同学習の発表の場であると同時に、異なる学年の子どもたちの共同作業を支援するための公開掲示板の役目をもたせるようリアルタイムに更新していった
○「子どもの輪」神応ニュース(6年生)
6年生が記事を担当。卒業までには、自分でホームページ作成もするのが目標。
○「教室の輪」各学年・教科の実践紹介
各学級・教科でのインターネットの活用として次項に記載
○「大きな輪」学習に使えるリンク集
教材に直接関わる内容のホームページや、小学生が関心をもつ身近な内容のホームページへのリンクを集めたページである。内容が充実して使いやすくなってきた。
2.各学級・教科でのインターネットの活用
○社会科の調べ学習でホームページをプリントアウトして活用(4・5年生)
○夏休みの自由研究の紹介(4年生)
○アメリカ、ウエストスクールとの電子メール交換(4年生)
○ひびけ音楽(音楽・2年生)
○サラダ作りの様子を紹介(5年生)
○箱根夏季学園の紹介(5・6年生)
○集まれ楽器「ガチャガチャバンド」(音楽)
○「らしさ工房」の紹介(図工)
○植物にも感情があるプロジェクトの紹介(図工)
3.インターネットを通じた交流の主なもの
ア.新100校プロジェクト参加校などとの交流
○4、5、6年生は、共同学習「私たちの足で調べた東京都港区」の活動を中心に、神奈川県の林間小学校と電子メールを利用しての交流や、自分たちの研究に関する情報交換や成果の発表を行い、高速回線利用の遠隔交流授業などを試みた。
○4、5、6年生は、インターネットクラブを中心に「一本の樹」などの共同利用企画などで交流を継続。
イ.海外の小学校との交流
○フランスのビズ小学校と絵の交換などの交流を継続。
○アメリカのウエスト小学校と「クリスマス」「川調べ」を通しての交流が始まった。
ウ.日本人学校との交流
○「世界の樹」プロジェクト、「ケナフ」プロジェクトを通しての情報交換や交流。
4.共同利用企画への参加
「一本の樹プロジェクト」は、「一本の樹から『自然の社会』と出会ってみよう。」と「一本の樹と人とのかかわりを見直そう。」というふたつのテーマを持って、子どもたちが一本の樹を通して、自分たちの生活を見直すきっかけになることを期待して取り組んできたが、このプロジェクトはぜひ継続していきたい。
○平成9年度の成果と課題
1.活用方法
インターネットに各クラスの教室からアクセスできるようになった。これにより、授業中でも休み時間でも気軽に利用できるため、子どもたちが自主的に使うようになり、調べ学習などでの利用が増えてきた。高学年は、検索エンジンやイエローブックなどの利用にも慣れてきて、利用意欲の向上がめざましい。
本年度は、ホームページの充実に力を入れた。運動会、学芸会といった学校行事の度に更新されるページや各クラスの活動の紹介を、子どもたちはとても楽しみにしていた。休み時間などに進んでチェックし、お互いの発表内容を確認したりしていた。
共同学習のページでは、「成果を発表する場」という以上に「公開掲示板」のような役割を持たせることをねらい、途中経過をできるだけリアルタイムに掲載するように努めた。子ども同士のメールのやりとりができたり、「定点観測の共有化」という視点でも同じような定点観測をしている学校とデータの交換を継続していくことで、子どもたちに他の地域と比較することや自分たちの周りを改めて見直すきっかけを活かした授業を進めていくことができた。
2.教育効果
ア.ネットワークが生み出していく子どもたちの意識として、次の2点があげられる。
・ネットワークを通して交流することで、子どもたちが自分で考えたことや感じたことを相手にわかりやすく伝えていくために、自己理解を深めることができた。
・共同学習に参加している学校と自校との比較をしながら学習する経験を積む中で、異なった視点を持って、考えたり見たりする取り組み方に慣れてきた。
イ.ネットワークを通した学習が作り出す特徴的な状況として、次の3点があげられる。
・教科という枠では、まとめきれない内容のものが多くなっていくという状況。
ネットワーク上の情報は、教科という意識では存在していない。
・学年という意識が少なくなっていくという状況。
不思議だなあと思う気持ちは共通である。
・教師の役割が変容していくことが求められていく状況。
指導者としての教師、支援者としての教師、媒介者としての教師の立場を使い分けていくことが必要になってきている。
○プロジェクトに参加して
新100校プロジェクトのスタート時点で、インターネットが各教室から直接アクセスできる環境があったことでスムーズなすべり出しであった。また、子どもたちも身近に端末があることで、自然に関心を持ち利用し始めた。特に、高学年では、社会科の調べ学習や身近な話題について積極的にインターネットを利用するようになった。慣れるにしたがって情報の取捨選択が適切にできるようになってきている。
他の学校に自分の地域のことを紹介する活動を通して、子どもたちだけでなく、教師も地域や自分たちの学校を改めて振り返ることができた。また、保護者やPTA、その他の学校外とのつながりも生まれ新しい交流への発展も期待される。
このようにインターネットは、学習環境として、教師や子どもたちに大きな刺激を与え続けており、本校では「新しい道具」ではなく「不可欠な道具」といえるものとなった。今後は、充実したホームページを生かし、電子メールなどでの交流を深めて行きたい。