44 無線LANで毎日発刊する学年新聞

 

神戸市立摩耶兵庫高等学校 浅井 徹


インターネット利用の意図

 学年新聞を毎日発刊する場合,新聞作成担当者はどこの学校でも,だいたい1〜2人の先生が担当し,記事収集・編集のための煩雑さ,労力および浪費時間たるや凄まじいものがある。たとえば,それがB5版やA4版であったとしても,B4版やA3版およびタブロイド版(毎日発行する場合には適当でないが可能である)であったとしても同様である。

 しかし,無線LANで校内ネットワークを活用さえすれば,毎日発刊する学年新聞が,少数の新聞作成担当者の手を煩わせることなく,『いつでも,どこでも』いとも簡単に作成できる。

 今回,その実践例を報告する。


1 課題学習

(1)ねらい

 『無線LANで校内ネットワークを活用し,毎日発刊の学年新聞を作成する。』
 家庭と学校を結ぶコミュニケーションツールとしての学年新聞は,毎日発刊することが大切であり,その意義および効果は大きい。無線LANを利用し,学年団の先生の担当箇所を決め,各先生に毎日の役割分担を実行してもらうことによって,新聞作成担当者は,その煩雑さ,労力および浪費時間から解放され,簡単に学年新聞が毎日発刊できる。

 

(2)活用目標

 入学式当日,生徒・保護者にたいし,学年新聞を毎日発刊することを公約し,入学式から卒業まで毎日発刊する。学年新聞を毎日発刊することによって,学校生活面だけでなく,家庭生活面においても,生徒・保護者に対し,学年の教育理念・教育方針への,ご理解・ご協力をいただく。

 

(3)活用意義

 @出席確認

  生徒が学年新聞を持ち帰ることによって,保護者が生徒の出席確認ができる。

 A学校行事・学年行事の確認

当日の動きを掲載することで生徒がとるべき行動を理解し,把握できる。

 B生徒の悩み

  生徒投稿欄を定期的・不定期的に設け,投稿させることにより生徒の希望・悩み等を把握し,適切な対応ができる。

 CSTでの報告事項確認

  掲載しておれば生徒がそれを読み,どのようにすればよいかを判断できる。

(4)活用環境

 I,使用機種

  @サーバ        i,IBM 750-P90(Linux)

 ii,FIC (Linux)

  @2学年設置機種    i,Panasonic CF-32(win95・Linux,Pentium90)

  (クライアント)   ii,FIC(win95・Linux,Pentium)

  A2学年個人機種    i,Toshiba portege 610CT(win95・Linux,Pentium90)

  (クライアント)   ii,Toshiba Satellite Pro(win95,Pentium133)

             iii,Toshiba Satellite 300CDT(win95,Pentium133)

             iv,IBM 530(win95・Linux,438mhz)

              v,Fujitsu(win95,Pentium150)

             vi,MAC Performa 588(68040)

  B2学年設置周辺機器  i,無線LAN

             ii,ビデオカメラ(SONY)

             iii,デジタルスチルカメラ(SONY)

             iv,スキャナ(FIC)

             v,プリンタ(Toshiba)

  C学年新聞利用ソフト  i,ネットスケープコミュニケータ4.5

             ii,Exel97(マイクロソフト)

             iii,Word97(マイクロソフト)

             iv,Megalish(方正社)

 

 U,本校の無線LANの写真

 

図1                         図2

 

 図1は,SS無線LANカードで,無線による電送速度は最高2Mbps。信号の周波数成分を広域帯に拡散して電送するスペクトラム拡散方式により,雑音や様々な電磁波の影響も受けにくく,秘匿性・安全性にも優れている。

 図2は,ワイヤレスアクセスポイントで,イーサネットなどの有線LANと無線LANとを結び,情報の相互乗り入れをするためのものである。

 

V,本校のネットワーク図

 

2 利用場面

(1)2年学年新聞

(2)保護者アンケート結果

T,生徒が家庭に持って帰っている状況について

1,毎日持ち帰る
2,よく持ち帰る
3,ときどき持ち帰る
4,全く持ち帰らない
51%
21%
14%
14%

U,ご家庭で保護者等の皆さまが読んでいる状況について

1,全て読んでいる
2,よく読んでいる
3,時々読んでいる
4,全く読んでいない
16%
34%
34%
16%

V,保存について

1,すべて保存
2,だいたい保存
3,ときどき保存 
4,全く保存していない
29%
18%
26%
27%

W,内容について

1,これでいい 
2,だいたいこれでいい 
3,少し変えた方がいい
4,変えるべきだ
50%
33%
8%
8%

X,発刊について

1,毎日がいい
2,月1回がいい 
3,学期ごとでいい
4,1年に1回でいい
57%
36%
3%
3%

Y,継続について

1,継続すべきだ
2,継続してもいい  
3,どちらともいえない
4,やめた方がいい
65%
24%
8%
3%

(3)講習会の様子

  

新聞づくりの講師                   熱心に受講している先生たち

(4)新聞に掲載された講習会記事

3 利用ソフト

 今回の新聞づくりのソフトはEXELで行った。

 というのも,今年度の2学期から始めたため,また,生徒名簿を載せようとしたため,EXELでとなってしまった感がある。最近では,WORDの方が使い勝手がよく,次年度からはWORDで作成しようと思っている。

 今まで私は,ワープロソフトは一太郎を使っていたが,最近はWORD派になりつつある。毎日,新聞作成のためWORDを使っていると色々な機能が発見でき,新年度には見違えるような新聞を作成したいと思っている。

 

4 実践を終えて

 従来の新聞づくりは,担当者が1人ないしは数人であったため,その労力たるや本来の業務にも支障をきたすほどのものがあった。しかし,ネットワークで,しかも無線LANで新聞づくりをすることによって,複数の人間がそれぞれの担当箇所を処理することができる。そうすることによって,昨日や今日の出来事を掲載することができ,本来の新聞としての役割が発揮できる。

 先日,新聞の反響があった。今回の講習会に参加できなかった先生方や,一般市民の方々,また,県や市のPR施設からも講習会の再度開催希望や講習依頼があった。

 やはり,新聞作成はしたいが,作るのが難しいという方が少なくなく,できれば,講習会を今後も開催したいと思っている。

 今後は,このような形態での新聞づくりが広まると期待している。