新100校プロジェクト 平成10年度実施報告書


武雄市立武雄北中学校


1.インターネット利用状況
(1) 地域で学んだ体験活動を情報発信しよう(自主企画への参加)
 科学技術の発展や高度情報通信社会の実現により,社会の姿が大きく変貌し,子どもた ちを取り巻く教育環境も大きく変わってきている。特に,核家族化,少子化が進行し,家 庭にも情報機器が普及する中,間接体験が増加した。その反面,自然との触れ合いや野外 での遊び,家庭・地域社会の高齢者など幅広い世代との交流といった直接体験が減少し, 過度の塾通いなどゆとりのなさが大きな問題となっている。そうした中で,中央教育審議 会は,第二次答申において,[ゆとり]の中で子どもたちに[生きる力]をはぐくむこと を基本とした教育の充実を謳っている。とりわけ,学校・家庭・地域社会それぞれの場に おいて,様々な生活体験や自然体験,さらには社会体験やボランティア体験などの豊かな 体験を積み重ね,様々な人々と交流することを重要視している。
 生徒たちの家庭の多くは高齢者と同居しており,本地域は,先人の努力で継承すべき優 れた文化や伝統的価値,豊かな自然環境に恵まている。このような特性を生かして,生命 を尊重する心,他者への思いやりや正義感,美しいものや自然に感動する心など豊かな人 間性の育成,伝統文化の伝承など時代を超えて変わらない価値のあるものを尊重し,心の 充実を深る。特に,家庭・地域社会・学校が連携・協力し,高齢者とふれあう機会の設定, 体験学習,地域に関する学習,ボランティア活動の促進及び道徳教育の充実など知識偏重 の教育から基調の転換を図ることをねらいとした。このような家庭・地域社会と連携した 自主的生活体験や自然体験,ボランティア体験での様々な人々との交流をとおして,知・ 徳・体の均衡のとれた豊かな人間性の育成をめざすとともに,これらの活動をインターネ ットを利用して,自分たちの手で生きた知識として情報発信することによって,意識の高 揚及び情報活用能力及び情報モラルの確立を図った。

(2) 教科別リンク集の作成
 教職員や生徒がWebを利用して学習ができるように,各教科ごとに関連するWebのリンク を張った。ただし,クライアント側に登録し,WWWブラウザ起動時に表示するようにして いるが,一般には公開していない。各教科ごとのリンク数は以下の通りである。
国語:28,社会:70,数学:30,理科:98,英語:8,音楽:7,美術:12,保健体育: 19,技術家庭:39,生徒指導:9,その他(サーチエンジン):12


2.平成10年度の成果と課題
 インターネットはバーチャルの世界で,直接体験の不足,人とのふれあいの不足などが いわれている中,「学級活動」において,様々な体験活動を情報として発信し,他へ伝え る際の正確さや責任感など表現活動を深めることができた。情報量が多いインターネット 上で,本当に必要とする情報を容易に入手することは非常に困難である。そういう状況の 中,今回様々な体験活動を情報発信したことで,県内外の本校卒業生から激励のメールが 送られたことは,生徒にとって新たな体験活動への意欲へとつながった。このような循環 が学校と社会を繋ぐネットワークとして,有効である。そのために,当面の情報教育とし て,交流と情報発信を優先的に重点を置き,情報モラル・マナーを踏まえた表現活動を中 心としたコミニュケーション能力の育成が必要と考える。
 また,本校が取り組んできた,家庭・地域社会と連携した体験活動及びこれらの情報発 信活動は,これからの「総合的な学習の時間」においてかなり有効であると考える。この ように,取組を情報として発信することで,各学校での取組がその学校内だけで終わるこ となく,他校の実践の参考になりうるであろう。さらに,同様の活動をしている学校相互 が交流を深めることで,生徒たちが活動を誇りにし,さらなる意欲をかき立てることがで きるといった点でもインターネットは効果的であると考える。
 今年度,教員研修において,ホームページ作成を年5回行い,教員の資質の向上を図っ た。同時に,今回の取組において,第1学年においてもホームページ作りに挑戦したが, 少々時間がかかるものの,無理なく意欲的に活動できた。本校は,第3学年の技術・家庭 科の「情報基礎」において,HTML言語等を履修しているため,現在のところ,学習の成果 が他教科等の学習に生かしにくい状況である。今後の課題として,学校の裁量等を工夫し て早くから「情報活用の実践力」を育成しなければならないと再認識するとともに,関連 する教科で横断的,総合的に指導し,教科間の連携を考慮した年度当初の指導計画等を立 て,実践する必要がある。
 ホームページ作成においてテキストを作成したが,テキストを参考にしないで意欲的に 活動する生徒が多く,「こうしたいがどうすればよいか。」など自分たちが表現したいこ とを意欲的に知りたがっていた。テキストは最小限にとどめ,自ら課題を見つけ,実践し ていく態度を重視すべきであった。生徒からは,「楽しく意欲的に活動できた。」「作っ たホームページの感想をもらいたい。」「見るときにはおもしろかったが,作成者の苦労 がわかった。」など感想が聞かれた。また,情報発信後の『地域のよさ』をテーマにした 意見発表の中にも,文化的遺産にのみならず,「登下校中も地域の方が挨拶をしてくれる。」 「おじいちゃんやおばあちゃんの昔の知恵深さを感じた。お年寄りを改めて尊敬した。」 など身近な人とのつながりなど内面的なよさにも気づくようになったことは成果としてあ げられる。

3.新100校プロジェクトに参加して
 新100校プロジェクトとして,今年度も年2回の教職員研修会が開催されたこと,県 外からの3回の視察等に対応できたことなど,これも専用線ならではの環境であったこと が非常に大きなメリットとしてあげられる。本校は,来年度以降残念ながらダイヤルアッ プ接続に切り替わるが,インターネットを積極的に利用していきたい。このプロジェクト に参加して,学校現場でのインターネット利用の可能性を追求できたことは大きな成果だ ったといえる。しかし,インターネットの「影」の影響が,今後ますます大きな課題とな ってくるであろう。今後は,情報化社会の「影」の影響を十分に指導し,将来的にも適切 な情報手段が活用できる実践的な能力の育成を図るとともに,各教科等において,インタ ーネット利用のねらいや期待される成果などを十分に検討した上での活用が望まれる。


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