5.17 日本最大の小学生用教科・領域別リンク集
札幌市立幌南小学校 藤村 裕一
5.17.1 概要
 
 これまで,さまざまな学校で学習に使えるリンク集を作成してきた。しかし,リンクの数が少なかったり,特定の教科にとどまるものが多かった。そこで,各学校でそのようなリンク集をつくるのではなく,共同運営で一つの大きなリンク集をつくることが望ましく効果的であると考え,日本最大の小学生用教科・領域別リンク集を作成し,全教科・領域を網羅することにした。
 
5.17.2 実施
 
 上記の趣旨に基づき,本校では約800のリンクをもつ小学生用教科・領域別リンク集「こうなんワンダーランド」を作成した。以下は,その具体である。
 
5.17.2.1 教科・領域別情報の収集
 
 まず,はじめに,教科・領域別にどのようなWebページがあり,本当に学習に使える内容であるかどうかを調査した。この調査に当たっては,「Yahoo」などのジャンル別のサーチエンジンの他,「goo」などのキーワードによるロボット検索のサーチエンジンを使用した。
 この調査は,予想をはるかに上回る時間と労力がかかり,非常に困難を極め,教科・領域別情報の骨子を収集さするだけで3か月ほどかかってしまった。
 しかし,一旦「こうなんワンダーランド」を立ち上げると,意外にも個人・企業・団体などのホームページ作者やサーチエンジン運営会社から,次々に新しい情報やリンク依頼が寄せられ,随時リンクの数を充実させていくことができた。
 以下は,個人で「樹木の図鑑」のホームページを開いている四国の営林署の方からのメールである。
 「私も樹木の図鑑のページを開いてます。樹木の解説と学名の意味の解説をメインにしてます。(森林関係のリンク集もありますが)
 学名の解説は、日本唯一だと思います。
 生徒さんには、学名の方は、難しいかもしれませんが、生徒によっては、深く勉強 する人もいると思いますし、リンクしていただければうれしいのですが。
 GOO's Homepage
 http://www.justnet.or.jp/home/goostake/WELCOME.HTM
 です。よろしくお願いします。」
 また,最近では,本校父母からの情報も増えてきている。以下は,父母からのメールの一例である。
 「3年1組○○○○の母です。
  子どものための「goo」が登場しました。
 http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/980331/konetgoo.htm
 その中で http://www.nova-ici.co.jp/nis/konet/
 「NTTテレビ電話会議システム「フェニックス」を使った英会話
 レッスンを実験的に無料で実施しており、体験してくださる学校を募集」
 (株)NOVA情報システム
 などというものもありました。
 おもしろそうだったのでお知らせまで」
 このように,当初は,本校で収集していた情報も,メールを通して広く全国のさまざまな立場の方たちから寄せられ,その後の「こうなんワンダーランドの」充実に大いに役立った。
 そして,収集されたWeb情報に基づき,どの教科・領域の学習で使えるかを判断して,国語,社会,特別活動などの教科・領域別にリンク集を作成していった。
 このように,教科・領域別の分類にこだわっているのは,一般のサーチエンジンに見られるような「社会,生活,エンターテイメント…」などといった分類が小学生にとって難しいからである。小学生にとって,最も身近でわかりやすい分類が「国語,社会,理科…」といった教科・領域であり,教科・領域別に整理することで,学習での活用もしやすくなると考えたからである。
 
 
 
5.17.2.2 学年別の情報整理
 
 図工の学習のように,どの内容をどの学年で学習するのか分けることができない教科・領域もあるが,国語や社会などのように学習内容が学年別にはっきりしている教科・領域もある。
 そこで,このような教科・領域では,学年別での内容整理もすすめ,さらに利用しやすくした。
 
5.17.2.3 外国語情報の日本語化
 
 図工のリンク集にある世界各国の美術館の情報などは,英語版しかなく,子どもたちには理解しにくいものもたくさんある。
 そこで,図工のバチカンのホームページのように,外国語のホームページをこちらで日本語に翻訳して解説し,そこからリンクを貼るようにしたものもある。
 
5.17.3 効果と課題
 
 この企画により,小学生用教科・領域別リンク集としては日本最大の「こうなんワンダーランド」を作成することができた。そして,全国各地の学校で盛んに利用していただいている。
 また,新聞,雑誌等をはじめ,各種サーチエンジンやさまざまな子ども向けリンク集,大学,教育関連企業,大手出版社のリンク集などで紹介された結果,小学校以外の方や,各家庭からのアクセスも増えている。
 現在は,全国の小・中学校教員,個人・企業・団体のホームページ作者の方たちと共同運営しているが,今後は,学校単位での共同運営もすすめていきたい。
 そして,さらに質・量ともに充実を図ると共に,外国語のページ内容を日本語化したリンクをすすめていきたい。また,最近は個人のホームページのURLの変更が頻繁になり,維持・管理そのものの共同運営も考えていこうと考えている。