1 研究のねらい
本校は,平成6年12月に100校プロジェクトの指定を受け,平成7年度からは,職員室
にサーバ1台,コンピュータ室にクライアント1台というCEC貸与の状態での活用を続けて
きた。主な活動の柱としては,ホームページの作成を通して,情報発信することと,ホーム
ページの検索を通して情報収集すること,それにE−メールによって交流を深めることで あった。
平成11年度には,42台の新規コンピュータが導入される予定である。そのため,本年度
は,今までの研究をまとめ,次年度に向けての構想を深めた。
2 利用の概要
(1) 平成7年度の実践 回線の維持とサーバの構築。
(2) 平成8年度の実践 実際の教育活動の場で,どのような利用方法があるかを具体的に研究した。
@ 一斉授業での利用形態(ビデオプロジェクターを利用した視聴覚教材の一部としての利用。)
・社会科での利用 日本の諸地域 関西地方の学習において,学習のまとめので大阪府知事と
メール交換を行った。
・選択社会科 国際教育理解(英語科とのTT,平成9年度も継続) アメリカオハイオ州の
セントジュリー校とのメール交換を行った。
・選択理科での利用 酸性雨プロジェクトへの参加(平成9,10年度も継続)
・英語科での利用 英語メールの作成による文型練習
・美術科での利用 他校作品の鑑賞授業と感想文の作成
A課外活動,休み時間など(生徒が作るWWWページの作成)
B職員の利用(職員室内でのネットワークの利用)
(3) 平成9年度の実践 生徒のリテラシーを高め,より多くの教科や場面で,多くの教員がまず使っ
てみるということを目標に研究した。
@ ホームページによる情報公開
・生徒が作るホームページ (平成10年度も継続)
・食中毒情報や学校給食献立表を掲載したホームページ
・環境データベース (平成10年度も継続) 技術・家庭科の情報基礎領域において,新聞記
事の中から環境に関する記事を収集 し,データベース化を行っている。(約17,000件,平成
10年度も継続)この貴 重なデータをホームページに掲載できないか検討中である。
A WWWを用いた情報収集
・英語科での取り組み教科書に出てくるオーストラリアのエアーズロックやコアラ,カンガルーの情
報やカナダなどの国々の生活や文化について情報を収集した。
・技術・家庭科での取り組み (平成10年度も継続) 食物領域の中の「バランスのとれた食
事」の単元の中で,「ダイエットナビ」(松下 電器電化住設研究所)http://town.hi-ho.or.jp/diet/
へAccessし,「カルシウム足りてるチェック」 を実施し,生徒自身でカルシウムを摂取できてい
るか判定させることで,インターネ ットを通じて自ら食品を選択し,豊かな食生活を送るための
「生きる力」を身につけさせることができた。
・音楽科での取り組み 全国の中学校で行われている合唱コンクールの情報を収集するなど,生
徒自身が検索して授業や学校行事に生かした。
・保健室の取り組み(平成10年度も継続) インフルエンザの発生状況や症状,大腸菌O−157,
O−127についての情報収集を生徒の委員会活動で行い指導に生かした。
B E-mailによるコミュニケーション
・英語科での取り組み 1年生の授業において,リアルタイムで,アメリカ在住の人と時刻や天
気についてのメール交換を行った。
・校区の小学校とのメール交換 本校は,小学校6校区からなる大規模校で,小中連携が必要な
ことも多い。そこで,小学校にも,インターネットが接続されたのを機に,教師間や生徒,児童間
においてメール交換を行った。
C コンピュータリテラシー年間計画(平成10年度も継続) 本校では,毎朝,8時から8時30
分までの30分間,1年生全員がクラスごとにローテーションしながらコンピュータの基礎的な操
作技術を学習している。
(4) 平成10年度の取り組み 過去の実践,また,次年度に42台のコンピュータが新規導入されること
を踏まえて,「総合的な学習」を支援する情報教育の在り方と教師,施設,設備を考慮した体制作りに
関して試行した。
@ 「総合的な学習」を支援する情報教育の在り方 2年生において学活,道徳,社会科,技術・
家庭科において,環境をテーマに総合的な学習の試行に取り組んだ。授業では,社会科と技術・家庭
科の教員がTTで指導し,環境データベース(本校作成)やインターネットを利用し,産業廃棄物に
関してデータ収集したり,身近なごみ問題に関して坂出市のホームページを検索し,各自が課題解決
的な学習に取り組んだ。
A 情報教育担当教員の時間割編成の工夫 教員のリテラシーの問題や生徒のニーズを考慮し,必
要に応じて情報教育の担当教員がTTで,授業に参加できるように時間割編成を工夫した。これに
より,教科担当者が気軽にコンピュータ室を利用できるようになり,教科担当者の負担が一時的に
ではあるが軽減したと思われる。教師のリテラシーに関しては,まずは使ってみるという気持ちを
大切にしたいものである。
3 今後の課題
市内の小学校にはすでに生徒用のコンピュータがインターネットに接続されているという 状況の中,
本校では,インターネットに接続された1台のコンピュータで実践を積み重ねてきた。
時には,教員私用のコンピュータを利用しての実践もあったが,多くの教科で,イン ターネットを十分
に活用し,多くの人々と交流を深めることができた。次年度は,いよいよ待 望の新規コンピュータの導
入である。これまでの実践を生かすためにも解決しなければならない課題をあげてみる。
・校内ネットワークの構築,管理
・教師リテラシーの向上
・全学年による生徒リテラシーのための時間確保と年間計画の作成
・校内情報教育プロジェクトチームの編成
・小中の連携
・有害情報の制限,セキュリティ管理
・情報モラルの育成