1998年度 新100校プロジェクト実施報告

 

今年度の成果

 本校が選んだ接続業者(日本テレコム)のサービス開始時期の問題により、5月15日よりインターネットに接続する。4月1日より5月15日までの1ヶ月半の間は本校のインターネットサービスは休止した状態になった。実務に使用する電子メールサービスは大阪府教育センターのご厚意により、メールアカウントを発行してもらい、何とか支障なく運用することができた。自力でプロバイダー契約を結ぶことにより、回線業者とのやりとりの中でインターネット接続に関するノウハウを学ぶことができた。バックボーンの問題も多少はあったと聞いているが、接続状況が好転した。我々が接続することにより大阪大学に多大な負担を強いていたことを改めて実感した。

 今年度で3学年すべて総合学科へ移行することになった。徐々にではあるがインターネットの利用は増えていたが、生徒のニーズに答える形で展開している多くの総合選択科目、自由選択科目での教材研究等に威力を発揮した。その手始めとして、インターネットの可能性、危険性を実感させるために、全ての生徒にローカルでのメールのアカウントを発行した。これは本校における第1学年の原則履修科目の1つである情報基礎という授業で使うものであるが、3年間変更せずに使用することを前提とし、発行する。パスワードなどは自分で設定させ、できるだけ責任を持たせるかたちでメールのアカウントを管理させた。授業によってはこのメールを使用し、課題等のやりとりをおこなう講座も現れた。また、いくつかの講座では授業内容に関係するホームページを印刷し、プリントにして授業に利用したり、そのままコンピュータを使い閲覧した。昨年度まではインターネットに直接つなぐことなく、ローカル環境でホームページを再現し、閲覧させていたが、何らかの理由でそのような方法の使えないホームページの存在が明らかになり、授業用のコンピュータを直接インターネットに接続し、それらのホームページを閲覧させた。特に総合選択科目では教科書にもない内容を生徒に提供したいという教員の思いもあり、インターネットの利用がより一層増加した。インターネットに直接接続できることにより、第3学年で実施している課題研究を始め、いくつかの講座では検索エンジンを使い、課題を解決する生徒が現れた。特に授業で行うディベートの資料として有効であったと担当者から聴いている。メールのアカウントがローカル環境に限られていたので、メールを使い積極的に資料を集めるというところまでは至らなかったが、授業展開において大きな成果1のつであると考えられる。ホームページ上でわからない事柄を図書で調べるなど、学習においての相乗効果が生まれた。

 地域との関係では地元の2つの中学、2つの小学校ではインターネットを利用した教育が先端的に行われており、今年度は生徒との直接の交流はなかったが、何らかの形で協力をおこなった。さらに市民講座の一環として、2月に東淀川区の区役所の主催するインターネットの入門講座を本校で開いた。2時間ほどの体験講座であったが、年輩の方が多く参加し、コンピュータにとまどいを見せながら、真剣に取り組む姿には感動を覚えた。講座終了後、インターネットの接続方法に質問が多くあり、インターネットに対する関心の強さに驚いた。

 

インターネット利用に対する問題点

 授業中に第1学年でメールのアカウントを発行したが、約1割の生徒がパスワードを忘れるという問題が生じた。これはネットワークに対する危機感の稀薄さが原因であると考えられる。ネットワークを利用した犯罪は増加する傾向にあり、ネットワーク社会で生活するためのネチケットやモラルの教育を十分に行う必要性を実感した。また、機械操作のミスにより、間違いのメールが送られた。知らない人物から見知らぬメールが送りつけられるという不快感を味わったようである。このようなメールはネットワーク社会では避けられない問題でもあり、そういった事象を経験させることも時には必要であると感じた。

 新100校プロジェクトは今年度で終わるが、本校もそうであるが、インターネットの回線使用料の確保が各校で問題にされる。今後いっそう教育現場においてインターネットの必要性は高まると考えられ、教育現場全体で回線使用料の確保の方法を考えていく必要があるのではないだろうか。


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