松山東雲中・高等学校


新100校プロジェクト 平成10年度実施報告


〇インターネット利用状況

 

・実施項目1 オンラインディベート

 この共同利用企画は東北学院高校や清泉女学院高校が中心となった自主企画で、11月に生徒間のディベートが行われ、2月には大船でオフラインミィーティングが開催されたようであるが、本校は文化祭などの学校行事と重なり、参加できなかった。メーリングリストで本校の近況を伝え、夏休みに実施した教職員対象のインターネット学習会では、メールの交換相手として数校の先生方にご協力いただいた。次回の企画より積極的に参加したいと考えている。

・実施項目2 国際理解の推進

 (1) 留学経験のある生徒への支援:国際ロータリークラブのサポートにより、交換留学生として 1年間アメリカやオーストラリアなどに留学経験のある数名の生徒が中心となって、ホストファミリーとの交流や滞在先の地域の情報検索などを進めている。卒業後、海外へ進学を希望する生徒もいて、熱心に進路情報や地域情報を収集する姿が見られた。

 (2) 英語科2年のオーストラリア修学旅行としての活用:事前にホームステイ先や訪問校とのメールの交換、オーストラリアに関するホームページを活用した事前学習を行い、修学旅行後は体験談や感じたことをホームページに掲載しようとしている。

 (3) 本校に留学している生徒への支援:海外からの留学生は、母国でインターネットを頻繁に利用しているが、本校はインターネットができるパソコンがパソコン教室にしかなく、管理の面からも生徒がフリーにインターネットを使えるようになっていない。不自由さを感じることもあるようであるが、できる限り利用しやすいパソコン教室になるよう心がけたい。個人的なメールの交換でなく、インターネットを通して、本校生徒との国際交流が進めばと思う。

・実施項目3 沖縄修学旅行としての活用

 普通科2年生の修学旅行先は、6年前より平和教育の一環として沖縄本島を訪問し南部戦跡を巡り、ひめゆりの塔の平和祈念資料館では体験者の講話を聞き、平和祈願を続けている。本校は沖縄県立美里高校が中心となって推進されている修学旅行ネットワークに参加し、各校の様子や沖縄の様々な情報を入手することができた。事前学習として沖縄に関するレポート作成を課題としているが、レポート作成にホームページを活用する生徒が増えつつある。本校から、11月の平和学習週間の実施内容や修学旅行に日程、事前学習の様子をメールで発信した。その返事として、「沖縄を学習する時に、戦争や基地の問題はさけて通れないが、他にも目を向けて何かを感じてほしい」と述べられていた内容が印象的で、励みとなった。

・実施項目4 高校2年「地理B」の授業

  愛媛県の産業・自然・文化などに関するテーマを各自自由に決め、統計資料や文献ホームページなどを活用して、グループ単位でレポートを作成させた。地理的ものの見方や考え方と資料活用能力を身につけさせることをねらいとしたが、フロッピーの破損やパソコンの不調、ほしい情報がなかなか見つからないなどの問題があり、順調に進まなかった。学習の見通しをつける、個別学習とグループ学習の調和、学習意欲の向上と持続などに配慮した。評価は難しいが、結果よりも過程を重視したいと考える。なおこの授業実践は、愛媛県高等学校教育研究大会の地理部門会で発表した。

・実施項目5 インターネット実習・学習会

  夏休み3日間、教職員を対象として、電子メールやホームページの見方および作成方法に関する学習会を開いた。参加された方は何かを感じられたようであるが、多くの教職員にとってインターネットはまだ遠い存在のようである。継続的な研修が必要である。また2月に高校3年生の希望者を対象として、パソコン実習を行った。タイピングの練習から初めて、表計算や電子メール、ホームページの見方、コンピューターの基礎知識など幅広く学習した。将来役立てばと思っている。

