山形県立庄内農業高等学校

○ネットワークの利用状況

《今年度重要課題における実施概要》

 ●国際化について

  (1)交換留学生とのe−mail交換

     今年度、ブラジルからの留学生(パウラメイレレス)が本校で学び、また本校の生徒がブラジルに留学している。この二人をベースとし、ブラジルとmailを交換し、お互いの国の文化の違いや高校生の違いについて意見交換ができた。

  (2)Cu−SeeMe・Netmeetingの実施

     今年度、小型CCDデジタルカラーカメラを2台設置し、山形県産業教育フェアの展示発表部門でCu−SeeMeを実践した。これを機会に海外との交流にも挑戦し、生徒は外国との距離感のない交流を体験することができた。

     また、Netmeetingにも取り組み、基本的な会話でしかなかったが、英語力の向上にも役立った。

 ●地域展開について

  (1)本校同窓生との交流

     本校の同窓生らが農業を経営しながら個人的なホームページを開設したり、関係機関との情報交換を実践しており、そこに参加させていただき、農業の将来などについて、生徒を含めての交流を深めている。

  (2)地区中学校技術家庭科教員研修会の実施

     昨年11月、中学校技術家庭科教員を対象とし、インターネット教育についての研修会を実施した。中学校の情報教育の進展に伴い、将来に備えての研修であったが、ホームページ作成実習では本校職員及び生徒らが講師となるなど、お互いに対して有意義な研修会であった。

  (3)自治体広報課担当者研修会へのネットワーク環境の提供

     地域との連携事業の一環として、本校の情報環境を地方自治体の研修の場として積極的に提供している。現在では、ホームページを開設している自治体が急激に増加していることから、担当者も有効に活用した。

 ●情報技術の高度化

  (1)機種の更新

     今年度機種の更新に伴い、ネットワーク環境が大幅に改善された。一人1台のインターネット接続が可能となり、また生徒の情報収集の高速化が実現し、教科の進度にもかなり有効な影響を与えた。

  (2)校内LANの充実

     機種の更新と並行して、校内LANも充実することができた。図書館・進路指導室・教材室(補習や教員研修の場として利用)・流通実践室への配線も整備され、今後の利用について大いに期待される。

《各学年における実施概要》

  生産情報科1年 インターネット(ネットワーク)に関する基礎的学習

          (具体的内容は昨年同様)

  生産情報科2年 地域の紹介を中心としてのホームページ作成実習

          (具体的内容は昨年同様)

  各学科3年   プロジェクト学習及び課題研究における情報収集・情報発信「各農業教科」及び
          「総合実習」「課題研究」などの研究成果を、農業クラブや校内・各科内で発表す
          るプレゼンテーションの方法として活用している。

《主な実施項目》

  (1)科目「総合実習」

     本校の各学科で実践しているプロジェクト学習(一部)の研究成果の情報発信

     農業科学科  水稲直播栽培の研究

     園芸工学科  ストックの組織培養

     生産情報科  本校気象データによる稲生育ポイントの検証

  (2)科目「課題研究」

     生産情報科3年の生徒が1年間取り組んだ調査・研究・実践の内容を掲載

     例えば、フライフィッシングの世界

         自分にあったスペシャルドリンクを作ろう

         学校農業クラブについて−特に農業鑑定競技−

         スクリーンセーバーの作成

         コンピュータで音楽を奏でよう

○平成9年度の成果と課題

《活用方法及び教育効果》

  (1)プロジェクト学習・課題研究の充実

     100校プロジェクト開始当時はクライアントが1台であったため、授業に活用することが極めて困難であったが、機種の更新に伴いLAN環境が充実し、現在は生徒マシン40台、管理室6台とクライアント環境を大幅に増設できた。それに伴い、授業への活用が容易かつ高速化し、生徒の使用頻度も高くなった。特にプロジェクト学習や課題研究では、研究テーマの設定や情報収集、研究データの整理・分析、そして研究成果の情報発信まで、インターネットをフルに有効活用できた。

  (2)生徒・地域の関心の向上

     1年目より2年目更に2年目より3年目と生徒の興味・関心が高まり、多方面に及んでインターネットを活用し、有効に利用する生徒たちが大幅に増加した。

     また、本校の設備や実践などに対する地域や関係機関の関心も高まり、今後のインターネット教育の実践や研修会の実施など、より一層の期待が高まっている。

《情報リテラシーおよび当面の課題》

   インターネットで得られる情報は、専門高校にとって有益なものが極めて多い。指導者側としても生徒の対してある程度自由に情報を検索できる環境を提供していきたい。

   その反面、使用者のモラルやエチケットについての教育も不可欠である。クライアントの増設に伴い、ネットワークに接する機会が多くなった生徒に対しての判断能力の育成が当面の課題となる。また、生徒に提供できる情報の精選についても、技術的に取り組んでいく必要がある。

○新100校プロジェクトに参加して

(1)国際交流の深化

 今年度取り組んだCu−SeeMeでは、近隣する高校との交流が実現した。また、交換留学生をベースに国際交流も深化したが、これを機会に、世界の農業クラブ組織との情報交換や海外農業研修や委託実習の架け橋としての役割を果たしていきたい。

(2)地域農業への貢献

 本校に設置してある気象観測ロボットのデータを加工分析し、ネットワークを通して農家に情報を提供するなど、地域農業の発展に貢献できた。今後も農業経営者の情報交換の場としての役割を担っていきたい。

(3)施設設備・ネットワーク環境の改善

 今年度の施設設備の充実によって、授業の進度も大幅に改善された。また、授業展開の工夫にも色々な可能性が生じ、また来年度様々な取り組みが期待される。今後は校内LANの校務への活用なども検討していきたい。