5.33 他校との生徒会交流と生徒会活動の活性化
    宮崎県立延岡商業高等学校 松田正弘・小島孝・平沢玲子・酒井純子
 
5.33.1 ねらい/目的
 
 他校との交流をすることにより生徒会活動状況や行事の企画・運営の情報交換をすることによって,本校の生徒会活動の活性化をはかる。
 高校だけでなく,小学校や中学校の自動・生徒の意見も取り入れ,また高校生の立場として,指導・助言をすることにより,リーダー育成が出来る。
 以上のようなことを目的として,学校における諸問題を解決し,開かれた学校を目指していきたい。
 
5.33.2 内容
 
 まず,この企画に参加する学校を探し,賛同される生徒会及び,学校にホームページを作成してもらう。
 その後,連動して,メーリングリストを開設し,テーマや議題の検討・議決をする。
 そのテーマや議題にそって,意見や情報の交換をE-mailで行い(2.3回程度),その後,各学校が一同に集まり,出された意見について,質疑・応答をしていく。
 最終的には,他校訪問や,意見交換によって得た知識を本校や地域の生徒会活動に活かしていく。
 
5.33.3 活動場面
  
 生徒会活動
 
5.33.4 日程(案)
 
 6.7月  この企画に参加してくれる(同時に生徒会のホームページも作成)高等学校・中学校・小学校を探す。
 
   8月  各学校からテーマや議題をメイルで提案してもらう。
       主幹校とアンケートにより検討して,テーマや議題を決定する。
 
   9月  本校のリーダー研修の一環として生徒会交流や会議を行う。
 
  10月  生徒会交流・意見交換・会議を行う。
 
  11月  生徒会交流・意見交換・会議を行う。
 
  12月  主幹校により,意見の集約をして,各校へ情報を提供する。
 
   1月  各校の情報を元に,本校の活動のあり方を検討する。
 
   2月  参加校の一斉会議(他校への訪問)
 
   3月  各校の状況を把握し,新年度の生徒会活動に活かすため,討議をする。
 
       ※その後も行事や学校運営で困った事があれば,相談や意見を聞いてみて交流していき,小・中学校への助言・指導も随時にやっていきたい。
 
5.33.5 実際の活動状況及び活動内容

時  


生徒会の活動    

教員の活動・指導助言  

夏休み
7月〜8月

コンピュータ・情報処理の基礎知識の研修
・Windows95の取り扱い方
・インターネットについて
・ホームページ検索方法

コンピュータ・情報処理の基礎知識の指導
・各種資料の作成と生徒会役員への指導
・生徒会室へのパソコン購入,設置  

9 月  

今後の活動についての討議
・インターネットを利用しての生徒会交流の内容や目的,活動計画を討議
・ホームページ作成のための研修
   HTML言語の研修
   ホームページ作成ソフト(Hotall4.0)
   著作権について
・ホームページ作成(係分担)

活動事前準備とホームページ作成指導
・生徒会役員の電子メールID発行とパスワードの作成
・Hotall4.0のインストールと資料
 作成,指導  

10 月  

ホームページの作成とE-mailの研修
・WinYAT3.2の研修
   メールリーダーの使い方
・ネットワークのエチケットについて
・ホームページの完成
URL
http://www.nobeoka-chs.nobeoka.miyazaki.jp/seitokai

ホームページ作成指導とE-mailの指導
他校のホームページ検索と情報収集
・メーリングリストの研修
・本校生徒会ホームページの張り付け  

11 月  

メーリングリストの研修と参加校の募集
・ホームページの検索
・全国高等学校のメール宛先の
 調査集計
・メーリングリストの作成
・アンケート内容の討議

メーリングリスト作成の指導
他校のホームページ検索と情報収集
・アンケート内容の検討  

12 月  

アンケート内容の討議と参加校の募集
・全国高等学校のメール宛先の
 調査集計
・メーリングリストの作成
・参加校募集のための文書作成
・ホームページの更新
 生徒会役員のメールアドレスの挿入

UNIX上でのメーリングリストの作成
・生徒会担当職員のUNIX研修
・全国高等学校のメール宛先の確認,調査  

1 月  

メーリングリストの作成
・アンケート作成  

メーリングリストの作成
・全国高等学校のメール宛先の確認,調査
・アンケート内容の点検
・アンケート発送準備

2 月  

アンケート発送と参加校募集開始

アンケート発送と参加校募集開始
・メール検索

予 定


 ここからは予定
 

3 月  

メール受け付け
・アンケート集計

メール受付
・アンケート集計

4 月
以 降


交流開始  
 
 
 
