桐蔭学園中学校

○設備環境

 ・本校は、100校計画に中学校男子部が参加し、今年度も貸与された設備は、中学男子部が引き続き使用しなければならず、新100校計画は、結果的に全て自主財源で進めることになった。また、専用線の工事等も新100校の担当者にはなんの連絡もなく進み、全体的なネットワークの計画も立てられずに今日に至ったのは残念なことであった。これは、校舎が全く別であることと、中学校男子部の前任者との連絡不足で諸経費の請求や設備の補助申請など、どのようにすればいいのか分からない内に1年間が過ぎてしまったことも原因であるが、本校を訪れたCECの方も校舎見学をしていたので適切なアドバイスが欲しかったのは事実である。

 ・上記の関係で、女子部の接続環境は、デジタル回線の補助を希望をしていたものの何の連絡もないままに時が経っていってしまった。そのため事前に計画していた交流校や海外の学校の方に迷惑をかけてしまったことをお詫びしたい。

 ・本校は一般の生徒にもインターネット接続のためにオープンスペースにPCが置かれ、休み時間など自由に使用できる環境が以前からあり、多くの生徒が活用しているため、専用のPCと活動場所を確保した。また、取り急ぎISDN回線を引き、MN128-SOHOを購入し、8ポートのHUBを本校の大学より借りて、PC6台を接続し、国際交流同好会の生徒に専用で使用させることことなった。

○目的

・インターネットを利用しての国際交流の実施

  イエール大学大学院生との交流

  オーストラリアの学校との交流

  ドイツ桐蔭学園との交流

  アメリカの交換留学生との交流

◯実施結果

・実施内容

  毎月、イエール大学大学院にいる元本校の国際交流員の大学院生(マッシュ・クロー氏)が、イエール大学の学生寮に住む世界70カ国から集う大学院生に自国の紹介をビデオメール(内容は全て英語で毎回5本)で送信してもらい、2週間の間に生徒はそのビデオメールの内容を確認し、月に2度、その大学院生とリアルタイムでそのビデオメールの国についての英語での通信を実施した。現在も、定期的に実施している。

  他の交流は、引き続き準備を進めているが上記の出発が遅れたために改めて計画を練り直している。ドイツ桐蔭学園との交流は、98年の4月より実施できる環境が整う予定である。

・実施方法

  ソフトは、マイクロソフトのネットミーティングを使用した。ディレクトリーサーバーが幾つかあり、多くは生徒が接続するには危険なメンバーで構成されているものがほとんどで接続にはfamilyグループを使用することとした。当初、映像と音声によるリアルタイム通信を予定していたが複数のPCの接続のため、チャットによる通信となった。また、都合が悪く参加できなかった生徒には、その日の国についてのWorksheetが問題形式で送信され、それを答えて電子メールで返信すると添削されて送信してもらった。

・生徒の反応

  ビデオメールで送られてきた内容が、マッシュ・クロー氏の工夫によりわかりやすく構成されているため少々英語が苦手な生徒でも積極的に参加している。また、いろいろな国の情報に興味をもってくれた。

・問題点と課題

  イ) ネットミーティングで使用できるディレクトリーサーバーの多くが、危険なメンバーで構成されている場合が多く、接続・使用を管理しなければいけなかった。

  ロ) 時差の関係で土曜日の午後1時からしかリアルタイム通信ができない。マッシュ・クロー氏は夜の2時(現地時間)までつき合ってくれたがそういう相手がいないとリアルタイム通信が実施できない。

  ハ) ネットミーティングでは、1対1でしか映像と音声でのリアルタイム通信ができない。止む終えずチャットによる通信となったが、複数による映像と音声でのリアルタイム通信が望まれる。

  ニ) チャットによる通信となり、キーボード入力の慣れが重要となったがアメリカと違い、タイプ練習のような指導が特別なされていないため当初うまく応対ができなかった。(マッシュ・クロー氏が複数を相手に適宜対応してくれたのに助けられた)

  ホ) 一般生徒との差別化で進めてきたが、最終目的は誰でも気軽に他の国の人々と自由に交流できる環境を整備しなければいけないが、多くの危険性が待ち受けていることも事実で、公的機関の積極的な対応が望まれる。

・今後の展開

  オーストラリアやアメリカの学校との交流計画を進め、ただ単なる友達つきあいにとどまらず、国際的にボーダレスの意識を生徒に植え付けさせたいと考えている。そのためには交流のテーマを明確にし、多くの生徒に気軽に参加させていきたい。

  また、今回のような取り組みにより、全学ネットワークの計画も進んだ。各教室にインターネット接続のための回線が設置され、今後はハードより、いかにその環境を生徒の教育に生かして行くかいう、ソフト面での課題が多くのウェイトを占めてくる。更なる工夫とアイディアが必要だと痛感している。