新100校プロジェクト 平成10年度実施報告
埼玉県大宮市立大成中学校
○はじめに
本校では今年度の5月にインターネット接続の拡張整備を行い、コンピュータ室(22台)と職員室(1台) の全てのコンピュータがインターネット回線に接続できるようになった。このような新しい環境の中で、今ま での限られた情報教育の場から、コンピュータ室の壁を超え、多用化、双方向化、普遍化した高度な情報教育 の一層の推進を図っている。 特に、市立教育研究所との連携を図りつつ以下の実践に努めた。また、市の施設等とホームページをリンク させ教育活用を進めている。ここ2、3年は全国各地より視察者が訪れ、さらなるインターネット教育研究に 利用相互協力している。 ○インターネット利用状況 (1)ホームページの充実 ・本校のホームページの作成 ・電子メールを活用 (2)授業実践 <領域>ネットワーク教育(技術・家庭科) <概要>・インターネットの基本的な操作や機能を理解する ・メーラーの活用法を知る ・メールの送受信に関わるモラルを考える ・HTML文書について理解し、作成する ・インターネット等を活用し、自ら設定した課題を解決する ・創意工夫展の作品集にアクセスさせ、課題解決学習を行う ・情報モラル(ネチケット)の重要性について考える (3)ペンシルバニア姉妹校との国際教育交流 <領域>選択英語(3年) <姉妹校>(リドリー学区) Ridley Middle School(リドリー学区) <概要>・電子メールによる文通を行う ・インターネット等を活用し、自ら設定した課題解決をする ・既習の英語能力を生かし、英語に対する意欲を高める ・諸外国の文化の違いを知り、国際理解を深める (4)酸性雨プロジェクトの参加 <領域>課外活動(科学部) <相手校>広島大学附属福山中・高等学校を中心とした学校 <概要>・雨水の酸性度(PH)観測データの交換 ・部活動の資料として活用する (5)国内教育交流(生徒会) <領域>生徒会(本部役員等) <相手校>仙台一中 <概要>・電子メールによる交流を行う ・生徒会活動を活性化する ・共通テーマについて意見交換する(服装問題等) (6)公民館コンピュータ教室 <領域>社会教育 <概要>・公民館主催のパソコン教室の実施(20名 3日間) ・ワープロと図形処理ソフトウェアを使った「残暑見舞い状」「名詞」の制作 ・ホームページの視聴とURLの開き方 (7)市内教員研修会 <領域>技術・家庭科教員研修会 <概要>・市立教育研究所主催の研修会の実施 ・マルチメディアパソコンとLANの基本的操作方法 ・ホームページの視聴とHTML文章の作成 ・電子メールを活用した授業実践を想定した研修 (8)校内研修会 <領域>学校課題研修会 <概要>・パソコンの基本的操作方法 ・本校のコンピュータネットワーク状況を知る ・電子メールの送信と受信方法及びホームページ視聴URLの開き方 (9)その他 ・生徒インストラクターの充実 ・校内LAN(職員室まで)の充実 ○平成10年度の成果と課題 インターネットへの接続台数の増加とコンピュータを活用した授業時間数の拡大により、生徒の学習意欲の 向上や学習効果の面でかなりの成果をあげることができた。 これまで、インターネット回線と接続されているコンピュータの順番待ちのため、生徒の『早くやりたい、 試してみたい』という学習意欲が低下することもあった。しかし、ネットワーク環境が改善され、学習したこ とをすぐインターネットを使って確認できるようになり、学習意欲の持続時間が長くなった。また、コンピュー タ操作時間の増大は、友人同士で同じ課題を共有し、相談しながら、課題を解決しようとする学習をより深め られるようになった。これまでは、インターネットを効率的に活用させるため、あらかじめ生徒が直面するで あろう課題を設定し、事前に指導をしていたが、試行錯誤させることにより生徒自らが課題を解決し、学習を 進められるようになった。本年度は、ネットサーフィンに必要な検索等の技能も生徒自らの必要に迫られ『学 習したい、知りたい』という声も多かったことからも学習意欲が向上したといえる。 学習効果では、情報をコンピュータネットワーク上から収集する場合でも1例から20数例へと情報量が広がっ た。情報が広がることで『よりわかりやすい情報』『必要としている情報』へと生徒の思いも高まった。併せ て多く集まった情報の中から本当に必要とする情報を選択する力(情報選択能力)も子供たちに育ってきた。 平成10年度は、インターネットへの接続台数の増加により、教師・ 生徒にとってコンピュータは今まで以上 に身近なものとなった。この変化が教師のコンピュータを効果的に活用した授業改善へ進むことを確信してい る。今後もさらに校内の情報教育主任として活用場面の拡大、校内研修のレベルアップ等に努力をしたい。 ○プロジェクトに参加して 平成7・8年度と100プロジェクト校の対象校として、また平成9年度からは新たに新100校プロジェク トの対象校として情報ネットワークの教育的利用方法を模索してきた。 4年目を迎えた今年度は、インターネットに接続されたコンピュータの増加が生徒にも教師にも意欲の喚起を 促した。まもなくスタートする「総合的な学習の時間」の核として、インターネットを活用した題材開発を始め た。そして、これまでの技術・家庭科、英語科の限られた教科から社会科、理科、数学科の全ての教科へ広がる 第一歩を踏み出せたのではないか感じる。 最後になりましたが、4年間にわたりこのプロジェクトを支えていただきました文部省、通産省、IPA、C EC、教育委員会の関係の皆様、そしてプロジェクト参加校先生方に厚く感謝申し上げます。