14 みんなでまちのお店紹介ページをつくろう

 

第3学年社会科他

横浜市立本町小学校 出口和生


インターネット利用の意図
 保護者を含む地域とのふれあい(ネットワーク)を重視した実践の集大成として、3年生社会科学習を中心とする総合的な学習で,「みんなでまちのお店紹介ページをつくろう」というプロジェクトを実施した。ここで言う「みんなで」とは,「子どもたちみんな」ということはもちろん,「横浜市立本町小学校教師みんな」そして,後述する「地域インターネットサークル」を中心とする「地域のみなさん」という意味も込められている。また,「まち」と言うのは,3年生の徒歩圏内すなわち横浜市立本町小学校の学区周辺の「町」や「街」という意味が込められている。
 この実践により,第3学年社会科学習において,地域の方々のためにホームページを作り,それをインターネットで発信するという児童の明確な目標をもった新たな方向性を探った。また,児童の学習を円滑に進め,地域とのふれあいを深めること,地域ボランティアによる小学校コンピュータネットワーク管理の基礎となる活動を構成していくことをねらった。

1.商店街の工夫を調べて,商店街ホームページをつくろう
    3年生社会科・国語科・算数科を中心とした総合的学習
 (1) ねらい

  本町小学校の学区はとても広く,各地区がそれぞれが特徴を持っている。自分の住んでいるまちに目を向けて地域の人々とかかわりをもち,地域に根ざした生活ができるようにという願いを込めて,3年生の生活は大きな学区地図を作ることから始めた。これからも学習を積み重ねて大地図に付け加えていきます。

(2) 指導目標

 

(3)利用場面
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 (4) 利用環境とそれに至るボランティア活動

  平成9年度までに横浜市立本町小学校のほぼ全校にわたる校内ネットワーク環境を構築してきたが,放課後や休日に学校解放となる「第2会議室」「第2音楽室」「体育館」にはネットワーク環境がなかった。しかし,地域の方がインターネットに簡単に触れることができるようにするためには,この学校解放施設部分にこそネットワーク環境が必要であると考えた。また,将来的には学校の教職員がいない学校休業日にも地域ネットワーク・ボランティアによる活動を保証することができるとも考えた。
  そこで,平成10年度「放送室・視聴覚室」改修工事の際,工事業者に依頼して校内放送用配管の中に50mの10BASE-Tケーブルを1本通してもらうことにより,放送室と隣接している「第2音楽室」へのネットワークを敷設を行った。

  更に,学校解放の中心となる第2会議室へのネットワーク敷設は,地域・保護者のボランティアを募り,ネットデイ形式でのネットワーク拡張工事を行った。以下,具体的な活動の様子を紹介する。

 

本町小地域インターネットフォーラム募集要項(活動計画)概要
・本町小学校第2会議室に,サーバ1台クライアント数台のインターネット環境を構築・維持する。
・インターネット回線は,当面本町小学校の専用線を活用する。
・サーバは,一昨年度地域団体から寄贈されたマシンを活用する。クライアントは,児童の学習に活用されていないマシンの有効活用をしたい。
・ソフトウェアは,上記マシンにインストール済みのものやフリーウェアを活用する。
・定期的に機器のメンテナンスを行い,第2会議室において常時インターネット体験活動ができるように維持する。
・地域/家庭(PTA)/OBOG等のホームページ・メーリングリスト等を作成する。
・現在,本町小学校ホームページ内に仮設されている上記ページを独立させ,第2会議室のサーバに置く。
・メーリングリストの運営管理を行う。
・ホームページの作成・更新作業を行う。
・地域へのインターネット普及活動を行う。
・学校開放の一端としてインターネットサークルを設立し,本町小学校内機器を活用したインターネット研修会等の企画・運営を行う。
・本町だより,PTA広報誌などを通じて,本活動のPR活動を行う。
・本町小学校児童のインターネット活用学習に協力する。
・児童が学習用に使用するコンピュータの整備等の手伝いをする。
・児童の学習において,教師との協力教授を行う。

 

 こうしたボランティアの活動を受けて,平成10年度に右記のように「本町小地域インターネットサークル」を募集し,第1・第3土曜日の午後に毎回10  名前後の保護者,地域の方,卒業生(中学生),大学生ボランティア等の参加を 得て活動している。この活動のメンバーが,後述する「児童の地域ページ作成活動」の支援をしていただいている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.指導計画


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3.利用場面


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4.実践を終えて
 (1) 3年生の学習として
  3年生社会科学習「わたしたちのお店調べ」において,地域商店の調べ活動を行うが, その際,その商店のホームページを作ることを目的として取材・創作活動を展開した。 このことは,児童の目的意識を高め,主体的な学習を構成していくことができた。商店主の方も自分の店のホームページを作ってもらうということで,「お店の工夫」を児童に積極的に伝えていくことになった。児童が完成させた作品は,印刷して協力してくれた商店主に渡すことで,更に児童と地域住人とのふれあいを深めていくことができた。今後も「地域体験活動」と「インターネット活用」の可能性として期待できる。
 
 (2) 地域インターネット・ボランティア活動として
  児童が個別に作成したページを集約し,htmlファイルを外部公開できる形へと整形する作業を,地域ボランティア「地域インターネットサークル」参加者の手によって行った。このことにより,学校ホームページの意味を地域の方に理解していただくとともに,ボランティア活動の目的意識を高めることができた。また,商店主の方々にホームページ作成が小学生でもできることを認識してもらうことができた。
  更に,将来的に地域インターネットサークルのサーバを立ち上げ,地域の情報発信の場として学校開放の一環としての活用・運営を図るための足がかりができ,次年度以降の活動のベースが確立された。次年度以降の活動にも様々な可能性が出てきた。
 

ワンポイント・アドバイス
○3年生がホームページ作成を行える要因として以下のことが考えられる。
・取材したまちのおじさんの代わりにホームページを作って届けるという明確な目的意識があり,地域の方にホームページ完成を期待されているという自負が出た。
・ホームページ作成ソフトウェアとして,「フロントページ・エクスプレス」という無償ソフト(IE4完全インストールで付属する)が役に立った。3年生でもホームページを作れるこうした無償ソフトの更なる開発が望まれる。
・また,教師や地域ボランティアは,製品版「フロントページ」を使用することにより,児童作品の修正やリンクなどが手軽にできた。
○地域インターネットサークルの実施により,将来以下のようなメリットが考えられ る
・校内インターネット活用についての理解を深められる。
・学校ホームページやサーバ管理などを地域ボランティアの手に委ねられる。
・地域のページを,小学校のサーバから発信することもできる。