新100 校プロジェクト 平成10年度実施報告
歌志内市歌志内中学校
1.インターネット利用状況
(1) 環境教育についての実践研究
@ 校内研究主題
一人一人が意欲的に取り組む教育活動をめざして
「ネットワーク環境を有効活用した教育活動の展開」
「文化活動を取り入れた学級づくり」
A 実践研究のねらい
実践研究の2つのアプローチ「ネットワーク環境の有効活用」と「文化活動」を統合する「環境教育」で目指すものは、次の通りであった。
○ 現状の学校や一斉授業という枠組みになかなか適応できない生徒も取り込み、3年生の
生徒に「やる気」のでる学習
活動を提供すること。
○ 「ネットワーク環境」「インターネット」そのものに対する、生徒の強い興味・関心を学習活動の原動力として利用すること。
○ これまでの研究の成果として
の「文化活動」の形態、「班・小集団」による活動を展開させ、仲間との協力が達成感につながる活動・文化的価値や「よさ」の実感できる取り組みを体験させること。
○ GLOBEモデル校ゆえに、学習テーマを「環境」に設定し、日常の教科授業と印象を変え、課題追究学習を行わせる。その中で総合的な学習を展望すること。
○ 追究の課題として、気象
観測、酸性雨観測、水質検査等を設定させること。
○ 生徒に「洞察力と実践力」身につけさせるべく、教育活動を 計画・実行・評価すること。
B 実践研究の内容
ア 「環境」への配
当時数とスケジュール
○ 3年の選択教科(年間週配当時数 0.5時間)「環境」と「保健」を環境学習に配当した。
「環境」は、後期(約18週)の時数を18単位時間とし、後期の前半9週で行い週2時間とした。
「保健」は、後期(約18週)の時数を18単位時間とし、後期の前半9週分を「環境学習」にあてた。
○ 環境学習の期間 10月19日〜12月22日 合計27単位時間
イ 課題学習、グループの編成、課題設定
○ 課題学習
課題決定の段階で、その課題と学習内容が「環境」と何らかの関係を持つように指導する。
○ 学習の形態は「小集団(グループ)」とする。A,B組の枠にとらわれず3〜6名のグループを編成する。学習途中のグループ替えは原則として認めない。
○ 課題設定について
アンケートの実施(生徒個々の興味・関心の把握)→ガイダンス「課題設定」(仮ガイド)→課題分析・類型化・担当者検討→ガイド決定
ウ 環境学習のシステム
○ 生徒個々の学習状況点検−ファイルを持たせる。
○ 「環境学習の記録・計画」
毎時の取り組みの進行状況などを記録(学習終了時に提出、点検)
内容−取り組みの計画、取り組み(取り組みの記録)、自己評価、点検欄、コメント欄
○ ミーティング(担当ガイド)→<移動>→取り組み→ファイル提出・点検(翌朝に返却)
○ その週の最終時間に次週の「取り組み計画」を立てる。
○ 資料収集のためにインターネット、取り組みのまとめにワープロソフトが利用できるように、パソコン室を開放する。
エ 環境学習センターの設置
○ 空き教室を「環境学習センター」とし、パソコン2台、テレビ・ビデオ、環境にかかわるビデオテープ、環境にかかわる書籍を設置した。
○ PCは校内LANに接続(インターネット接続)し、本校HPの「GLOBE ページ」にダイレクトにアクセスするよう設定した。
C 実践研究の結果
週3時間・10週にもわたる活動に、意欲を持ち続けて取り組むことができるかどうか、当初懸念された。しかし、活動終了時の生徒によるまとめとして、「時間が足りなかった」「もっと早く(長く)取り組みたかった」と言う感想が多く、自己評価の「楽しい取り組みでしたか」という項目への高い満足度とあわせて、おおむね前向きに取り組めたと言えよう。
また、「インターネット」を利用した情報収集(検索)がどのグループにおいても活動の中心になり、意欲を持続して取り組みを進める上で大きな役割を担った。
(2) その他授業での活用
@ 1年生技術
これまでの活用の実績をふまえて、「見学旅行のまとめ」のページづくりや、校内でのメールの送受信の体験をさせならが、インターネットへの興味や関心を高めた。
A 1年生保健での活用
課題選択学習における、インターネットを利用した情報検索。
● 食物の安全と私たちの健康「食品添加物について」
● 食物の安全と私たちの健康「無農薬・有機栽培について」
● 食物の安全と私たちの健康「飲料水について」
● 身のまわりの化学物質と私たちの健康「大気の汚染」
● 身のまわりの化学物質と私たちの健康「環境ホルモン」
● 環境が及ぼす健康への影響「アトピーや喘息」
(3) 地域の核として
パソコンが導入された当初から、市民講座(公民館)、近隣市町の教職員研修、視察希望校の受け入れなど様々な活動を行い、地域の核としての役割を果たした。
2.平成10年度の成果と課題
総合的な学習を展望する「環境教育・環境学習」は、平成11年度以降も本校研究活動の柱として続けられる。その展開において、情報収集の道具としての「インターネット」は、学習活動を支える柱として必要不可欠である。
今回の「環境教育・環境学習」での利用は、HPを検索し情報を集める段階にとどまったが、今後は個人情報保護やネチケットの指導を前提に、メールによる「双方向」の 教育をめぐる困難な状況の中で、「教える、教わる」ではない、「わからないことを一緒に学ぶ」への「学び」の再生が求められており、「洞察力と実践力」をねらう環境教育・環境学習を含めた総合的な学習、それを支えるインターネットに期待するところは大きい。
3.新100校プロジェクトに参加して
本校では、平成3年度のパソコン導入時より、パソコンは道具の一つであり、「使いたいときに、使いたい人が、使える範囲で使う」という観点で活用を図ってきた。以来、地道ではあるがこつこつと実践を続けてきた。他校に誇るようなめざましい成果を上げることはできなかったが、様々な教育活動を支える「ネットワーク環境」が整えられてきた。また、「インターネットがあって当たり前・みんな使えて当たり前」の雰囲気の中、さらなる展開も期待されている。今後も今まで通り、地道に本校なりの取り組みを続けていきたいと考えている。