福岡教育大学附属福岡中学校 Page1/1


新100校プロジェクト 平成10年度実施報告   


○インターネット利用状況

(1)情報ネットワーク環境整備
 @回線の高速化   

 IPAの協力によりアナログ28.8kbpsからデジタル64kbpsへ変更し,高速化を図った。このことで,複数クライアントからのアクセスがスムーズに行なえるようになり,授業での活用の幅が広がった。

 A校内LANの整備   

 普通教室や特別教室や各準備室へのLAN工事が現在進行中で3月に完成見込みである。イントラネットを使った校内LANの在り方を探るため校内研修やイントラネット用にNTサーバーを購入しイントラネットの活用の可能性について実験を行なった。

 B情報機器の拡充

 図書室に図書検索用のコンピュータが3台挿入され,パソコン教室に機器更新にともない接続可能な40台のコンピュータが3月に設置される。また,各教室にもコンピュータが導入される予定であり,一層の情報教育の可能性が広がった。

(2)新100校プロジェクトのための授業実践

教科

@ 技術科「鋳造で古代の金属製品を製作し,作品紹介をホームページにまとめて発表しよう。(金属加工)」(第2学年)
 古代の金属製品を福岡市博物館などで調査探究し,実際に古代の金属製品を鋳造することで金属について学習を深める題材を設定した。
昨年度の生徒の作品や調査結果をまとめたホームページを導入で提示することで学習に対する意欲を高めた。

A 家庭科「附中の制服をデザインしよう(被服)」(第3学年)
 制服をデザインさせる学習で,以下の調査内容をインタビューするだけでなく,インターネットを活用した調査を行なわせ,その調査結果を報告交流させることで新たな制服のデザインを深めさせる単元を設定した。

調査内容
○制服が変わった経緯・理由は何か
○どんな制服のデザインになっているのか
○制服のデザインのセールスポイントは何か
○制服のデザインのよさは何か
調査方法
☆直接学校を訪問して,インタビューする。
インターネットを用いて情報を収集する。
  電子メールを送る。
  掲示板に掲載し,意見を求める。
☆アンケートを作成して,制服に関する情報を収集する。

 あるグループはまず,北海道や沖縄の中学校に電子メールで質問を行ない,その長所や短所を知りました。次に,ホームページを検索し,制服に必要な要素や人気のデザインなどを調べました。さらに,校内で好きなデザインや機能的な面をアンケート調査を行ないデザインを考えた。インターネットを活用することで空間的にも広がりのある情報を自分たちのデザインに生かすことができていた。

B 美術科「博多のよさをポスターで紹介しよう」(第2学年)
 普段あまり意識していない「博多」(福岡都市圏)のよさを見つけ,それをポスターとして表現する題材を設定した。この学習では生活の場である「博多」の持つよさに対する感受性を高め,それを具体的な造形として表現するための発想や構想力を育てることをねらいとしている。また,この学習を通じて視覚伝達に関心を持ち,視覚情報を読み取る力を高めることもねらいとしている。インターネット活用の視点としては次の3点を考慮して実施した。

○ 完成したポスターをホームページとして公開することにより,外部からの感想や批評を戴く開かれた鑑賞会を行う。

総合学習

 昨年度と同様に総合学習において,インターネットを探究のための情報収集の場と自分の考えを発信する場に取り入れている。

○ 〜総合学習「生き方学習」(福祉)〜  

 本年度は障害者福祉を取りあげた。まず,福祉プラザ訪問で福祉の意味や現状を調べさせた。次に障害を持つ人達との交流として,盲導犬体験や車椅子体験や手話体験などを行ない質問などを行なった。また,障害を持つ人たちをお世話している方との交流をした。さらに,障害をもつ人たちにボランティアとしてできることとして,手話や点字での交流,点字ブロック上の自転車整理や募金活動などを行なった。これらの活動を行なう中でホームページで情報収集を行なったり,ホームページで発信することを一つの解決の手段として選んだグループもあった。

(3)インターネット活用の普及をめざした取り組み
 全国技術家庭科研究大会においてインターネットを利用した授業を公開した。他府県の数校より,学校訪問を受け施設やこれまでの取り組みの一端を説明した。

○ 平成10年度の成果と課題
<成果>
・教科や総合学習でのインターネットの活用の方向性や有効性が見えるようになってきた。
・生徒や教師にとってインターネットでの情報収集,発信が日常的なものになってきた。
<課題>
・生徒のひとりひとりが自由にインターネットが使えるまでの充分な時間設定がうてなかった。
・教師のリテラシー向上にともない,情報教育講習会(月1回実施で教員対象)での内容が停滞してきた。

○ 新100校プロジェクトに参加して
 100校プロジェクト,新100校プロジェクトに参加しインターネットの可能性や課題がようやく見えてきたと感じます。これからも,学校におけるインターネットはダイナッミクで急速な変化が訪れると思われます。このプロジェクトに参加し得たものを周りに広げていくことと,自分の足元である学校にしっかり根付かせていきたいと思います。これまで多くの方の支援やご助言をいただきありがとうございます。インターネットのよさは皆がネットでつながっていることだと思います。これからも様々面でよろしくお願いします。


研究のページへ

ホームページへ