新100校プロジエクト  平成10年度実施報告
                             仙台市立第一中学校
1. インタ−ネット利用状況
 インターネットでの使用言語は、各国の母国語の他は世界共通語としての英語が圧倒的に多い。地球的規模でインターネットを活用するためには英語運用能力が欠かせない。そこで、生きた英語(Authentic English)の宝庫であるインターネットを英語の授業で効果的に使えば、「英語を理解し英語で表現する能力」を養う授業の活性化に役立つのではないか。パソコンのモニタ上に開かれた窓の向こうに広がる世界を生徒が知れば、英語が世界中の人々を相手にしたコミュニケーションの道具として確かに有益であることを知るのではないか、そしてそのリアルな体験によって、生徒が英語に自ら取り組み、学ぼうとする態度が育つのではないかと考えた。英語教育においては【聞く・話す】=コミュニケーションという近年の流れであるが、インターネットは【読む・書く】にも新たなリアリテイを持たせてくれるために、広い意味でのコミュニケーション活動での応用が生まれると思われる。
 
2.平成10年度の成果と課題
  インターネットを活用した英語学習の具体的なねらい
                 大曽根 眞紀子http://www1.neweb.ne.jp/wa/makiko/
(1) インターネットを利用して英語による生の情報の教材化をはかる。コミュニケーションをする相手の存在が保証された学習環境を作り、生徒が英語を学び、使おうとする 態度を育てる。
(2) 教科書にのっている教材に関連するWWWサイトを、言語・文化的背景への理解を 深めるために読ませて関心を高めさせる。そのためには英語・日本語両方のversionで 出ているものを選び、英語を学ぶだけでなく、英語で何かを学ぶ体験を味わわせる。
                   
  ソフトウェアについて
 

1.Makiko's Homepage『Let's learn English through Internet』の作成と利用はじめのうちは、WWWを生徒に見せるたびに一台毎にURLをキーボードから打ち込ませたり、コンピュータの操作の得意な生徒に手伝わせて前もって”お気に入り”に入れて準備していた。一方で自分の海外旅行経験などを取り入れたホームページを試験的に公開していたので、それをインターネットによる英語学習の基地として使えるものに作り直した。


2.ALTの協力と協同での教  材作り
 本校のブラウザはInternet Explorerの日本語版なので、ALTにまず基本操作を教えながら、英語の授業に使いたいサイトについて話し合った。その後ALTは一人で検索エンジンなどを使い、短い時間で興味深いホームページを見つけることができるようになった。それらを二人で検討した後で、ALTは一人で授業案とhandouts  Sites for English classesを一太郎を使って英語版で作るようになった。個人的な資質によるのかもしれないが、インターネット利用におけるALTの協力の有効性を感じた。また今後T-Tの多様化も期待できると思う。
 
 指導の実際

  1事前指導
  生徒がどの程度コンピユータの操作に慣れているかを確認した。コンピユータ部の生徒の数や、家庭でのインターネットへの接続状況も参考にした。Windows95の基 本操作と、WWWを見るためのブラウザソ フト(Internet Explorer)の使い方、そしてインターネット及び最小限の関連用語に関するプリントを選択授業で使ったものをもらって配って説明した。

 2 指導に使用したhandoutsについて
 インターネットでは短い時間に多くの量の英文を読むことが要求される。そこで情報検索型(sanning)と概要把握型(skimming)の読みをさせた。そのために、アクセスするサイトについてその内容についての質問事項を、handoutに用意しておき、主としてペアで課題を解決させた。生徒は課題解決することで、同時にそのホームページのBettyが選んで指導案を作ったサイト集
構成を理解するように、handoutを作った。また、handoutの質問は英語版・日本語版の両方で作ったり、レベル別の問題を作って能力や意欲を生かすことが出来るように工夫した。

 3 評価・事後指導
  表現や理解の能力の評価はhandout、関心・意欲や文化に関する理解については感想を読んだり観察で行った。次の授業では、読んだサイトに関して英文を書かせたりなどして関連指導した。

 4 T-Tとの関連
 ソロ・テイーチングでも授業はできるが、ALTとのT-Tで行うと助けられることが多い。ALTは生徒に英語を読み、その意味を教えたり、音読してやるだけではない。Internet Explorerの操作に手間取っていたり、うまくリンク先をたどれないでいる時も、適切なアドバイスを与えることが出来る強い味方である。ALTの存在によりJTEはクラス全体を見渡し、サーバーの調子を見たり,コンピューターの出すさまざまなメッセージに対する対応を指示する余裕と時間が見いだせる。

 5 生徒の変容
  handoutに書かせた生徒の感想はおよそ次のようなものであった。
 ◎ホワイトハウス for キッズ について
・クリントン大統領のところが文字が多く読みとるのが大変でした。でもアメリカ大統領やその夫人の趣味とかペットとかをホームぺージにしてあるのを見て、こういうのがお国柄の違いというのだと思った。(Kさん)
・クリントンの趣味の読みとりが難しかったけれど、ところどころわかる単語から推測して、何とか自分なりに(課題の答えを)書けた。英語を読むと共に、ホワイトハウスの一面も見られて良かった。(Sさん)
・ホワイトハウスの事や大統領の事をいろいろ知れたので良かった。英語の勉強にもなって、一石二鳥だった。(S君)
 
 プロジェクトに参加して
 
1インターネットを活用しての結果について
 インターネットを使って、英語が使われている現実の世界に触れている生徒は、英語を学習しているという意識や抵抗感を忘れて取り組んでいた。英和辞典を使ったりALTに質問することも積極的であった。もし普通のプリント学習としてやらせていたらその膨大な英語の量に挫折してしまったであろう生徒も、投げ出さずに自分の持っている力で出来るだけレベルの高い課題に挑戦していた。これは従来のmediaには見られない利点であると感じた。また、教科書に含まれている文化的な背景を教師が言葉を尽くして語るよりもはるかに短い時間で、生徒はWWWの画面から多くのことを学び、感じ取っていた。
 
2今後の課題
(1)インターネット活用環境の充実
 このようにさまざまな可能性を持ったtoolであるが、サーバーの調子が悪く、接続できない時もある。生徒の意欲をそぐことのないよう、インターネット活用環境の充実を望んでいる。生徒の質や数が限られた選択の授業ではなく、普通の英語の授業で使うことに、より意味を見いだしている。
(2)実践活用に関する情報の共有と蓄積

 WWWは内容や英語の質において玉石混交である。個人的な内容に偏っていたり、口語的すぎる英語が使われているものは授業では使えない。生徒の知的要求にかない、さらに質の良い英語を使ったサイトを見つけることが最も求められる。また、一度見つけたサイトも時間が経つとアドレスや内容が変わってしまうことが多い。そのため、実践活用の情報の共有と蓄積が必要になるのではないかと思う。


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