歌志内市立歌志内中学校

○インターネット利用状況

◆電子メールの交換

 (1) メール同好会

   生徒の要望で、E−mailを利用した交流(主に海外)を主体として結成された。手始めにアメリカのノースキャロライナ州ウエストミルブルーク中学校の生徒とメール交換を始めた。交流歴はそれほど長いものではないが、2,3年生の男女数名は特定の相手とメールを交換している。交換手段は英語なので、ある程度の補助は必要とするが、3年生程度の学習内容で十分活動が続けられるものと思う。今後は、イギリスやその他の国々、国内の中学校との交換を広げていく計画を持っている。

 (2) 生徒会の交流

   執行部の生徒が他校の生徒会執行部とメールの交換をすることによって、生徒会行事や生徒会活動についての日常の問題点などについての交流を行った。

 (3) パソコン部の生徒による交流

   それぞれ自分自身で交流の相手を見つけ、自由な形でメールのやりとりを行っていた。中には、チャットルームを見つけ見知らぬ相手とチャットを楽しむ生徒もいた。

◆ 授業での活用

 (1) ティームティーチングの中での活用

   7月にALTの先生が交代したので、出身地について生徒に伝え説明する授業を行った。その際、インターネットを通じてイギリスのブライトン市の情報を入手する事ができて、とても興味深い資料作りを行うことができた。情報内容はすべて英語のため、JTEの方で必要な事柄のみを和訳して資料を作成した。授業は公開形式で3年生を対象として行ったが、生徒の関心をひく楽しい授業になった。その後、アメリカのNASAからの情報等も取り寄せて、スペースシャトル外での船外活動等を中心とした宇宙の話題の情報などもティームティーチングの中で生徒に伝えることができた。

 (2) 教科書の内容に添った資料作りに活用

   英語の教科書には諸外国についての記載が色々でてくるが、詳細なものが少ない。たとえば、ネパール、オーストラリアなどについても社会の授業並にそれらの国々の文化、国民についてしっかりとした情報を生徒に理解させ、その上での英語学習をおこなわねばならない。インターネットを利用すると世界各地の情報を容易入手できるので、生徒に興味を起こさせられるような旅行記を中心に情報を収集し、授業で紹介したり廊下に掲示して興味や関心を持たせた。

 (3) 1年生技術での活用

   平成8年度は「学級紹介のページ」づくりや、校内でのメールの送受信を体験させながら、インターネットへの興味や関心を高めるようにしてきた。今年度はそれらに加え、「pioneer trail」に参加した東京の関口さん一家とメールの交換をすることによって、校外との交流も取り入れ、インターネットの広がりを体験させた。

 (4) 特別活動での活用

   修学旅行の計画の中に弘前市で班単位の自主研修を取り入れている。昨年度までは、まとめを壁新聞として校内に掲示してきた。今年度は、壁新聞形式に変わり班ごとに研修の結果をまとめたページをつくり、学年全体で「修学旅行のまとめ」としてホームページへ登録をすることにした。現地での取材、資料集め、写真撮影などを各班ごとにおこない、学級活動や放課後の時間を活用して、それぞれ工夫をしながらページを作った。

◆ 障害児学級での活用

  普通学級へのパソコン導入はあっても、障害児学級への導入はほとんど考慮されていないのが実態である。とかく閉じこもりがちになりやすい障害児学級であるが、普通学級や近隣の障害児学級との交流を数多く行い、その弊害を克服するようにつとめてきた。昨年度から、インターネットを使うことによって、様々な人々との交流を通してさらに幅広いコミュニケーションの世界が体験できるのではないかと考え、メールの交換を行ってきた。また、継続観察を通して、協力性、責任感、根気強さなどを身につけることができると考え、共同利用企画の「さくらの樹」の観察や「わたの観察」を行ってきた。今年度は、その成果をさらに発展させるべく、「さくら日記」「ケナフの観察」の企画に参加した。「さくら日記」は当初のねらい通りに実施できたが、「ケナフの観察」は、多くの学校からの援助をいただきながら、残念ながら学校内外の行事に追われ途中で挫折してしまった。来年度は新しい企画に参加して頑張っていきたいと思っている。

◆ パソコン部での活用

  インターネットが導入されてから、メールの交換、ホームページづくり、様々な情報検索などを中心に活動してきた。今年度は、歌志内市開基100年に当たって、自分たちの目で歌志内市を見直してみようという発想で、「歌志内市再発見のページ」を作ることを大きな柱として活動した。グループごとにテーマを設定し、校外に出かけて資料集めを行った。その過程で、資料等の掲載の許可をもらうなど著作権についての学習をしたり、地域の人たちとの会話を通してコミュニケーションの輪を広げたり、自分たちの郷土を改めて見直すことができた。

◆ 環境教育での活用

  平成7年度から、共同利用企画の1つである酸性雨の観測に参加して環境問題に取り組んできたが、平成9年度からは、GLOBE計画の指定校になり、現在は気象観測のみだが毎日観測を行っている。

◆ 地域の核として

  パソコンが導入された当初から、市民講座、近隣市町の教職員研修会、視察希望校の受け入れなど様々な活動を行ってきた。特に、平成7年度からはインターネットを中心の講座や研修会を行い、多数の市民や近隣市町の教職員が参加し、地域の核としての役割を果たした。

○ 平成9年度の成果と課題

  平成7年4月、サーバー機、クライアント機各1台でスタートしたプロジェクトであったが、平成8年度には、旧タイプのパソコンながら自力で8台のクライアント機を増設することができ、その活用の幅が広がった。9年度は予算要望が認められ、10月に39台の生徒用機が導入され、全てがインターネットに接続された。その上、各関係機関のご尽力のおかげ通信回線がアナログ回線からデジタル回線に切り替わり、今までに比べ使い勝手が飛躍的に向上した。その結果、前述のように従来よりもいろいろな面で成果を上げることができたが、反面今後解決しなければならない新たな課題もいくつかでてきた。

   (1) 1人1台の環境になり、情報検索も気軽に素早くできるようになったため、有害情報に接する機会が多くなってきた。それらに対応するためのフィルタリングソフトの導入が必要になってきた。

   (2) Windows95マシンを不特定多数の生徒が使用するため、システム環境がトラブルに見舞われることが予想される。そのトラブルを防止するためのセキュリティ管理をどのようにしたらよいか検討していかなければならない。

   (3) どのマシンからでもメールの送受信が可能になったが、個人情報の保護やネチケットの指導などを今まで以上に強化していかなければならない。

○ プロジェクトに参加して

  本校では、平成3年度のパソコン導入時より、パソコンは生徒にとっても教師にとっても道具の1つであり、使いたいときに、使いたい人が、使える範囲で使う、という観点で活用をはかってきた。100校プロジェクト応募の時もそのような観点で応募した。以来、地味ではあるがこつこつと実践を続けてきた。他校に誇るようなめざましい成果を上げることはできなかったが、何時でも、誰でもが、使いたいときに使える環境と素地ができてきた。また、生徒、教師、地域にインターネットの持つ可能性、有効性が徐々に認められ、様々な形でインターネットの利用が行われてきている。100校プロジェクト、新100校プロジェクトと3年間多くの方々に支えられながら実践を進めてきたが、今後も今まで通り、地道に本校なりの取り組みを続けていきたいと思っている。