5.30 地域に根差した教育の実践

 山梨県立谷村工業高等学校 手塚芳一

5.30.1 概要

 本校には、平成7年度からインターネットが導入され、平成8年度には第一計算機室に最新のWindows95システムが設置されるなど、高度情報ネットワークの設備と環境が整ってきた。平成6年度から取り組んできた「100校プロジェクト」の活動で蓄積されたノウハウを地域社会に還元し活用できれば、より一層地域に密着し開かれた学校として、地域の方々に親しみをもっていただけるものと考える。
 具体的には、学校設備の開放と生徒たちの地域行事への積極的な参加を実施した。

5.30.2 実施

5.30.2.1 学校開放講座

 生涯学習推進事業の一環として、地域住民を対象に本校のパソコン室でインターネットの活用講座を実施した。

 (1)概要

・対  象:一般成人37名
・実施期間:平成9年6月2日から6月27日にかけ週3日延べ12日間
・実施時間:午後7時から9時
・講  師:本校職員12名


図5.30−1 学校開放講座

 (2)学習重点課題

・インターネットの基本的機能の理解
・インターネットの効果的活用の方法
・地域紹介ホームページの作成

2 八朔まつりインターネットフェアー

 都留地域インターネット協議会と連携してインターネットフェアーを開催した。そのなかで、本校の生徒たちが小学生へインターネットのレクチュアを行った。

 (1)概要

・対象:小学生及び地域住民
・日時:平成9年9月1日
・場所:都留市立谷村第一小学校
・講師:電子情報科3年生

図5.30−2 インターネットフェア

 (2)内容

 電子情報科3年生を講師にしてインターネットの楽しさを理解してもらう。

  ・WWWの使い方及びネットサーフ
  ・ホームページの作成
  ・CU-SeeMEによるテレビ会議
  ・ライブカメラによる実況サポート

5.30.2.3 まなびフェスタ‘97

 (1)概要

 県主催の生涯学習フェスティバルが、平成9年11月22日に都留地域を中心に開催された。本校のインターネット同好会の生徒たちも主催者側として参加し、会場になった富士女性センターの会場設営からシステムの構築および訪問者にインターネットの説明を行う。

 (2)内容

 「きてみてさわってインターネット −高校生がやさしく教えます−」をキャッチフレーズにインターネット全般に関するレクチュアを行った。

  ・ビデオによる紹介
  ・テレビ電話による交流


図5.30−3 山梨大学総合情報処理センター

5.30.2.4 TraceRouteの旅

 (1)概要

 ・対象:本校電子情報科3年生
 ・日時:平成9年12月10日
 ・場所:山梨大学、及び
     セコムウインテク(株)

 (2)内容

インターネット上のデータがどのような経路で伝達されているか、データの伝達経路を訪問しそのシステムを見学する。また、そこで働いている方から仕事の内容を説明してもらい、ネットワーク管理の大切さを理解する。

3 効果と課題

 (1)学校開放講座の効果

a.今まで、学校を開放する機会が少なかっため、充実した学校の施設に対する理解が少なかったが、開放講座をとおして地域の方の学校に対する認識が改まった。
b.出来るだけ多くの教員からサポートを得るようにしたため、教員同士の啓発に役立った。

 (2)生徒の校外活動による効果

a.生徒たちは学校での学習がそのまま実社会で役立つことを経験し、その後の学習活動に積極性が出てきた。
b.地域の方も地元の高校生が活発に活動している様子に接し、学校に対する認識が改まった。

 (3)今後の課題

a.開放講座終了後のフォローの要求が参加者よりでてきた。地域と学校の交流の面ではよいことだが、それが教員の負担にならないよう方法を考える必要がある。
b.生徒の校外活動を継続させるため、複数の教科との連携を考慮したカリキュラムを編成する必要がある。
c.今回の企画をもとに、新たな地域参加型の企画を検討していく必要がある。そうすることにより、その企画をもとに本校が地域ネットワーク社会の中心的存在となり、より一層地域のため機能的に活動できるものと思われる。このことは、専門高校の置かれている現状に活路を見いだす一つの方法と考える。