奈良県立高取高等学校

○インターネット利用状況

●授業での活用

 ・本校では選択科目として「情報活用1」(2年普通科、国際科)2単位、情報活用2(3年普通科、国際科)2単位があり、2名の教員が担当している

   @情報活用1(普通科2年、国際科2年)

     基本操作の学習、インターネットツールの利用方法の学習、HTMLによるホームページの作成練習、写真や画像のファイル変換の練習とHTMLへの掲載練習などを行った。

   A情報活用2(国際科3年)

     インターネットのしくみの解説、WWWブラウザーの使い方の学習、ネットサーフィン、HTMLによる自己紹介ホームページの作成練習、グループによる特定テーマのホームページの作成練習、電子メールの扱い方の練習等を実施した。

●課外活動等での活用

 ・留学生の活用

   受け入れ留学生(ブラジル、オーストラリア、コスタリカ)にアカウントを発行した。留学生は全員、インターネット特に電子メールを頻繁に利用した。

 ・姉妹校交流生の利用                  

   姉妹校交流生(アメリカ、韓国、オーストラリア)は積極的にインターネットを活用した。自国の家族や友人へのメールのやりとりは高頻度であった。

 ・留学経験生徒の利用

   本校生で、短期や長期の経験者が数十名に及ぶが、ホストファミリーや留学先へのメ電子メール交換を意欲的に行う生徒がかなりいた。

 ・帰国子女教育への活用              

   中国残留引揚者子女が数名在学中だが、中国語による電子メールの活用を行った。

●その他の教育活動での活用

 ・図書室での活用

   図書室ではパイロット電子図書館システムを活用した。

 ・進路情報の取得             

   各種大学情報の取得等、進路関係の資料の収集に関しては連日多数の生徒が利用した。

●条件整備

 ・ネットワーク

   環境の不安定に伴うエラーの多発対策

 ・新100校プロジェクト終了に伴う新しいインターネット環境の検討

 ・ハードウェアのリース切れに伴う平成10年

   4月からの設置機器の新規要望及び新校内LAN環境の見直しと再構築案の作成。

○平成9年度の成果と課題

●活用方法

  前担当者はネットワークの知識も豊富で熟練した教員であったが、他校へ転勤し、本年の担当者はパソコン、ネットワークとも全くの未経験者であった。そのため昨年までと比べて十分な活用はできなかった。

  特に、ネットワーク関係は、昨年までの多岐にわたる活用と比較して、ほとんどできなかった。今年度の活用はネットサーフィンとE-mailの交換とホームページの作成練習が中心となった。メーリングリストの活用や各種交流プロジェクトへの参加は不十分であった。

  また、頻繁に生じる接続不良に対する技術的な対応ができず、接続不可能の期間がかなりあった。

●教育効果

 ・放課後の利用者は連日十数名を超えるにぎわいで、ホームページの閲覧、電子メールの活用を中心に利用頻度は高かった。

 ・他教科の課題作成、レポート作成の資料収集手段としても相当数のインターネットの利用があった。インターネットを開かれた百科辞典的な資料収集の道具として効率よく利用する生徒が複数名いた。

 ・汎用ソフトの使い方、Hypertalkによるプログラミング、HTMLによるホームページの作成などを授業で行ったが、理解しやすさからか、ホームページ作りにたいして意欲的に取り組む生徒が一番多かった。

●技術的課題

 ・生徒用コンピュータは5年前のもので以下の仕様である。

   MacintoshLC2(68030 33MHZ)メモリー6M HDD80M

 ・本体CPUの処理速度不足、メモリー不足、ハードディスクの容量不足による処理能力の遅さとその改善改良方法が予算的にも技術的にも手だてがなかったため、効率的な利用方法を見つけるのが難しかった。

 ・特にWWWで情報検索する場合のスピードの遅さは致命的で、URLを入力したものの情報の転送が終わらないままに授業終了ということが何度かあった。

 ・WWWで音声や動画の受け取りができず生徒から苦情が相次いだ。

 ・ネットワークの切断が頻繁に起こるようになり、安定した使い方ができなかった。また、知識不足のため技術的な対応ができなかった。専門の知識や技術を持つ担当者の常駐の必要性を痛感した。

●リテラシー

 ・生徒はインターネットに対して低効感がなく簡単に自由に楽しんで活用できるようになった。

 ・教師間でも学習会を行い、リテラシーを高める工夫が必要を感じながら、担当者の力量不足と時間不足のため開催できなかった。

 ・情報活用の授業だけでなく、他教科の学習時間にコンピュータラボを使ってもらえる環境作りができなかった。

●その他

 ・解放講座 「高齢者のためのインターネット入門」の開催

   8/15(金)〜18(月) 参加者 約20名

    夏休みに高齢者のためのインターネット入門講座を企画したところ申し込みが殺到し抽選で受講者を選ぶ状況であった。受講修了者の中にはその後自分でホームページを作成運営しているとの報告をいただいている人もある。尚、本講座の概要は本校ホームページに掲載されている。

 ・講座「教員のためのマルチメディア入門」(社会教育センター主催)

   8/27(水)〜29(金) 参加者 約10名

    教員を対象に主にインターネットの体験、ホームページの作成講座を開催した。

○新100校プロジェクトに参加して

  インターネットはネットワークに関して素人が、前任者の後を引き継いでこのプロジェクトに関わることとなり、当初は全く途方に暮れた状態であった。CECの担当者や前任者の助言と助けにより、基本的な扱いはなんとかできるようになったが、まだまだ十分な活用を行ったとはとてもいえない状態であった。特に、ネットワーク環境の利用に対してよりも、運用やメンテナンスの難しさ、トラブル発生時の対応の難しさに対しては途方に暮れざる得ない状態であった。インターネット環境が、今後もっと普及するためには、スピードアップや料金の低価格化だけでなく、ネットワーク関連の専門的な知識がない者にも簡単に利用でき、トラブルの発生しにくい安定した環境の構築が必要だと痛感した。

  恵まれた環境を提供していただきながら、十分活用できなかった点を、お詫び申し上げたい。

(主担当 一柳恵信)