5.46 インターネットを利用しての工業専門科目の展開

石川県立小松工業高等学校

黒島  浩司  平木  外二  山岸  澄江

辰巳   昇  林  純一郎  中出   元

古場田 良之  川辺  克彦  田口   登

古澤  清尚  辻森   哲  新井   浩

吉村  信一  島村  勝彦  堀    進

 
5.46.1 コンピュータ技術に関する授業
 
5.46.1.1 概要
 インターネットを通信手段としてとらえ、国内の工業系高等学校4校で情報交換しながらプログラミング技術についての交流を目指した。従来まで、高等学校の生徒が日頃の授業に関連したことで他校の生徒と情報交換することは極めて稀であり、また学校関係者以外の方がその授業の様子を把握することもほとんどなかった。WWWや電子メールなどのサービスは学校を外部に対して広く公開したり、生徒が外部とコミュニケーションをとる際に有効であり、授業中コンピュータを使って生徒自身で利用できる。そこで、これらのインターネットサービスを利用すれば学校間での生徒の学習に関する交流や授業の公開につながらないかと考えこの企画を実践した。
 
5.46.1.2 実施
 本企画は、平成9年度5月から12月まで、以下の4校で実施した。
   熊本県立小川工業高等学校 情報電子科 代表 岩永 久幸
   大分県立津久見高等学校  電子科   代表 瑞木 圭二
   山梨県立谷村工業高等学校 電子情報科 代表 長谷川 準
   石川県立小松工業高等学校 電子情報科 代表 平木 外二
各校とも主に課題研究の授業で参加する体制をとり、中心となるテーマをJavaプログラミングとした。今年度4月の段階に各学校の代表者が電子メールを使って相談し、本企画では課題研究のテーマ自体を共通にせず各々の高等学校でJavaプログラミングに関連した課題研究のテーマを独自に設定することを確認した。研究テーマの内容をインターネットを利用して公表することにより、他校の様子が刺激となり活発な生徒間の意見交換につながることを期待した。
 次のURLに専用ホームページを作成し、また熊本県立小川工業高等学校のサーバ機で生徒用と教師用のメーリングリスト運用した。専用ホームページには、生徒用の個人ノートページと作業ページがセットされている。ノートページは各校の生徒がブラウザソフトから自動書き込みでき、しかもそのページを参照した人は誰でもコメントを書き込めるようになっている。作業ページは各校のサーバ上のページにリンクしており、希望に応じてアプレット等の制作経過を公開できるようにした。また、各校の教員からの連絡や指導内容についても各校の黒板ページへ書き込めるようにした。
 
5.46.1.3 効果と課題
 各生徒の自己紹介を生徒用のメーリングリストへ送信して本企画をスタートした。各学校の課題研究のテーマはJavaに関係しているものの非常に多岐にわたっていた。各校の生徒は他校の生徒に関心を持っていたが、活発な生徒同士の情報交換につながらなかった(前半)。そこで、10月に各自が行っている課題研究の内容を自分のノートページへ整理することを義務づけ、お互いの研究内容をより詳しく知ることで情報交換の活性化を試みた。これによって、生徒たちは他校の様子を把握し良い刺激を受けることができたようであったが、本企画で期待した生徒自身による活発な情報交換には到らなかった。参加した教員の間で電子メールによる意見交換を継続的に行ってきたが、この原因として以下の点がクローズアップされた。
・自動書き込みノートは相手の見る意志がないと見てもらえないので、個人的に配送されるメールよりもインパクトが弱い。
・生徒が放課後や休憩時間にメールを自由に使える環境が十分に整っておらず、一部の学校を除いてコンピュータは施錠された実習室内にある。
・課題研究のテーマがあまりにも各校でかけ離れ、共通話題にたどり着けなかった。今後は、上記の点を改善して本企画を進めていきたい。
 
5.46.2 知ってるかいサロン
 
5.46.2.1 概要
 教室の中での閉じた授業ではなく、地域に根ざした開かれた授業や、情報伝達を行う中から新たに、高校生として相応しい知識や技術が体得できる授業をめざす。
高校生であれば、これくらいのことは知っているだろう、または知っていてほしいという内容を簡単な質問形式にして、企業等の学校外の方々から生徒へ電子メールで送信してもらう。生徒は自分自身でその内容の解答を見いだし学校外の発信者へ返信する。発信者の納得のいく内容が得られるまで繰り返す。その間にWWWにより広く自信の解答や質問内容等を発信し、広く外部に情報や感想を求める。
 
5.46.2.2 実施
 平成7年10月より開始、本年度で3年目となる。対照生徒は2年生で選択授業受講者15名前後である。3年間とも同様な授業形態で行った。
期間は第2,3学期で、インターネット講師より生徒に質問が送信され、それについて解答を送信する。正解か否か講師より返信される。このやりとりを3回行う。本年度については、解答と平行し校内ホームページの100校欄に張り付け、広く外部からの意見や情報をメール送信してもらう。
 
5.46.2.3 結果
 頭書は、メール送受信については双方とも不慣れであったが、道具として利用できるようになった。3年間での生徒の解答についての動向としては、最初は、図書館や、教科書等により調べられていたが、インターネットの内容及びサーチエンジン等の発達により本年度は、ほとんどインターネット上より解答を導き出す生徒もいた。
 
5.46.3 HTML入門
 
5.46.3.1 概要
 100校プロシェクトによるインターネットの常時接続がなされて、3年目の今年度より、この環境を使っていわゆる「イントラネット」としての利用も促進しようと考えた。インターネットの基本的な利用の仕方を理解した後、生徒が各自のホームページを作成するに当たり、その基本的な部分を「HTML入門」と言うWebページで、学習しながら、作成する環境を整える。
 
