新100校プロジェクト平成10年度実施報告書

                     福井大学教育学部附属小学校

1 インターネットの利用状況

 「自己を拓き、ともに生きる力を育む」を研究主題に、全教科・領域にわたって、実践活用されるものとして位置づけ、研究実践を行ってきた。

  1. 研究体制への位置づけと情報活用部会の創設

 探究、表現、練り合う力を育む総合学習をサブテーマに設定し、インターネットを全教科・領域、総合学習の中で活用するものとして、新研究体制の目玉として、新しく情報活用部会を創設した。そして、新メンバーでの情報活用の充実を図るとともに、下記のように情報機器の管理、先進的な教育研究などに取り組むこととした。

  1. 情報ルーム内のコンピュータのメンテナンスからネットワークの管理
  2. インターネットを活用した授業実践など、教職員への実践事例の紹介
  3. 子供主体のメディアとして、活用マニュアルなどの環境整備

  1. 情報に親しみ、求める教育活動

@ 3年  国語  説明文「たこたこあがれ」

 凧のWebを検索し、凧の説明を記述した各凧の説明を更に詳細に行う。他の凧の紹介も行った。造形の時間に説明にしたがって、折り紙を折り、教材でたこづくりを行った。

A 4年 社会 「福井県のすがた」

 福井県の各市町村の自然や産業の様子を調べる際に、インターネットのホームページを検索して、資料を集めた。また、暖かい土地のくらしとして、沖縄の様子を調べた。

B 5年 理科「気温と天気の変化」

 天気予報をするのに、Web上でひまわりの画像を追跡し、雲の動きを確認した。そして、翌日の天気を予報するのに役立てた。

C 5年 学級活動「育てよう!ハムスター」

 教室で飼っているハムスターの育て方を知るために、Webで検索したり、育て方を知っている方に電子メールで質問した。

D 5年  社会 「自動車工業」

 自動車工業に関してWebで調べたり、環境問題がおこっている地域の情報をあつめたりして、発表に役立てた。

E 5年 総合学習 「RECYCLE 地球の未来を助けよう」

 総合の時間にブラウザの検索機能を活用して、ボランティア団体について検索し、自分達の集めた募金をユニセフなどに送った。

F 6年 総合学習 「きらめく発明家」

 お菓子の創作を行うグループが、活動のまとめを電子ブックで表すこととした。メンバーで協議しながらできあがった電子ブックを、グループの子供達で話し合い、更によいものに仕上げていった。

G 6年 総合学習 「地球のために、みんなのために」 ― わたしたちににできることをみつけよう ―

 ゴミのぽいすて問題を考え、その対策法についての資料集めや他の学校ではどのような取り組みがあるのか、電子メールで情報収集した。

(3) 広域圏で実践した共同・交流学習

@ 1年 総合学習 「もくもくたんけんたい タッチ アンド トライ」

 木について調べたり、落ち葉で遊んだりした後、校庭の木でオブジェをつくり、栃木県壬生小学校の1年生と交流した。木についての良さを体感した。また、山に囲まれた一乗小と、一乗小にある木を紹介し、学級の子供達同士での交流を深めた。

A 2年 総合学習 「ふるさと発見!」   遠隔授業への参加

 社会施設と学校をつないで、「動物園の食卓」というテーマで、テレビ会議による遠隔学習を行った。また、「鳥はどうしてとべるの?」というテーマでも、遠隔学習を行い、子供達がはてなと思ったことを動物園の専門家の先生とともに学習した。

B 4年 総合学習 「輪になっておどろう 養護学校の子と」

 附属養護学校の子供達と交流会をするにあたって、各学校の代表がNet Meetingを通じて、あいさつと、今後の交流会の計画を話し合った。そして、交流を深めた。

C 4年 総合学習 「いきいきリサイクル」

 子供達が調べてきたリサイクルの様子をホームページに立ち上げ、春江小学校の子供達と電子メールによる交流を行った。

D 6年 国語 「説明文をつくろう」

子供達が説明文づくりに取り組む際にワープロを使い、文章の見直しや構成を行わせた。できあがった説明文をみんなで校正し、交流している学校の子供達に紹介し、感想などをいただき、交流を深めた。

E 6年 理科 「人とかんきょう」  NHK教育番組への参加・協力

 NHK教育テレビ「インターネットスクール たったひとつの地球」を視聴し、電子メールで番組の感想を送ることとした。番組編集部へのメール書きを通して、地球への愛着心を育てることができた。

F 6年 総合学習 「地球のために、みんなのために」 ― わたしたちににできることをみつけよう ―

 近くの小学校の子供達と電子メール利用による情報交換をし、連合音楽会で互いの合唱を披露したり、TV会議で子供達同士の交流をした。

(4) 国際理解教育への取り組み

@ 2年 総合学習 「ふるさと発見!」    KIDLINKプロジェクトへの参加

 町探検でみつけた生き物などを、動物画としてまとめ、アッティカ小学校に送って、交流した。お正月にやった昔の遊びをホームページに立ち上げ、kidlinkの掲示板にかき込み、電子メールのやりとりをした。

A 4年 総合学習 「輪になっておどろう 外国の子と」

 ゲストティーチャーとして招聘したブラジル人の先生の故郷をWebで検索し、アマゾン川やカーニバルの様子をホームページにまとめ、日本の文化(みそ汁、盆踊り)を紹介するとともに、異文化を体験した。

 

2 平成10年度の成果と課題

(1)全校への広がりと主体的に活用できるメディア

 休み時間や放課後など、子供達が総合学習や各教科で学んでいる事などを、時射的にブラウザーで調べたり交流相手への電子メールをだしたりすることが、みられるようになった。全校の子供達が、学びの道具、メディアとして活用することが、定着してきた。

(2)共同・交流による学習の共有化

 TV会議システムが設置されたことで、TV会議による学校間交流学習や社会施設との遠隔学習が行われるようになった。相手意識を持って自分達の学習を振り返って深めたり、共同で学習することの楽しさを実感したりすることができた。

(3)国際理解教育の推進

 インターネットの最大の魅力は、国境なく外国と交流できるようになったことである。しかし、kidlinkプロジェクトへ参加するなどして、国際理解教育への一助とした。外国語への対応の困難さ、継続の難しさなどから、国際理解教育は今後の大きな課題となりそうである。

 

3 プロジェクトに参加して

 休み時間に情報ルームの前を通ると、子供達が自分達でブラウザーを使って、必要なWebを検索している姿が見られるようになった。つい最近までは、お絵かきをしている事が多かったのだが、自主的に情報を活用しようとする姿が見られるようになった。インターネットが子供達のメディアの一つとして定着するとともに、全校の子供達の中に学習として位置づけられてきている。

 4年間プロジェクトに参加して、共通の目的意識をもつ学校や仲間達と活動ができ、共同・共通のネットワークができたことが何よりもの成果だったと考えている。


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