20 「課題研究」共同研究
                   大分県立日田林工高等学校 河津文昭
 
5.20.1 概要
 
 「課題研究」については科目の設置以来、生徒の興味関心も高く、年々充実したものになり実績を上げている。この「課題研究」を複数の学校で同一のテーマを設定し、
その目標達成のためにネットワーク環境を用い、現在行っている学校の枠を越えた、より質の高い研究を行うことを目的とする。また、インターネットを利用して、情報の収集をおこなうことは意義深いことと思われる。
 
5.20.2 企画内容
 
5.20.2.1 企画の進め方
 
 本校では、3年生で課題研究2〜3単位を履修するようになっている。2単位を年間通じて行う学科と実習(2単位)、課題研究(2単位)合計4単位のうち前半(9月頃まで)を実習として、その後半年間、課題研究を行う学科がある。したがって学科によって課題研究を開始する時期が異なる。今年度については9月に100校プロジェクト企画委員会において各学科ごとの課題研究テーマ、研究概要、担当者を調査することにした。その調査をもとに本校のホームぺージに「課題研究共同研究」と題したページを設置した。(http://www.hitarinko-hs.hita.oita.jp/kikaku/kadai/kadai-m.html)
 そして、課題研究専用のメールアドレスを設定して(kadai@hitarinko-hs.hita.oita.jp)をホームページリンクさせメールで対応するようにした。
 aimitenoなどに広報し共同研究参加者を呼びかけた。また、インターネットを最大限利用して、情報収集やデータの確認を行うことにした。
 
表5.20−1 課題研究共同研究スケジュール
   月       予         定
   9月各学科ごとに課題研究のテーマを調査
   9月共同研究の進め方のマニュアル化
  10月各学科ごとの課題研究テーマ、募集依頼のWeb化
  11月共同研究開始、情報収集
  12月下旬まとめ
   1月まとめ、発表会
   1月反省
 
5.20.3 成果と課題
 
5.20.3.1 教育効果
 
 (1)考えられる教育効果
・お互いの意見の交換により専門的な知識技術が得られ幅の広い共同研究がなされる。
・メール等の交換によりネットワーク上のマナーおよび技術が得られる。
・場所が離れていてもリアルタイムによる意見交換が可能であり、音声、画像、動画等を用いれば同一教室内の会議と同じ状況をつくることができる。
・お互いの意見を交換したり主張したりする能力の育成。
・インターネットによる情報の収集は有益である。
 (2)共同研究を進める上での留意点
・生徒同士で細部にわたる計画を立て、充分に常に連絡を取り合い進行状況を把握しておくことが大切である。
・ネットワーク上のマナーには充分気を付けること。
・メールのみ(文章)では、誤解を生じやすい面もあるので音声、画像による意見の交換が必要である。
・担当教師間の連絡体制、打ち合わせを充分におこなうこと。
5.20.3.2 地域への広がり
 
 本校は新100校プロジェクトの重点企画「地域展開」に指定されていることから地元のインターネットユーザーの集まりである「日田インターネットの会」や地域にも課題研究共同研究を呼びかけた。地域での職業系高校のあり方などが問われる中、地域と密接な関係を持ち「開かれた学校」のイメージを持って頂き、なんらかの形で地域へ貢献を考えることにした。また、地場産業や地域とのつながりを考えるうえで重要な接点であると思われる。地域からは、建築科の課題研究「豆田町の町並み」に対しての意見(古い町並みとバリアフリー)が寄せられた。また、潟Iムロンからは「是非とも協力したい。」というメールもあった。
 
5.20.3.3 課題と今後の方針
 
 今回の「課題研究共同研究」に関する広報が少なかったこと、9月から共同研究校の募集を行ったこともあり、本年度については学校間の共同研究までは至らなかった。
 しかしながら、各学科ともネットワーク環境を使い情報検索、情報の収集、地域からの意見等を取り入れた課題研究のまとめがなされた。学校間の共同研究はできなかったものの課題研究でのネットワークの活用場面が見いだされたことが成果としてあげられる。
 今後は、早い時期に参加協力校の募集を行い積極的に呼びかけていこうと思っている。また、共同研究とまでいかなくてもネットワークを用いた情報交換としても充分価値があると思われる。これから教科としての「課題研究」は教科としても高く評価され、生徒の興味関心も高いことから来年度以降も積極的に進めていきたいと思っている。