・重点企画1 「Me and Media」プロジェクト

  この重点企画は同志社国際高校が中心となって、ヨーロッパのESPに参加している高校と、決められたテーマについて電子メールの交換をすることによって、テーマに関する理解とコミュニケーション能力を高めることをねらいとしている。本校は昨年度より本企画に参加しているが、今年度は最初に同志社国際高校の授業風景などを撮影したビデオを見せ、タイピングの練習や電子メール、ホームページの見方などを学習した。図書館やコンピュータ教室で、テーマに関する作文を和文と英文で作成させ、自己紹介や授業の感想なども和文と英文で作成させたが、実際に活発な交流をし、成果をホームページに掲載するところまで到らなかった。英語科1年の生徒23名を3名の教員が指導した。異教科の教員が担当したが、教科の特性が表れるような内容と編成にすべきだったと考えている。他校のスケジュールと調整することが難しかった。本企画のねらいと趣旨に立ち返り、推進していきたい。

・重点企画2 既存データベースの活用

  この重点企画は、検索をワードや年月日を入力することにより、日本経済新聞の要約記事が入手できるシステムを活用することにより、社会事象に対する関心を高め、理解を深めるとともに、情報活用能力を高めることをねらいとしている。授業中に利用しようとしたが、新聞記事を検索できるパソコンがすくなかったため、放課後を利用した。高校1年普通科2クラスの生徒に実習させた。インターネットを利用したことがない生徒がほとんどであったため、簡単な操作で情報が得られるよう配慮した。文字が小さく、横に広がって見えにくい、生徒の興味関心がある内容が少ない、最新の情報が少ないなどの問題点が解決されればと思う。

・重点企画3 新酸性雨プロジェクト

  この重点企画は広島大学付属福山中・高等学校が中心となって、定点観測のデータを共有し、環境教育に生かすことを目的としている。10月より観測をはじめ、文化祭では環境破壊の写真とともに、酸性雨の原因と影響についてインターアクトクラブの生徒がまとめたものを掲示した。試行錯誤であった測定もうまくできるようになり、今後はメーリングリストを活用し、環境問題について、生徒・教員同志が意見交換や情報交換できる環境が整えばと思っている。

 

〇平成10年度の成果と課題

 

・活用方法:重点企画では異教科の教員が共同で授業に取り組み、国内や海外の高校と電子メールの交換をしたが、さらに具体的な課題を増やし、活動を活発にすることによって、コミュニケーション能力が高まり、異文化理解や自己理解が深まると思われる。教材研究やレポート作成にインターネットを活用する場面が増えており、高校2年および3年の英語科の生徒はホームページの作成に取り組んだ。また学校行事の検討や授業研究のために、メーリングリストで情報提供を依頼することもあった。少しずつではあるが、インターネットの利用が広がっている。

・教育効果:英語科1年の授業で、ネチケットについてグループ討議させ、本校のインターネットの利用の仕方やマナーを考えさせた。教員と生徒がともに利用方法を継続的に考え、ガイドラインを作成したいと考えている。インターネットを利用した犯罪が増え、利用者のモラルが問われているが、ネットが癒しになっている生徒もいる。技術や知識を身につけることも重要であるが、交流を通して心が豊かになる側面を追求したいと考えている。

・技術的課題:今年度も技術的問題に対する不安はあったが、関係の方々に支援していただいた。次年度は松山東雲女子大および短大の回線につながり、メンテナンスなどのサポート体制も整うと思われるので、担当者の負担は軽減されるであろう。今年度もホームページの改訂や作成に手間取った。ホームページの内容は全面的に変える時期に来ている。

 

〇新100校プロジェクトに参加して

 

  今年度は、昨年度の共同利用企画や重点企画に継続して参加し、自主企画とともに推進してきたが、地域の核としての取り組みが時間的にできなかった。様々な企画で支援していただいた方々と今後とも交流を深め、インターネットが様々な教育活動で利用されるよう努めていきたいと思っています。最後になりましたが、本校のプロジェクトを支えていただいた通産省、IPA、CEC、CSI、そしてプロジェクト参加校の先生方に厚く感謝申し上げます。


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