新100校プロジェクト 平成10年度実施報告
兵庫県尼崎市立教育総合センター

1.インターネットの利用状況

(1)学校情報通信ネットワークシステム 
   本年度、尼崎市では「学校情報通信ネットワークシステム」が稼働し、尼崎市立の
  全学校からインターネットへの接続が可能となった。(図1)

(図1 「学校情報通信ネットワークシステム」イメージ図)
   市内イントラネットについては、CATV回線(チャンネルウェーブあまがさき)
  を利用している。各学校及び教育委員会は教育総合センター内のファィヤーウォール
  を通してインターネットに接続している。

(2)学校間ネットワークおける教育総合センターの役割
   本年度も昨年度に引き続き、学校間ネットワークの拠点としての教育総合センター
  の役割について研究を進めた。

  ア.テレビ会議(学校紹介)
    平成11年1月26日、教育総合センター視聴覚室においてテレビ会議システム
   を使った学校紹介を公開した。当日は、市内の小学校3校、中学校1校と教育総合
   センターがテレビ会議に参加し、子どもたちによる各学校の取り組みの紹介を行っ
   た。(図2・3・4)
(図2 司会者グループ)   (図3 インターネット閲覧)  (図4 会議のスクリーン)
  イ.1年生国語科「カタカナのかきじゅん」
    教育総合センターのホームページ上に登録してある「カタカナのかきじゅん」の
   動画データを利用して、1年生の子どもたちがまちがいやすいカタカナの形や書き
   順について学習を進めた。(図5・6)
(図5 「カタカナのかきじゅん」メニュー)   (図6 「カタカナのかきじゅん」再生画面)
  ウ.子ども用地域画像データベースの作成      
 教育総合センターでは、地域の情報の拠点として、学習に必要な地域情報を含んだ子ども用地域画像データベースを作成し、ホームページ上で公開している。(図7)
 平成11年度も、さらに画像を追加し、ホームページ上で順次公開していく予定である。
 情報の二次利用については市内の学校に限定しているが、画像の閲覧は市外からも
可能である。
(図7 つばめのデータ)
  ・ホームページ上で紹介している画像データ
   ○理科に関する画像・・・・・・自然環境、昆虫、植物、つばめなど
   ○社会科に関する画像・・・・・公共施設、駅周辺地図、ごみ問題など
   ○尼崎の歴史に関する画像・・・建物、風景、航空写真など

  エ.教育総合センターのホームページ
 学校からインターネットに接続したときの玄関口となるページ(ポータルサイト)として、教育総合センターのホームページを設定。地域画像データベースや学習に役立つリンク集などを充実させ、教育への利用の推進を図っている。
(図8 教育総合センターのホームページ)
2.平成10年度の成果と課題

 (1) 成果
   学校において、インターネットの情報が利用できる環境が整ったことで、教職員の
  インターネットに対する関心も高まってきた。小学校においては、各行政地区ごとに
  コンピュータ担当者が集まり、自主的に学校のホームページ作成のための研究を行っ
  ている。

 (2) 視察受入状況
   ・箕面市教育センター       ・高槻市教育委員会
   ・豊中市情報政策課        ・焼津市東益津小学校
   ・山形市教育委員会        ・向日市第2向陽小学校
   ・国立教育研究所   

 (3) 課題
   教育総合センターを中核とした学校でのインターネット利用環境については多くの
    課題があり、この課題解決に向けての教育総合センターが果たす役割は大きい。

  ・ネットワーク環境
    尼崎市では、CATV回線を利用し、学校が教育総合センターを介してインター
   ネットに接続する形態をとっている。CATV回線は一般公衆電話回線に較べて大
   変高速にデータの送受信を行うことが可能である。また、一般のCATV回線とは
   違った周波数帯域を利用するため、高度なセキュリティが期待できる。
    しかし、反面、閉じたネットワークシステムとなり、直接、学校と家庭や地域、
   また他地域との交流ができないという課題が残る。

    ・ネットワークシステムの管理
    教育総合センターにネットワークを管理するサーバ群を設置した。それらの管理
   と運用には、高度な知識と技術を持った人材の確保が不可欠である。管理サーバ等
   の複雑な作業を行うには専門のシステムエンジニアに委託する必要がある。

  ・研修
    学校情報通信ネットワークシステムの導入は全市立学校にわたるため、各学校の
   コンピュータ担当者(74名)向けの研修だけでも、同内容で数回行う必要がある。
    さらに、一般の教職員向け研修、管理職向け研修等を含めるとかなりの数の研修
   を行うこととなり、学校にとってもセンター職員にとっても負担となるところが多
   い。そのため、研修を体系化して効率的に実施していく必要がある。

  ・地域学習情報の収集と提供
    教育総合センターが地域の情報の拠点として、地域学習情報を提供していく必要
   がある。特に、市内イントラネットにおいては、教育総合センターのホームページ
   をポータルサイトとして、市内の情報発信及び情報収集が容易になるような環境を
   整備していかなければならない。

  ・カリキュラムの作成
    インターネットを利用した学習は、「総合的な学習の時間」と深く関わり、情報
   教育の中で大きなウェイトを占めるものの一つである。そこで、教育総合センター
   では、インターネット等を利用した学習のカリキュラムを早急に作成し、提供して
   いく必要がある。

3.新100校プロジェクトに参加して
   平成7年度より100校プロジェクトに参加して、教育総合センターを中核とした学
  校でのインターネット利用環境についての研究を進めてきた。
  平成11年1月には、尼崎市立の全市立学校でインターネットを利用できる環境が整
 い、各学校でインターネットを利用した学習の実践が始まった。今後、ますます学校間
 ネットワークの拠点としての教育総合センターの役割が重要になると思われる。
  インターネットを学習に有効に利用できるように研究を進めていくとともに、教育総
 合センターのホームページを充実させることによって、インターネットを利用しやすい
 環境整備に努めていきたい。
    最後に、あらためて事務局の方々をはじめ、新100校プロジェクトの関係者に感謝
 を申し上げたい。
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