5.33.5.1 はじめに
 
 上記のような「ねらい/目的」を立てた理由は,生徒会交流とインターネットをもっと手軽で身近なものにするためである。それにより多くの情報交換と生徒会活動の活性化がなされるのではないかと考えた。現在までの生徒会交流は,他校の活動状況を調べ,その中から訪問先を選択し,手紙や電話などで連絡や計画を密に立てることが必要であり,校内での手続き処理も時間が掛かるため,実際には3〜4校程度の訪問しか出来なかった。そこで,本校にあるインターネットを活用し,全国規模での交流や意見交換を始めることとなった。
 
5.33.5.2 活動状況
 
 本校の生徒会役員の構成は,1年生5名(情報処理科2名)2年生5名(情報処理科3名)旧役員3年生3名(情報処理科1名)で,1・2年生の殆どはコンピュータに触れる機会がなく,情報処理科の生徒も教育課程上,COBOLの言語教育が中心でWindows95やインターネットにはやや不慣れな所があった。そのようなこともあり,交流を始める前に生徒が自由にコンピュータを扱えるように研修を行うことにした。生徒の取り組みは非常に良く,積極的にホームページの検索や,一太郎でのアンケートや実施要項の作成,ペイントブラシなどを中心に扱うようになり,自ら学習していった。我々教員側も,生徒が興味を引きそうなホームページやWindows95,インターネット関係の資料を探し,提供した。時間がたつにつれ興味は高まったのだが,施錠管理等の問題があり情報処理室の利用が不便なため,生徒が自由に使えるように生徒会室へコンピュータ(ネットワーク)を購入・設置した。
 次に9月に入り,本校の生徒会の活動状況を公開するためと,このインターネット交流を他校に提案するためにホームページを作成することにした。すぐに,ソフトでホームページを作成するのは将来応用が利かず,後々自らホームページを構成する事につながらないと思い,基本的言語であるHTML言語の研修を行った。学習できた段階で,生徒自身に研修も兼ね,ホームページ作成ソフト「Hotall4.0」のインストールも行わせた。生徒は,簡単にインストールできることに驚き,自信を持ったようである。この後も,様々なソフトをインストールや削除を覚え,ファイルの管理を自主的に行えるようになった。同時に,著作権についての厳しい指導を行い,操作面だけでなく,著作物に対する正しい知識も身に付けた。生徒会担当の職員は,生徒がE-mailを使えるように,UNIXのログインの方法や電子メールID,パスワード発行等の研修を行い,生徒同様に我々も知識を深めた。
 10月には,本県の高等学校総合文化祭が地元延岡で開催され,本校の生徒会役員は生徒会交流部門のテーマである「校則について」の討議の運営・企画を行った。そのため,各校の校則の状況を調査する必要があったのだが,生徒が県内の状況だけでなく,より広範囲な状況をインターネットを使って調査出来ないかと考えた。ホームページを検索し調査したが,あまりよい情報は得ることが出来なかった。そこで,直接学校に問い合わせるためにE-mailの研修を行った。また,10月の後半には生徒会のホームページも完成し,新たなインターネットの活用についての知識と自信を持ち,身近なものにしていった。同時にネットワークでの情報セキュリティー問題やエチケットについての研修も行った。
 11月には,メールによる生徒会交流を行うためにホームページを検索し,システム管理者や各学校のメールアドレス一覧表の作成準備をした。ここで,情報処理部の協力を得て,メーリングリスト作成の準備をし,また,生徒会交流のためのアンケート内容についても討議した。
 12月には,メールアドレスの調査集計が終り,メーリングリストが完成した。また,生徒会役員それぞれがメールアドレスを持ち,生徒会ホームページに掲載し,1回目の更新を行った。その後,参加校募集案内の文書を作成した。
 1月には,作成した案内文書を発送し,参加校を募った。120校にメールを送信したが,1週間ほどで15校ほどからの参加のメールが届いている。
 
5.33.6 まとめ
 
 生徒会が企画・運営する行事などが1年間で約11も有り,それらの行事の準備に時間が費やされ,生徒への十分な指導をする時間がなかった。また、思った以上に生徒の興味関心は高く,理解もよく自ら進んで学習できるようになった。諸行事の企画も資料だけ準備すれば自分たちで運営できるようになった。その他,以下のような反省点と成果があげられる。
 
 (1)成果
 
   ・インターネットやパソコンに関する知識と興味が高まった。
   ・生徒が積極的に活動するようになり、生徒に自主性が育ってきた。
   ・インターネット交流の基盤を作ることができ、今後が楽しみである。
   ・生徒が自信を持って生徒会活動を進めて行けるようになってきたことが一番の成果ではないかと思う。
 (2)反省
 
   ・個人のメールIDの発行を研修当初に準備しておくべきだった。
   ・生徒会専用のコンピュータの購入・設置が遅かった。
   ・全国の各学校のメールアドレスの調査に時間がかかった。