子どもの実態から くらしや政治に関わる学習は, 生活科における地域の探検活動, 第3学年「まちの公民館」「すみよいまち」, 第4学年「くらしの中の水とごみ」などや第6学年の歴史学習にも現れている。本単元はこれまでの学習をふまえたうえで, 具体的な事例を通して毎日の生活と政治のかかわりの学習の展開を図っている。 政治とのかかわりは, 日常的な営みの中に形として現れないため, 児童にとってはなじみにくく興味・関心が薄い。しかし,具体的な事例や資料収集など具体的な学習活動を積み上げることによって主体的意欲的な学習が成立しやすい。こうした意味で, 導入に各地で具体例のある火山や地震災害の例を挙げるとともに,「国会議事堂を訪ねて」「総理大臣の一日」などの活動を取り入れ,学習の活性化と理解の深化を工夫した。 |
教材の精選から 「日本のあゆみ」では,歴史の流れの中における人権の拡大のあゆみを学習してきた。その発展上に本単元は位置づけられる。子ども達の身の回りに展開するさまざまな生活が, 政治とどのようにかかわっているかをまず考えさせ,それが日本国憲法の精神や三つの基本原則と,どのように結びついているのかを具体的に学習できるように教材の精選を図っている。 また国会の審議内容,権力分立の様子,人権侵害の状況にも疑問をもたせるようにして,ただ単に政治の原則や憲法の理念だけを学ぶような学習にならないように,教材の精選を図った。 学習の流れとしては,身近な事例から,地方レベルの政治のはたらきに気づかせ,それを学習の土台として国の政治のしくみ, 憲法の精神と三つの原則の学習へと発展させていく。 |
指 導 の 視 点 |
1 身近な政治とのかかわりを, 具体的な資料や調査活動などを通して実証的に学習させる。 2 国の政治についても,新聞を読んだり,インターネットを利用して,総理大臣の一日などのように,具体的な資料に基づいて,問題解決のできる学習活動を工夫する。 3 国民の一人として,常に自分なりの考えや意見を述べたり判断したりまとめたりする姿勢を培う。 |
発問・動機づけ | 学習活動・内容 | 教師の支援 | T.T(担任T1) | |
つ か む |
○国会で決めたことがどこで, どんなしくみのもとで,実現されるのだろう。 | @国会で決めたことは, どこが実際に行うのか話し合う。 | @国会で決められた法律や予算はどこで執行されるのかということから課題意識をもたせる。 | T1.発問 |
内閣は, どのようなしごとをしているのだろうか。
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調 べ る |
○内閣総理大臣の一日を, 追いかけてみよう。 | A新聞にある「首相の一日」の切り抜きを読んで分かったことや疑問,感想を出し合う。 | A1週間前後に着目させ, その多忙ぶりをつかませる。分からない語句はOHCや口頭で補足説明したり, 首相官邸等についてはインターネットのホームページを開かせる。 | T2.課題短冊の添付 OHCの操作支援 T1.T2. 児童のインターネット操作の個別支援 |
○内閣は, どんなしくみになっているのだろう。 | B内閣のしくみについて調べ, 分かったことを学習ノートにまとめる。 ・内閣は, 国会で指名された内閣 総理大臣が国務大臣を任命してつくられ, 内閣総理大臣が, 最高の責任者である。 ・内閣のもとに各省庁がある。 |
B「首相の一日」 の切り抜きやインターネットの資料, 資料集, 教科書等から,その関連をとら えさせる。 ・内閣は, 国会で指名された内閣総理大臣が国務大臣を任命してつくられ, 内閣総理大臣が, 最高の責任者である。 ・内閣のもとに各省庁がある。 |
T1.T2. 児童のインターネット操作の個別支援 T2.OHCの操作支援 |
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○内閣では, どんなしごとをしているのだろう。 | C内閣のはたらきについて調べ, 分かったことを学習ノートにまとめる。 ・国会で決めた法律や予算にしたがって政治を進める。 ・各省で, 仕事を分担している。 ・予算を作って国会に提出する。 ・裁判官を任命する。 など |
C日常生活における具体的な問題を取り上げ, それがどの省の分担であるかを考えさせ, 各省のしごとをおさえさせる。 | T1.T2. 児童のインターネット操作の個別支援 T2.OHCの操作支援 |
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ま と め る |
○内閣のしくみやはたらきと, 国民の生活とは, どんな関係があるのだろう。 | D内閣のしごとと国民の生活とのつながりについて話し合い, 内閣のまとめをする。 | D身近にある各省の出先機関を調べることで自分の生活と関連づけてまとめさせる。宇宙科学研究所や各省庁についてはインターネットのホームページを開かせる。 | T1.T2. 児童のインターネット操作の個別支援 T1.まとめ |
インターネットの利用は, 今までにない新しい学習スタイルである。ただそれはあくまでも自分を助ける「道具」として自分の活動を支援するためであり,
より大切なことは人間同士のふれあいである。コンピュータ等を通して体験するのは, あくまでも間接体験や疑似体験であって, 実際の社会体験・自然体験などの直接体験こそが大切なのである。 また, インターネットはリアルタイムに情報が得られるといわれるが, 一度でスムースにアクセスできる保障はなく, 画像の大きさ等によっては, かなり時間がかかることがある。そのために, 単位時間で授業がうまく流れないことも少なくない。前もって必要なホームページをフロッピー等に保存して活用するとか, 授業時間の弾力的な運用等を考えておく必要がある。 更に, 自由に利用させることが多くなるにつれて, ネットワーク利用上のルールやネチケット, プライバシーの保護や著作権に対する正しい認識, そしていわゆる情報化の「陰」の部分の問題等を指導していかなければならない。 |