東京都立新宿山吹高等学校

○インターネット利用状況

●授 業

 ○全 般

  □教材作成に利用

    教材作成の素材やアイディアを得るために利用する教員が増え、すでに把握できないくらいの活況にある。得られたデータはプリント化されたり、ノートパソコン等でそのまま教室に運ばれる。

  □連絡に利用

    他校との生徒作品の交換などに電子メールを利用するケースが目立つ。

 ○情報科

  □課題研究

    もはやこの教科での利用は一般化し、何指示されることなく情報を検索し、課題の達成に利用している。動機付けの必要もないほど日常的に利用されている。ひとつの理想的な授業利用だろう。

  □情報処理

    今年度より7展開しているすべての担当者がインターネットとHTMLの文法を学習することとなった。これは次年度以降も継続されることに決定した。授業は後期いっぱいかけて行われる(山吹は2期制)。

  □情報管理

    インターネット上から情報を得てデータベース化する手法が確立、データベース利用の一部分として授業に取り入れられた。ニーズが高いため、次年度以降ネットワーク部分に特化した情報管理も置くことが決定した。

  □文書処理

    より上位な文書管理手法として、文書を構造として記述・管理するHTMLの勉強を一部で取り入れた。

●発表会・講習会

 ○9年度第1回情報科体験入学

  全中学生を対象にした体験入学にて、インターネットの体験を行った。

 ○9年度第2回情報科体験入学好評につき、本年は2回行った。中学生の保護者もいっしょになって体験した。

●WWWによる情報発信(授業外)

 ○卒業してからホームルーム

  昨年度にはじめた卒業生参加のページは、掲示板も加わり活気にあふれていた。

 ○いかにもタコにもインターネット

  昨年より引き続き好評を得ているこのページは、校内のイントラネットへと発展した。

●紹介・執筆・学校訪問(一部抜粋)

 ○学校向け壁新聞 国際フォトニュース

  「情報化時代の社会科シリーズNo4」で山吹高校を紹介、クラブ活動の写真も掲載された。

 ○EUより訪問者(9年9月26日)

  日本におけるインターネットの教育利用を視察していった。

 ○日本教育新聞で紹介(9年9月27日)

  「わが校のインターネット 10回目」という部分で紹介された。

 ○イギリスより訪問者(9年10月15日)

  下院議員が3名来校。日本におけるインターネット活用状況を視察していった。

 ○その他 多数の訪問者あり

  紹介しきれないので、割愛します。

○平成9年度の成果と課題

 ○山吹校内イントラネットの構築

  外部には見えないサーバ内に利用促進をめざしたイントラネットの構築を行った。4部構成になっていて、学習レベルに応じて利用していけるように工夫されている。

  ●知る

    ハードウェア、ソフトウェア、インターネット、マナーなどが載せられ、これからパソコンやインターネットを利用する時に必要となる知識を得ることができる。

  ●見る

    Webページ、情報に接することを覚えるリンク集のページ。Webページをブラウズすることで、インターネット利用の基礎を知る。使う直接検索エンジンを利用できるページで、情報検索を実体験する。検索エンジンは著名なものを中心に集めている。

  ●作る

    情報処理などでホームページを制作するときにテキストとしても使えるページ。情報発信のきっかけとすることができる。

 ○教育相談 新しい生徒指導の形

  山吹は単位制というめずらしい形態のため、中学校や中途退学者も含めて非常に問い合わせが多い。電子メールによる問い合わせも、月2通から3通は必ずやってくる。単純に学校の仕組や制度から一種の教育相談まで、内容は多岐にわたる。Webマスターとして教頭・教員が登録してあるため、こういった問い合わせに即座に対応することができるようになっている。また、本校の生徒であっても電話連絡を避ける生徒の場合は、電子メールによる連絡が有効に機能している。 

 ○その他

   今年度より80台以上もの端末を接続しての運用となった。さすがにアクセスが集中すると全体が重くなり、授業進行に支障をきたしそうになることもたび重なった。

   平成10年度はさらに40台以上の接続が予定され、ついに100台を上回る規模での運用となる。回線速度やスループットの向上が、今後重要な課題となるだろう。

○新100校プロジェクトに参加して

  1年目は「あらゆる挑戦」の年であった。インターネットそのものを覚えぬことには、授業への展開もままならない。必死で勉強し、様々な活用を模索した。

  100校をはじめとする先駆校の取り組みによって、Webページからの情報利用、検索、電子メールでの交流やオンラインディベートなど、さまざまな利用方法が確立されてきた。また、国際交流やエチケットなどの周辺部分も、急速に整備されたのも成果である。

  2年目は「コンテンツの確保と増強」の年であった。単にインターネットをからめれば先進的な授業になるといった幻想の時代は終わった。いかに魅力ある使い方ができるか、そのためにどんなコンテンツが用意できるかということに奔走した。そして3年目は「内なる充実」の年であった。授業への利用拡大という過程は終わり、使ってあたりまえという位置づけで展開してきた。授業との融合に関しては、完全に定着したといってよい。

  3年間プロジェクトを行って感じたこととしては、「教科や科目を縦断して利用することが非常に多い」ということがある。もはやどの教科のどの部分などと特定して授業することすら難しい。ともかく生徒は、あらゆる教科・科目を縦断して学習しているのである。また、インターネットを利用して、結果ふりかえったら様々な部分を学んでいた。そんな利用が理想ではないだろうか。

  生徒は教科を学びたいから教科を学んでいるのではない。インターネットは何のために学ぶのかという、学校や教育の原点に立ち戻される重大なインパクトを我々に与えてくれた。