5.11 理科課題研究のホームページによる発表
茨城県立岩井高等学校 土田 尚宏
 
5.11.1 概要
 
 岩井高校では,2年次に就職,専門学校進学希望のT類型と大学・短大・医療系専門学校などを希望するU類型に分かれる。U類型の3年次には,理科の選択があり,化学U,物理U,生物Uから選択する。これらの科目においては,課題研究が設定されているが,その発表の場としてホームページ利用しようとするのが本企画である。今年度は,物理Uの授業の中で実践を試みた。
 
5.11.2 実施
 
5.11.2.1 実施対象
 
 3年5,6組の物理U選択者31名,7,8組の物理選択者31名を対象に実践を行った。進学に物理が必要な生徒はわずかであるので,課題研究の内容は問わず生徒たちが興味のあるテーマを選ばせた。この生徒たちは,岩井高校にインターネットが導入された年度に入学し,ある程度インターネットに慣れ親しんでいるが,ホームページを持っている生徒は少ない。
 
5.11.2.2 実施日程
 
 平成9年12月8日〜平成10年1月27日 
 
 (1)課題研究の概要説明(1時間)
 これから始める課題研究の進め方,日程について説明する。
 (2)グループの編成(1時間)
 5,6組,7,8組でとも6グループに分けたが,各グループの人数は制限しなかった。残りの時間は,テーマの設定に利用した。
 (3)テーマの設定(1時間)
 インターネット,図書室を利用して自分たちがやりたいテーマを考えさせた。物理を進学に使う生徒がほとんどいないため,内容は高度な本質を探究するものではなく,ほとんどが楽しそうな実験をテーマに選んでいた。
 (4)準備(2時間) 
 グループでまず何が必要であるか考え,誰が何を準備するか分担を決めるが,この準備に時間がかかった。 
 (5)実験や制作(6時間)
 各グループごとに実験や制作を行ったが,途中で他のグループのテーマに興味を持ったりする生徒もいて,全生徒が自分たちのテーマに集中して取り組めたわけではなかった。この取り組みで最も時間を割くべきこの部分で十分な時間がとれなくて,中途半端な取り組みで終わるグループもあった。
 (6)報告書の作成(2時間)
 各グループごとに課題研究の報告書をまとめさせた。
 (7)ホームページの作成(3時間)
 報告書を元に,また実験や制作の途中のビデオの映像などを利用して,ホームページを制作した。ホームページを完成するところまで行かなかったグループもあった。
5.11.2.3 課題研究のテーマ
 
 (1)「電場で遊ぼう」
 (2)「レンズのいらないピンホ?ルカメラ」
 (3)「ぷーぅっとふくれるカルメ焼き」
 (4)「パン屋もびっくり”電気パン”」
 (5)「クリップモーター」
 (6)「巨大シャボン玉を作ろう」
 (7)「簡単わたあめ製造器づくり」
 (8)「アルミ缶と炭でつくる強力電池」
 
5.11.2.4 ホームページの作成
 
 (1)ホームページ作成環境
 
   ・Windows95
   ・秀丸エディタ
   ・Netscape Navigator Gold 3.01
   ・WS_FTP Limited Edition Version 4.04
   ・Paint Shop Pro 4.2J
   ・イメージスキャナ
   ・ビデオキャプチャーボード
   ・アナログビデオカメラ
 
 (2)作成手順
@イメージスキャナを使用したり,ビデオ画像からキャプチャーして,使用する画像を,パソコンに取り込み,画像処理ソフトで修正などを行い,JPEGとして保存する。
Aテキストエディタを用いて,ホームページをHTLMで記述し,フロッピーディスクに保存する。
BWWWブラウザを利用して表示させ,テストを行う。
Cテストの結果,問題があれば修正し,ホームページを完成させる。
D完成したホームページをftpクライアントソフトを利用して,サーバーに送る。
E岩井高校のホームページからリンクを張る。
 http://www.iwai-hs.iwai.ibaraki.jp/katsuyo/butsuri/
5.11.3 効果と課題
 
5.11.3.1 効果
(1)今までの教師に提出する報告書だけの場合に比べて,課題研究の成果をホームページにまとめることによって,人に伝えるための工夫をするようになった。それによって,表現能力が育成されたと思われる。
(2)課題研究の成果をホームページとして残すことにより,後輩に成果を引き継ぐことができ,次年度はよりよい課題研究における活動が期待できる。
(3)学校の教育活動の内容を対外的に発信することによって,とかく閉鎖的といわれる学校を開かれた学校に変えていくことが期待できる。
5.11.3.2 課題
 
(1)今回は時間的に足りなくなり,ホームページを完成できなかったグループもあった。来年度は,課題研究への取り組みをもっと早い時期から設定したい。
(2)今回は特に条件も付けずに生徒たちの希望通りにしたため,楽しさだけを求める傾向があった。次回は,研究としての最低限の条件を決めることによって内容的に高めたい。
(3)今年度は,課題研究の成果を報告書とホームページにまとめることまでであったが,今後は課題研究の発表会を行うなどして,生徒たちにプレゼンテーションをする機会を持ちたいと考えている。
5.11.3.3 まとめ
 
 今回は,物理U(4単位で実施)の中で研究の発表の場としてホームページを作成した。他に実施している化学U,生物Uでも課題研究の発表の場としてホームページを作成したり,課題研究発表会でプレゼンテーションを行うなどして,教科内容だけでなく,教科活動を通して情報発信能力やプレゼンテーション能力を育成したいと考えている。