新100校プロジェクト 平成10年度実施報告
福島県葛尾村立葛尾中学校
○インターネット利用状況
1.研究のねらい
本校はこれまで100校プロジェクト,新100校プロジェクトに参加することで,試行錯誤しながらネットワークの教育利用に関する研究の推進に努めてきた。今年度は,昨年度までの研究の課題から,生徒の自己成長を図るには表現力の育成が必要であることを,全職員の共通課題としてとらえ,手だてとして「交流」を授業に導入し,学習成果の発表の場や機会を設定することで,表現力の育成を図ることに焦点を絞った。
2.本校をとりまく環境
(1) 研究組織
今年度の研究組織については,昨年同様,右図のように編成し,平成10年10月の自主研究発表会を目標として,年間を通した研究に取り組んだ。なお,各部の詳細については,以下の通りである。
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- 授業研究部
研究主題及び研究仮説に基づく各授業実践計画の作成,授業研究会の運営,表現力育成の視点に立った授業観察の視点を作成し,各授業実践の分析をする
- 調査研究部
授業実践の計画に沿って,生徒の表現力及びインターネットリテラシーに関する変容調査並びにデータベースの作成,表現力育成に関わる実践事例の収集・分析をする
- 活用研究部
インターネット活用資料の収集・分析をし,職員に対する校内研修会の検討,計画及び運営,ネットワーク環境の管理,整備,教育ソフトの検討をする
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(2) ネットワーク環境
本校のネットワーク環境は,学校外の識者多数の方々のご協力によって支えられている。これまでの定期的なシステム構築と村の支援による機器提供に加え,常にリモートアクセスや来校してのトラブル解決といった献身的なサポートにより,教師はもちろん生徒にとっても使いやすい校内ネットワーク環境が整備されている。
3.実践内容
(1) 授業研究
毎月1回2教科の研究授業と研究協議を行うことによって,ネットワークの有効利用についての検証を積み重ね,生じた課題を次の授業に反映させていった。
第1回 |
2年国語科 |
:個の考えをメールにより表現・共有し,理解を深める授業。
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第2回 |
1年国語科 2年道徳
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:標語をメールによって表現・共有し,表現意欲を養う授業。
:メールの書き方を学ぶことで,適切な言動を考える授業。
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第3回 |
1年音楽科 3年学級活動 |
:Webページの教材を活用し,鑑賞能力を養う授業。
:蓄積された資料により,進路について考える授業。
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第4回 |
3年理科 2年英語科
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:TV会議による遠隔T-T授業。
:外国の学校とメール交流し,英語で表現する意欲を養う授業。
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第5回 |
2年社会科 3年英語科
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:過疎化に悩む山村の方とのメール交流で,理解を深める授業。
:TV会議を活用した,外国人講師による生の英会話授業。
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(2) 校内教育機器活用研修会
教師がインターネットを授業で活用する際の機器操作や専門的・技術的な知識に関する障害を低くするため,定期的に機器活用研修会を開催した。
- 第1回 :WWW について(インターネットとは)
- 第2回 :メールの送受信について
- 第3回 :Webページの作成について(HTMLとは)
- 第4回 :画像の処理について
(3) 自主研究発表会
地域の各学校に本校の研究の成果や課題を広く公開するため,平成10年10月に自主研究発表会を実施した。なお,研究発表会では,事前まで積み重ねてきた授業研究の課題を踏まえた内容の授業を設定した。
- 第1分科会 3年学級活動:TV会議を活用した学校間交流による進路指導。
- 第2分科会 1年音楽科 :他校の作品に触れ,豊かな表現力を養う授業。
(4) その他
- プロジェクト重点企画の「全国発芽マップ」に参加し,全国の各学校でケナフを栽培,成長記録を比較することで,交流を深め,地域の特色を理解する機会を設けた。
- 小学校との無線によるLAN接続を試みたり,お互いに授業参観を行うなど,小中で連携を図りながらネットワークの有効利用についての検証に努めた。
○平成10年度の成果と課題
1.研究の成果
- 「交流」を授業に取り入れるという具体的な手だてを講じたことにより,自分たちの考えや学習の成果を発信する場や機会が増えたため,生徒一人ひとりがより主体的に学習活動に取り組むことができた。
- 情報を共有化し,自分のものに置き換えて判断できる力が養われてきた。
- 学習訓練や学習形態の工夫,指導法の質的改善を図ることにより,インターネット活用場面以外の授業においても,主体的に学習に取り組み,自ら判断して行動する姿勢が見られるようになってきた。
2.今後の課題
- 「交流」の実施においては,教師間の教材研究や連絡調整などの準備がたいへん重要である。交流協力校の選定も含めて,効率よく準備を行うためにも,学校間の密なつながりを大切にする必要がある。
- 機器整備や維持発展のための人的物的環境の援助体制を確立させる必要がある。
○プロジェクトに参加して
1.地域の核としての活動
- 自主研究発表の定期的な開催により,近隣の各学校や教育関係機関にネットワークの教育利用の価値の高さや活用方法を理解してもらうことができた。
2.教師の変容
- 定期研修会の他,職員室での日常的な質問や自主的研修が,技術向上につ結びついた。
- 他教科との関連を図る研究の推進により,授業の質的改善が図られた。
3.生徒の変容
- より効果的な表現方法を選択するなど,自ら表現しようとする意欲が高まった。
- ネットワークの活用により,意欲的に発表し,自分の意見に自信が持てる生徒が多くなった。
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