新100校プロジェクト 平成10年度実施報告書


兵庫県立神戸商業高等学校


 

1.インターネット利用状況

約9年前からパソコン通信を利用した国際交流を続けているが、100校プロジェクトに参加して以来、インターネットを利用した授業の試行錯誤を続けている。現在は主に4人の商業科の教諭がそれぞれの授業の中で継続的な利用を目指した取組を続けている。

 

Webを利用した情報検索

3年生情報科の総合実践(10人)では、1年次からの情報科目で学んだ技術(インターネット、画像加工、ワープロ、プレゼンテーション等)の実践的利用ということで、個人のテーマにあわせて研究を行って、クラス内で成果発表をする授業を行っている。本校の図書館に限らず、日々更新されるような情報などは少なく、専門的な資料なども、校内にある資料は限られているため、インターネットを利用した情報の収集が必要となった。また、検索によって得られたデータは電子化されているため、容易に加工でき、発表に利用することができた。(生徒は著作権等の問題も学習し、現段階では加工した情報の利用はクラス内に限る事にした。)

 

ホームページで成果発表

2年生情報科の情報管理の授業では、各自の研究テーマの成果をホームページ上に発表する授業を行っている。目的は、客観的に評価されるためには何が必要かを生徒自身に考えさせることと、一般の人に見てもらう事で、研究への取組に意欲と、責任を持たせることである。毎年継続して取り組んでいるため、年度当初から卒業した先輩たちの作品を見て、イメージをつかむと共に、様々な問題(表現方法や、著作権、個人情報などについて)を学習する事から始めている。ホームページビルダーを利用している。

 

新技術の実験的利用

3年生の課題研究の一グループは、毎年発表される技術の中から、今後本校での利用の可能性について研究している。今年は、インターネット放送局というタイトルで動画の利用の可能性について実験を続けている。リアルビデオを用いて、画像の圧縮を行いホームページ上での画像の再現を検証してきた。生徒はコンテンツの作成にあたり、インターネット上のリアルビデオの作品を調べ、その後制作にとりかかった。なかなかいいものが出来ない経験をしたことで、一般に作成されている内容が大変高度なシステムと技術によって成り立っていることを体感した。また、データの圧縮とその作品の質のバランスを考えることで、現在の利用の可能性について考えることが出来た。この取り組みによって選られてノウハウは他の授業の中でも活用されている。

 

国際交流と総合学習

3年生の情報科と商業科の選択課題研究の2クラスはe-mailを利用した国際交流の取組を行っている。E-mailの交流ではスムーズなメールの交換が出来ないことが多く、授業として成立させるためにはいくつかの工夫が必要になってくる。まずは、良い相手の確保が必要になる。これは本校の生徒が興味(個人によって多少の差がある)を持つ内容を交換できる相手を探すことと、相手のインターネットを利用できる環境がこちらの環境に近いもの、が重要である。相手の年齢との差はプラスになる場合とマイナスになる場合がある。また、本校の生徒は各自がメールのアドレスを持っており、相手もそれに近い環境のほうがトラブルは少ない。相手を捜すためには個人的なネットワークの他に http://www.stolaf.edu/network/iecc/ に投稿することで、結構多くの相手からの申込を受けることが出来る。メールの交換と同時に継続的なプロジェクトに参加することで、返事の来ない生徒も参加できるように考えた。今年はインターネットクラスルーム(ICP)の中のWorld news project を情報科のクラスが運営している http://210.163.117.210/~icp98/ http://www.kobechs.tarumi.kobe.jp/htdocs/news.html

また、商業科のクラスはI*EARNに参加し、Teddy Bear Projectが進行中である

http://www.igc.apc.org/iearn/ http://www.ne.com.au/~mwells/teddybear.htm

 

2.平成10年度の成果と課題

インターネットの利用によって生徒の授業に対する取組は大きく変わった。問題は何かを考え、その解決の方法を実践的に学び、身につけて行くという生徒が増えることが授業を担当する教員にも新たな緊張と、喜びをもたらした。本校では、校内に250台ものコンピュータがあるにもかかわらず、現時点でのインターネットの利用状況は必ずしも十分であるとは言い難い。多くのコンピュータが情報関連科目の実習のために導入されており、普通科目の授業で利用できる余裕は少ない。また、今後予想される教育の変革に対応すべき人材の育成もまだ、思うようには進んではいない。これらの問題の解決が今後の本校におけるインターネットを利用した教育のいっそうの発展につながると考える。

 

3.新100校プロジェクトに参加して

今年度は重点企画の一つ、インターネットクラスルーム(ICP)の中のWorld news project の運営を担当したことで、対外的な責任と、さまざまな情報を得るチャンスに恵まれた。このことによって、多忙ではあるが有意義な活動ができた一年であったと思う。校内でのインターネット利用の動きも次第に活発になり、LANを職員室まで延長することもできた。インターネットを利用した授業を担当している教員にとどまらず、多くの教員による利用がはじまった年であるといえるであろう。


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