新100校プロジェクト 平成10年度実施報告

 

山梨大学教育人間科学部附属中学校

1.はじめに

 

 本年度は、機器更新への取り組みに集中し、1年間の要望や申請等を継続した結果、年度末になってついにネットワーク環境を更新することができた。これによって、次の時代に必要と思われる学校内コミュニティの形成も含んだ情報教育システムができあがろうとしている。今年度はこのような理由から実践は少ない。しかし、将来に向けての校内プロジェクトとして、コンピュータメディア活用能力を育成するプロジェクトを興し、来年度から推進していく予定である。

 

2.インターネット利用状況

(1)技術・家庭科情報基礎領域での実践

小グループで、電子取引の疑似体験を通して、約束やモラルに関する理解を深め、ファイル転送、コミュニケーションなどの基本的な操作を習得する。
これは,ゲーム感覚でネットワーク上の自分のパソコンのイメージを体得し,ネットワークコミュニケーションは,仮想現実ではなく,実際の交流ができる可能性を感じ取る目的で実践している。
 
この実践の時期には,生徒用Windows95マシンがないために,ネットワークが稼動するパソコンや部品をインターネット上で買い集め,6台のパソコンをLANで接続し,グループ単位で学習した。

(2)保健体育科の保健分野での実践

自分たちのテーマについてインターネット上の環境と保健に関する情報収集と整理行い,発表資料をWebページとして作成し,発表する。昨年は,普通教室にネットワークケーブルを引き込み,教師の持つノートパソコンをかり集めてセットアップするなど,準備に大変な労力が必要だったが,今年度の実践は,新しく導入された第一コンピュータ室のノートパソコンで実施できる。
この実践が,新しい施設の第一号の実践となることで,生徒,教師間でのデータ交換いかに効率よくできるか,様々なテストを行っている。
1)生徒のデータ保存,教師への受け渡し操作の簡素化
2)生徒から集めたWebの一覧表示処理
3)コンピュータ操作能力の実態調査

 

(3)総合的な学習時間でインドネシアに関する情報を収集

総合的な学習の時間の位置づけた国際理解をテーマとした実践の中で,インドネシア人の大学生との交流の準備として,図書館の書籍情報とインターネット上の情報を探索し,グループごとに質問する内容をまとめる授業を行った。
生徒は,情報検索の操作等を学習していないため,教師があらかじめ作成したインドネシアについてのリンク集を入口に探索していく方式で行った。インターネット利用は,学内情報で不足するものをインターネット利用によって探すという,情報収集の正しい段階を体験する意義かあった。

 

(4)ネットワーク高度利用(校内利用)への準備

@情報教育環境の構築

機器更新と校内ネットワーク環境の概要(来年度完成予定)
PCの集中配置 第一コンピュータ室 ノートパソコン20台
         第二コンピュータ室 デスクトップパソコン40台
PCの分散配置  図書室 5台のデスクトップパソコン
         相談室 1台のデスクトップパソコン
         学年教官室前 自由に閲覧できるパソコンを配備
イントラネットサーバによる校内コミュニティの構築
WebMailプログラムによるメーラーの操作性の統一
集中配置した生徒用PCと教師用PCの自動配信、回収ブログラムの作成
 

Aコンピュータメディア活用能力を育成するプロジェクト

コンピュータを媒体とする情報メディアについて適切に活用できる力を育成する学習について3年研究をスタートさせ,CMLの時間を実践研究の場とする。
 

B総合的な学習の時間「CML」の時間の計画

コンピュータメディアリテラシーという名前をつけた学習時間で,1年次に前期に35時間インターネットを含む情報教育の場を設定する。
学習内容の予定
インターネット(チャット,掲示板,電子メール,WWW検索,整理加工,発信…)
ネットワーク上のモラル(ネチケット,著作権,引用,…)
マルチメディアコンテンツ作成の方法

3.平成10年度の成果と課題

 インターネットの実践は、一部の教師の実践から、少しずつ広がりを持つようになってきた。全体教官室のコンピュータがインターネットに接続されいること、各教官室のネットワーク利用が増えていることなどから、コンピュータを活用している先生の意識に自然な形でインターネットやLANの概念が浸透してきているように思われる。教師の理解を高めるために、教師用の研修会報を配布し始めた。機器更新によって十分な情報教育の環境ができてきたので、今後は附属小学校の情報教育を基盤として,より日常的で自然な形で生徒がコンピュータやネットワークを活用するよう進めていかなければならない。

 

4.新100校プロジェクトに参加して

実際には,生徒用のコンピュータのOSがDOSである時代が長すぎてしまい,ほとんど,教師用のコンピュータでまかなっていたことが心苦しい。プロジェクト担当者の交代や,コンピュータ機器更新の努力など,校内の整備に奔走していた分,新100校としての責務が十分に果たせなかったことが残念でならない。

しかし,100校,新100校と継続してインターネットの教育的活用プロジェクトに参加できたことは,全国の尊い実践例にふれることができ,本校の来年度から始まる情報教育の改革に大きな支えとなっている。大学の理解もあって100校プロジェクトで供与したいただいたサーバ機も更新できるようになり,さらには,多くのネットワーク利用できるコンピュータが導入できたことは,幸いである。

先進的な実践を参考に情報教育を見直し,より自然に,より日常的な利用ができる生徒を育成するよう,生徒からのボトムアップによるネットワーク活用を支援していきたい。

 

 

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