高等学校第3学年・工業
石川県立小松工業高等学校電子情報科 平木 外二
指導計画 | 留 意 点 |
@コンピュータネットワークにおけるインターネットの位置付けを把握する。 (ハードウェア技術) |
・従来までのLAN,WANとインターネットとの関係を明確にする。 ・校内から利用する時や家庭から利用する時の状況を整理して疑問点をリストアップする。 |
Aインターネットのサービスであるホームページ,電子メールの仕組みを理解する。 (ハードウェア技術) |
・HTTPプロトコルの通信をtelnetを使ってコンピュータで確認しその仕組みに関心をもたせる。 ・SMTP,POPプロトコルの通信を同様にして確認し,メール配送の原理に関心をもたせる。 |
Bコンピュータに関連したことを学習している海外の教室を検索用ホームページで調べる。 ★インターネットの利用 (ハードウェア技術) |
★ホームページのepals Classroom Exchangeへアクセスして検索している時,どのコンピュータで 何を処理をしているのか関心をもたせる。 ・検索中に得られる外国の学校で学習している情報を整理させる。 |
C電子メール環境をセットアップし、検索した学校へ交流内容の紹介文を電子メールで送信する。 ★インターネットの利用 (ハードウェア技術) |
・Netscapeメールの環境設定を行う際,A時で体験した事柄と関連させる。 ・交流校の調整があるかもしれないことを明記する。 ★できるだけ異なる国へ送信する。 |
D日本語で自己紹介文を作成する。 (ロングホーム) |
・自分を紹介する時何を書けばよいのか考えさせる。 ・マナーに反しない表現とはどのようなものか考えさせる。 |
EFG英文用の日本語へ修正した後英語へ翻訳する流れを練習する。 ☆J-EBANKの利用 (工業実習) |
・英語らしい英語をめざさず伝わる英語を書くことを目標とさせ難しくないことを確認する。 ・英文用の日本語へ修正した時の便利さを実例で提示する。 ・書き出しや締めくくり等の表現集を準備する。 |
HI自己紹介文を翻訳し,電子メールで送信する。 ☆J-EBANKの利用 ★インターネットの利用 (ハードウエア技術,工業実習) |
・J-EBANKが限られた台数のため辞書を準備させるとともに,日本文,英文用日本文のチェックを同時進行で行う。 ★メーリングリスト宛に送信させ,他の生徒の内容に関心をもたせる。 |
Jコンピュータに関連したことでこれまでに学んできたことを日本語でまとめる。 (ハードウェア技術) |
・中学校,高等学校で学んできたことをリストアップさせ内容を分類する。 ・いろいろな授業で学んだことが連携し結びつく点がないかどうか考えさせる。 ・コンピュータやネットワークに関する技術とはどのようなものなのか具体例で考えさせる。 |
KLM学んできた内容の日本語を英文用の日本語へ修正した後,英語へ翻訳する。 ☆J-EBANKの利用 (ハードウェア技術,工業実習) |
・できるだけコンパクトにまとめさせる。 ・相手の生徒が全く知らないことを前提にして,専門用語などの使用に注意させる。 ・デジタルカメラを用い,装置などについては静止画像を多用させる。 |
[随時] 交流校からのメッセージ受信に応じて,自分のメッセージ内容を修正し自己紹介文または学習内容を送信する。 ☆J-EBANKの利用 ★インターネットの利用 (ハードウェア技術) |
・相手のメッセージの内容に触れて,各自のメッセージをつくらせる。 ★過去のメール内容が参照できるホームページへアクセスして他の生徒の内容も含めて,交流している学校で学んでいる事柄を各自で整理させる。そして、今後何を学ぶ必要があるか考える方向へ展開する。 |
学習活動 | 活動への働きかけ | 備 考 |
1 日本語で書いた自己紹介文をコンピュータへ入力する。 | ・入力時に内容についての確認をさせる。 | ・コンピュータ ・コンピュータ ・文例集 ・J-EBANKと辞書の併用 ・デジタルカメラ ・コンピュータ ・ビデオメール |
自己紹介文を英語にしやすいように加工しよう | ||
2 コンピュータ上で英文用の日本語文章に修正する。 |
・主語を必ず入れよう。 ・述語はコンパクトにしよう。 ・混乱しやすい格助詞「の,で,に,と」等に注意させる。 |
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英文へ翻訳し,メッセージとして仕上げよう。 | ||
3 日本文を臨機応変に修正しながら英文を作成する。 |
・2での作業の重要さを確認させる。 |
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メーリングリストへメッセージを送信しよう。 | ||
4 メーリングリストの仕組みを把握する。 5 必要に応じて圧縮画像を添付する。 6 送信してから,他の生徒のメッセージを読む。 |
・圧縮する理由を説明する。 ・圧縮ファイルについて例示する。 ・電子メールのマナーについて確認する。 |
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今までに学んだコンピュータ技術を整理しよう。 | ||
7 これまでに学んできた中でコンピュータに関連した内容をリストアップし,それらのつながりや関連性を考える。 |
・異なる科目で学んでいた内容の関連性を強調する。 |
執筆時点ではJ時が終了したところであり,相手校と歩調を合わせながら進めることの難しさをあらためて認識した。生徒の感想には「下手な英文メールが相手に通じて伝わったことがすごくうれしかった。」「16才の子なのにすごくしっかりしていた。」「今まで習ってきた英語が思ったより自分の力になっていたのでうれしかった。」「最初はあまりやりたくなかったけど,やっているうちにだんだん面白くなってきた。」「中学校の時から英語の授業なんてなんであるんだろうと思っていたが,今回の授業でやはり必要なんだなあと感じた。」「外国とメールのやり取りをできるのは知っていたけど,実際にやってみて自分の書いた文が本当に外国に送れたのですごいと思った。」等があった。J時が終了した時点で生徒へアンケート調査を行った。その結果が図1である。
1. 外国の生徒とメールのやり取りをすることに興味をもてましたか? Yes 22人 No 12人 2. 英語でメールを作成できたことに感動しましたか? Yes 19人 No 15人 3. 外国の生徒がどのような授業を受けているか知ることができましたか? Yes 14人 No 20人 4. 外国の生徒とのやり取りで自分の視野や考え方が変わりましたか? Yes 13人 No 21人 5. 今後自分だけで外国の生徒とコミュニケーションをとれますか? Yes 9人 No 25人 |
図1 アンケート結果
相手校の生徒から悪質ないたずらメールが届いたり,本校システムのトラブル対策に追われ続けるなど予想外の労力を払っての実践となった。トラブルを防止することより如何に解決するかとの発想で,相手校とともに何とか現状に到っている。三ステップを踏んで英文を作成することで英語への拒絶反応は予想以上に和らいでいた。また十分な活用には到らなかったがビデオメールの効果は大きいと判断している。音声画像とも明瞭に伝達でき従来よりもファイルサイズ(約300kB/min)が小さい。何よりも時間や日程に縛られずビデオ映像で直接相手に連絡内容を伝達できることは魅力であった。
ワンポイント・アドバイス
電子メールではスピーディに情報の伝達が行われる。ともするとやり取りをしている人間自体もそれにつられてせっかちになりやすい。受け取ったメールのリプライはできるだけ迅速に行うのは言うまでもないが,相手のリプライはじっくりと待つ”ゆとり”が大切である。見えない所の状況はなかなか把握できないものである。 |