松山東雲中・高等学校

○インターネット利用状況

・実施項目1(共同利用企画)

  この共同企画は教員・技術者間、生徒間のオンラインディベートを宮城県東北学院高校が中心となって、神奈川県清泉女学院高校、福島盲学校、宮城県立泉高校と本校の5校が参加した。11月に実施された教員・技術者間の「飛び級」の是非に関するディベートではチャットのソフトがインストールできない、カウンタープランではないかなどの指摘はあったが、インターネットを通してディベート学習そのものを考えるよい機会となった。生徒間の「中絶」の是非に関するディベートでは、E-mailの交換を通して自分の考えを深めることができたようである。ただ冬休みをはさみ、学校行事などの影響で、スムーズに運用できず、関係の学校や団体の方々に多大の迷惑をかけてしまった。

・実施項目2(国際理解の推進)

 (1)留学経験生徒への支援:国際ロータリークラブの世話により、交換留学生として1年間アメリカやオーストラリアなどに留学経験のある数名の生徒が中心となってホストファミリーとの交流や滞在先の地域の情報検索などを進めている。

 (2)修学旅行としての活用:英語科2年生が修学旅行先のオーストラリアのkilvin ton Baptest Girl’s Grammer School などの学校とE-mailの交換をし、修学旅行後もホームステイ先と交流活動をした。

 (3)アメリカやオーストラリアなどに留学中の本校生徒に対する支援として、近況報告を取り交わせる環境づくりをめざしている。

・実施項目3(普通科修学旅行としての活用)

  普通科2年生の修学旅行先は数年来平和教育の一環として沖縄本島を訪問し、南部戦跡を巡り、ひめゆりの塔の平和祈念資料館では体験者の講話を聞き、平和祈願を続けている。本校は沖縄県立美里高校が中心となっている修学旅行ネットに参加し、各校や沖縄の様々な情報を入手することができた。廊下に沖縄コーナーを設置し、生徒のレポートや見学地のリーフレット、「嘉手納町と基地」と題したホームページなどを印刷したものを掲示し、生徒の修学旅行に対する意識を高めた。修学旅行ネットを活用し、本校から情報を発信し、生徒が交流に関わることができればなおよかった。

・実施項目4(選択科目での活用)

  今年度より土曜日に開講された選択科目の「パソコン入門」と「海外研究入門」で、ネットサーフィンを行い、種々の情報の入手方法を学習した。成果を本校ホームページに掲載することは今後の課題としたい。

・実施項目5(教材活用)

  高校では地理や現代社会の副教材の作成にインターネットを活用し、教科書とは別に種々の情報を入手し、資料として活用した。

 ・重点企画1(「Me and Media」プロジェクト)

   この重点企画は同志社国際高校が中心となって、ヨーロッパのESPに参加している高校と決められたテーマについてE-mailの交換をすることによって、テーマに対する理解とコミュニケーション能力を高めることをねらいとしている。11月に本校を含め5校の参加が決定し、数回の研究グループ会議を経て、1月より本格的に始まった。もう少し時間があれば成果が上がったと思われる。本校では英語科と社会科の教員がTTで取り組み、TTの方法についても理解を深めることができた。最初意識のずれが見られたが、担当教員が同志社国際高校の授業を参観してからは、授業のねらいや進め方が明確となってきた。

 ・重点企画2(既存データベースの活用)

   この重点企画は、検索ワードや月日を入力することにより、日本経済新聞の要約記事が簡単に入手できるシステムを活用することにより、社会事象に対する理解を深めるとともに、情報活用能力を高めることをねらいとしている。授業で活用しようとしたが、新聞記事を検索できるパソコンが少なく、内容的にも利用できにくかったので、教材研究として用いた。社会事象の原因や背景などが詳しく述べられている方がよかった。このような情報検索システムが他社でも整備されることを期待している。

○平成9年度の成果と課題

 ・活用方法:共同利用企画ではディベートを通して、他校の生徒や先生方とコミュニケーションを図ることができた。この成果は今後の交流活動につながると思われる。重点企画では異教科の教員が共同で授業に取り組んだが、国内や海外の高校と、あるテーマについてE-mailを交換することによってコミュニケーション能力を高め、異文化理解や自己理解が深まってくるものと思われる。クライアントが6台であるため、放課後や昼休みを利用し、課題に取り組んでいる生徒の姿もうかがえた。クライアントの稼働率は高まりつつある。

 ・教育効果:教科や学校を越えた交流を進めることによって、新しい学習の創造へと可能性がふくらむ。今年度は英語科と社会科が協力し、英語科1年のインターネットの授業(週1時間)に取り組んだ。東北学院高校や同志社国際高校などとの交流が進みつつある。今後は生徒会や各教科、公務分掌などにおける活用が進み、新しい分野での教育効果が期待できるのではなかろうか。進路選択の支援として、対外的に学校の特色をアピールする手段として、インターネットの活用が期待されている。

 ・技術的課題:今年度担当者が替わったため、クライアントおよびサーバの管理と運用に時間と労力がかかり、技術的問題に対する不安がいつもあった。時間をかけて引き継ぐことの必要性を痛感した。幸い担当者が直せないトラブルは少なかったが、今後技術的なトラブルは頻発すると思われる。その時のためのサポート体制を構築しておかなければならない。また教職員のインターネットに対する関心を高め、理解を深めるための研修を増やし、支援活動を継続していくことも必要である。さらに校内LANの整備ができていないため、インターネットを活用できる場が限定されている。コンピュータ室で自由にホームページを見たり、E-mailを交換できるよう配慮したが、多くの生徒や教職員にとって開かれた場となっていないようである。教室を利用するマナーやネチケットを学びながら、多くの生徒や教職員がインターネットを活用できる環境づくりに今後とも取り組まねばならない。

 ・リテラシー:クライアントの稼働率が高まり、授業での活用も増えれば、インターネットに対する理解は深まると思われる。今年度は昼休みや放課後にパソコン教室を利用する生徒が増え、メモしたURLを入力しホームページを見て感動する生徒や、自主的にE-mailを送る生徒、さらには研究活動の一環としてインターネットを活用する教員もいて、コンピュータ室が活気を見せていた。パソコンを1つの道具とするためには、コンピュータ室の機能と図書館の機能を融合させる必要がある。さらに視聴覚機器を増やし、少ないクライアントのもつ機能を補完することも課題である。

○新100校プロジェクトに参加して

  前年度の成果と反省をふまえ、今年度はインターネットの授業での活用を進め、共同利用企画や重点企画に積極的に参加し、自主企画を推進しようとしたが、特に自主企画で十分な成果が上がらなかった。地域の核としての活動は今後の課題である。最後になりましたが、本校のプロジェクトを支えていただいた通産省、IPA、CEC、CSI、そしてプロジェクト参加校の先生方に厚く感謝申し上げます。