新100校プロジェクト 平成10年度実施報告

 
  

○インターネット利用状況


平成10年
 4月 インターネット利用推進協力者会議(文部省事業)推進協力校として参加。(2年次)
 6月 本校専用線をNTTのOCN(128k)に変更。費用負担は本市教育委員会。
 7月 パソコン委員会、本校のホタルの情報をはホームページで発信
 8月 5年生2クラス、オーストラリアの小学校と交流開始。
 9月 パソコン委員会、ナイロビ海外日本人学校とメール交換開始。
10月 パソコン室のWIN3.1マシン2台をLANに接続。
     深谷市深谷西小の「西小ワールド」に参加。交流開始。
11月 オーストラリアの交流校(Dookie Primary School)との交流のページを作成。(非公開)
12月  オーストラリアの交流校とエアメールの交換。
     交流の協力者として、北九州大学の学生、保護者が参加。
     英語でのメール交換始まる。
平成11年
 1月 5年生国語科および、社会科の調査活動で、全国の小学校、海外日本人学校にメールを送り、アンケート調査を開始。
 2月 新100校プロジェクト発表会開催。100名参加。
 3月 新100校プロジェクト成果発表会で実践を報告発表。

 

○平成10年度の成果と課題


 本年度は、専用線の接続をOCNに切り替えて、より快適にインターネットの活用ができた。切り替えに関しては、九州工業大学の山之上先生を始め、本市教育委員会、教育センター、および関係の方々の協力をいただけた。本校の職員だけでは、設定等の作業は困難であった。山之上先生が何度も来校してくれたことに、心より感謝している。クライアントの台数も、2台増やしたが、マシンのOSがWIN3.1なので使い勝手はあまりよくない。

 メールは活発に活用されるようになった。オーストラリアの小学校とは、英文で交流するため翻訳のボランティアを本校の保護者にお願いし、効率よくメールの交換ができるようになった。ただし、オーストラリアとは休暇・学期のサイクルがあわないため、頻繁には行えない。また、メールの交換では物足りなくなってきたため、交流専用のホームページを作って画像をたくさん使った交流を始めた。さらに、実際の作品をエアメールで交換しあうことで、児童は実感を持って交流を続けることができた。今後は、メールの交換の継続と共に、ビデオレターなどの方法も使っていきたい。5年生が中心に全国の小学校や海外日本人学校に調査協力のお願いをだしたところ、多くの返事が帰ってきた。単なる調査の回答だけではなく、学習の進め方のアドバイスや、地域の情報、今後の交流の希望などの書き込みも多かった。一つのメールから子どもの活動の幅が広がり、多用な学習へと高まっていった。この活動を機会に、交流校や協力校が広がっていくことを期待している。児童のメール活用能力についてはかなり高まっている。ネチケットについても、その都度指導することで身に付いてきている。ただし、メールアカウントは、教師個人のものはそれぞれあるが、児童のものはない。また、クライアントマシンも少ないため、同時期にメールの送受信を頻繁に行うと、混乱することがあった。


 今後の課題の第1は、データの共有と、共同利用である。これまでの実践で積み重ねてきた学習のデータを今後も共有できるようなシステムを作らなくてはいけない。そのためには、情報のデジタル化、データベース化、校内LANの設置など、抱える問題は多い。1学年限りの実践でなく、継続研究・実践ができるような素地を早い時期に実現したい。課題の第2は、Eメールの効果的な活用である。高学年では、多くの児童がメールを送受信する技能を身につけつつある。現段階では、送信の前に教師が内容に目を通し、不適切・不十分な表現については見直しをさせているが、今後は児童一人ひとりが自由にメールを送受信できることを想定した環境の整備を進めていきたい。課題の第3は、市内・県内でのつながりをさらに深めることである。インターネットを利用した学習は1校では成り立たない。しかし、交流校や協力校もすぐには見つからないのが現状である。日常的に地域で横のつながりを持ち、情報を交換することが必要だと感じた。

 

○新100校プロジェクトに参加して


 平成9年度には、アナログ専用線接続からデジタル専用線接続へ変更。さらに、今年度は、OCNエコノミーの128kで接続できる環境になった。接続スピードの向上にともない、学級での利用時間が飛躍的に増え、効率よく学習で活用することができるようになった。同時に、小学生向けの検索サイトやリンク集などの充実により、手軽にネット上の情報を学習で生かすことができるようになった。しかし、まだこれらのサイトでは文字情報が中心であるため、プリントアウトして内容を読みこなさなす作業が必要である。今後、小学生でも理解できるように、音声・画像・動画等を効果的に使用したサイトが増えることを期待している。

 サーバーを運用してきたが、UNIXに関する知識と技術を持った教員が学校内にいないため、設定等は九州工業大学の山之上先生にお願いすることが多かった。クライアントの増設やメールアドレスの設定等はマニュアルを参考にしながら行うことができたが、それ以外の設定については手つかずだった。幸い、サーバーへの不法侵入やハングアップなどのトラブルに見舞われることもなかったので、最低限の設定ができれば運用はできた。しかし、今後はプロキシサーバー、ファイアーウォール、NTサーバーの増設を含め、時代に合わせた設定をしていく必要がある。そのために、民間や個人の技術者のサポートを受けられるような体制を作っておかなくてはいけないことを痛感している。

 現場の教師の意識もこの数年で大きく変わってきている。コンピュータが導入され、インターネットに接続できる環境が整いつつある今、教師もコンピュータリテラシーの習得が必要であると感じるようになってきた。児童の実態もそれに伴い向上してきている。本校では、毎年コンピュータ活用能力指導系統を見直し、実態調査を行ってきた。低学年ではコンピュータとその入力装置及び周辺機器の取り扱いを主に身につけさせることを目標とし、成果を上げている。高学年では、WWWの閲覧とメールの送受信を中心に、ホームページでの情報発信をめざしている。できるだけ児童主体のページになるように試行錯誤をしながら本校のページの充実にも力を注いできた。その結果、本校のもう一つの特色でもある「ホタルの飼育」に関する問い合わせも増えてきた。また、海外からのアクセスも増えている。一方では、公開する情報の妥当性や資料の著作権等の問題についての研修を重ね、よりよいページであり続けることを目指している。


  本年度の研究のまとめとして、平成11年2月5日(金曜日)に、「新100校プロジェクト研究発表会」を開催した。研究主題は、「自ら課題を発見し、追究する授業の創造」(子どもの力を伸ばす情報教育)である。5年生2クラスのインターネットを活用した公開授業(社会科、国語科)の後、授業に関する分科会では活発な意見交換が行われた。本年度は、具体的な授業の目標や指導内容についての話題が多く、大変有意義であった。全体会では本校の研究に関する基調提案の後、昨年度に引き続き北九州ネットワーカーズフォーラム代表 土谷重幸氏より、「インターネット時代の<超>勉強法」という演目で講演をいただいた。参加者は、県外からも含め、約100名であった。

 本市では、市の整備計画に従って小中養護学校へのコンピュータ整備が着々と進んでいる。本校が、このプロジェクトに参加して得たノウハウや成果及び課題を、今後さらに本市全体に広めていく必要性を感じている。これまで、ネットワーク上の多くの方々や地域の方々に支えていただいて、なんとか実践を続けることができた。充実した1年間を支えてくださった関係者の皆さまに感謝している。


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