5.46.3.2 実施
 平成9年度、4月よりWebページを作成し、6月には、暫定版を開設、生徒の利用状況などを見ながら、3年生が課題研究で作成した画像素材を追加するなどの改良を進めてきた。
 カウンタの使い方のページも用意し、誰でもがアクセスカウンタを利用できる環境を整えた。
 画像素材もできるだけ多くを、見やすく簡単に利用できるように準備した。
 
5.46.3.3 結果
 基本的な操作の仕方を教えた後は、各自が熱心にWebページ作成に取り組んだ。サーバに用意する素材が更新された場合でも、以前のように「利用の手引き」を印刷し直す必要もなく、生徒は、常に最新の環境でのWebページ作成に取り組むことができた。
 授業時間内ではできなかった部分は、昼休みや放課後などを利用して積極的に取り組んでいた。
カウンタを使うことにより、校外の人にも実際に見られているという意識も高まり、ていねいに作成するようになった。
5.46.4 石川ソーラーネット
 
5.46.4.1 概要
 ソーラーカーやソーラーラジコンカーの製作技術の向上と、学校間で交流を目指して、「ソーラーネット」として次の項目の閲覧ができる様にした。
 

  (1)ソーラーカー

a.95朝日ソーラーカーラリーIN神戸(概要・規則・結果・様子)
b.ソーラーカーラリーイン能登'96 (概要・規則・結果・様子)
c.本校のソーラーカー(基本設計・車両サイズ・太陽電池・バッテリー・制動装置・かじ取り・駆動装置・懸架装置)
  (2)ソーラーラジコンカー
めざせソーラー甲子園(ソーラーラジコンカーコンテスト)
概要・規則・結果・様子本校のラジコンカー

5.46.4.2 実施

 H9年10月に開始

5.46.4.3 結果

 ホームページを見ている人はいるが、学校間の交流にまでは至らなかった。

5.46.5 木材平衡含水率プロジェクト

5.46.5.1 概要

 100校プロシェクトの自主企画に「木材の平衝含水率試験」があり、平成8年度から協力校として建築科が参加協力している。

 参加協力として、継続的に最低1週間に1回以上の試験計測(休暇期間中も継続する)を行っている。

 試験計測結果をプロジェクトのホームにメーリングリストで送り計測結果を集積し各校がそれを閲覧できるようになっている。

 集積されたデーターを元に、各自がいろいろな考察を立てて、次の計測予測を立てる。

 予測と実際の開きなどの感想もあわせて送ることにより、いろいろな考え方に接し、インターネットにおける交流を図る。

5.46.5.2 実施

 H8年6月に開始、計測データーを送信したかったのだが、インターネットの勉強や環境を整えるだけで時間が来てしまった。(昨年)

 今年度は、送信できるようになったのだが、計測&送信をする生徒を募集してみたが、誰もいなかった。

5.46.5.3 結果

 インターネットには興味を持つのだが、平衡含水率の測定を嫌がる。(特に休業中) 結果的には、当初の目的、ねらいの前の段階で挫折したことになる。生徒たちは、自分たちの実測による仮説や、実証に興味を覚えず結果だけで良しとする。その年々でクラスの性格も変わるので、来年度も継続実施されるのであれば、きちっとした形で実施し、成果を見てみたい。

5.46.6 ドロー the map

5.46.6.1 実施概要

 土木の分野は広範囲にわたり,それぞれの分野を教科書のみで学習しようにも限界がある。そのような中で,インターネットによる情報収集は生徒のみならず指導する側にも大きな助けとなった。今回よく利用した項目では,「明石海峡大橋」・「東京湾横断道路」等の国内ビッグプロジェクト関連のこと,各地で生じている環境問題等についてで大いに役立った。いずれの場合でも,自分が知りたいことの他に関連のサイトにアクセスすることが可能となっており,さらに幅広く学習することができた。特に,知りたい内容を写真や場合によっては音声で知ることができ,遊び心があり興味は尽きなかった土木構造物の設計関係では,関係フリーソフトをダウンロードできたり,疑問点をメールで情報交換できたのは大変参考になった。

5.46.6.2 効果と課題

 多人数で同時使用の場合,同一のホームページにアクセスすることが度々生じアクセスに時間がかかった。また,最初から全く目的外のホームページにアクセスすることがあり,生徒の使用状況を把握することには限界がある。

 新しい手段を使うことへの好奇心と期待感,自分の考えたこと,疑問点を検索によって知る喜びを実感できた様子である。特に,専門分野に関する情報は多岐に渡り、自分の所有する教科書・参考書等では不十分な場合が多く,広い文献から検索できたことは学習効果を大いに高めた。情報最先端のインターネットを常時使用できることに対して,生徒は積極的に活用する姿勢を示した。これまでの,教科書・参考書・問題集等以外に自分の持つ問題点を解決する手段があることを発見し自分のものにすることが出来たことに大きな喜びを見出した。

5.46.7 電子顕微鏡で見る世界

5.46.7.1 概要

 本校マテリアル科の生徒実習で観察した電子顕微鏡の画像データをホームページ上に公開し、工業製品の緻密さや自然の素晴らしさなどを鑑賞してもらう。また、このページに関する意見・感想をメールでいただき、今後の生徒実習の内容に反映していく。

5.46.7.2 実施

 H9年10月に公開。内容は、以下の通りである。

5.46.7.3 効果と課題

 実際に、ホームページを見て問い合わせが入ったことがあったが、まだ、学校間の交流にまでは至っていない。現在のところ、生徒も先生もホームページの作成の勉強中で、予定していたスタイルまで完成に至っていないのが正直なところである。今後、このページの内容の充実、特に他の学校やその他多方面の方との交流を目指して、一層取り組みに励みたいと思う。