長野市立篠ノ井西中学校

○インターネット利用状況

実践のポイント インターネットを利用した国際交流

 ・オーストラリア、ドナルドハイスクールとの交流

  アトランタ96プロジェクトより継続しているE-mailによるドナルドハイスクールとの交流では、本年度オーストラリアの生徒が作った英語の「HAIKU」が送られてきた。本校ではこれを英語の時間に日本語の俳句に訳し、さらにそのイメージを美術の時間に切り絵で表現し、www上に発表した。また社会科では、日本の文化の単元で、オーストラリアの友人に紹介する日本の食卓を絵と文章で表現するなど、教科の枠組みを越えた取り組みができた。

 ・Scholastic Networkへの参加

  アメリカのスコラスティックネットワークへは、オリンピック開催地の利点で無料でアカウントを提供された。ブリテンボードでは、毎月決められたテーマにしたがって各国の生徒たちが意見交換を行っている。2月には本校がホストスクールとなり、オリンピックに関して活発な意見交換が行われた。また、これ以外にも数多くのメールが海外から寄せられ、返信が追いつかないほどであった。本校生徒の活動は主に英語の時間に行われた。

 ・外務省ホームページの子ども特派員

  外務省海外広報課が海外の小中学生向けに立ち上げた長野オリンピックホームページに協力して、写真や記事を提供した。特にオリンピック期間中は「子ども特派員」として取材を行い関連イベントや長野の街の様子を報告した。この活動は主に課外クラブであるソフト開発部によって行われた。

 ・ノルウェーのNAGANOホームページへの協力

  本校が以前パソコン通信を利用してIEE(国際環境使節団:犬ぞり隊)と交流をしていたことがきっかけで、ノルウェーで立ち上げられた長野オリンピックホームページにも情報を提供してきた。

 ・Worldwide School Weather Network への参加

  アメリカのKPIX−TV社と日本IBM社によって、本校に自動気象観測装置とサーバー用パソコンが提供された。World School Weather Networkによって、リアルタイムで長野の気象情報(風向、風速、照度、気温、湿度、雨量など)を世界に提供している。

 ・wwwによる情報発信

  本年度は主に長野オリンピック関連のコンテンツの充実に力を入れて活動してきた。特に世界的に注目を集めた長野市の「一校一国運動」の具体的な様子を世界に紹介したいと考えた。この活動は主にソフト開発部と生徒会代議員会によって行われた。

  本年度は長野市全小中学校がホームページを立ち上げたため、その先進モデル校としても内容の充実に努めた。

○平成9年度の成果と課題

  本年度より担当者が交代し、不慣れな面もあって、技術的に新しいことは特に研究せず、今までの環境をどう利用していくかを重点に考えて活動してきた。

  急速に一般家庭の中にも普及してきたインターネットは、もはや特別なものではなく、学校の中でも webやメールを利用した情報収集や情報交換が日常的なこととして行われるようになったことは意義深い。そんな中で、本年度はオリンピックの関連もあり、海外との交流が盛んに行われたことは大きな成果である。海外との交流は、その性格上英語科の授業が中心になるが、そこからさらに美術科や社会科への広がりを持たせることができた。

  また、これらの交流活動は、限られた教科の時間内では限度があったり、その性格上、生徒会やクラブ活動などの特別活動に委ねられる場合も多々ある。そのため特定の教科・領域にとらわれない総合的な教育活動に発展しつつある。

  今後さらに、今年度生まれた新たな交流も含めて、国際交流を大切に継続発展させていくとともに、生徒の中にも、生徒会やクラブ活動を連携させた国際交流の組織を作っていきたいと考えている。

  ところで、このような取り組みの中で強く感じたのが、webによる情報発信の大切さである。前述したスコラスティックネットワークや外務省ホームページ、ワールドワイドスクールウェザーネットワークへの取り組みは、全て本校がホームページを開設していたことがきっかけとなっている。

  ホームページを持つ学校も珍しくなくなった。これからは単なる学校紹介に終わらずに、いかにその学校の独自性をアピールしていくかがポイントになるだろう。本校も「オリンピック後」の新たなホームページの目玉を作り、引き続き世界に情報発信していきたいと考えている。

○新100校プロジェクトに参加して

  広く国際的な視野を持つ生徒を育成するための国際化教育は、今後学校教育の中でも重要視される分野の一つだろう。国際交流で大きな障害となるのは、距離の壁と時差の壁であるが、インターネットはこれらの壁を解消する格好の手段であると思われる。

  そしてこれらの活動を有意義に継続していくためには、いかに手軽に実践できるかが大きなポイントだろう。非常に効果的な使用法があっても、それが大げさな装置や準備を必要とするものであっては、一部の教師だけのものであったり、そのとき限りのものとなりやすい。

  本校が行ってきた国際交流は主としてメールを使用した取り組みで、これは普通にインターネットを使用する環境があれば、誰でもどこでも簡単に実践できるものである。このような実践を幅広く長く継続することが大切だと考えている。

  しかし、まだまだ解決すべき問題も多い。最も大きい問題は、教師間の意識の差である。市内ではコンピュータの先進校として知られる本校でも、他校と比較するとコンピュータの使用率は高いものの、それでもコンピュータに触れようとしなかったり、使ってもワープロとしてしか使用しない教師も多い。これは、生徒のリテラシー向上よりもはるかに難しい問題であるように思う。

  気楽にコンピュータやインターネットを利用する教師を増やす。それが、コンピュータ先進校といわれる学校の務めではないだろうか。そのためには講習会などの開催も大切であろう。本年度も地域の小中学校の先生方を対象に簡単なインターネットの講習会を行ったが、それがきっかけで先生方が日常的にインターネットを使用するようになったかというと疑問が残る。必然性や目的が見つからないからである。やはり一番大切なのは、日常生活の中でコンピュータやインターネットの便利さ、有効性を広くアピールしていくことではないだろうか。