佐賀県における全ての学校へのインターネット導入決定への活動
佐賀県立神埼清明高等学校
大島正豊(ohshima@saga-ed.go.jp)
1 はじめに
中央教育審議会の第一次答申が平成8年7月19日に出され、教育にインターネット等のネットワークを取り入れた教育を行うように述べている。これから学校教育で新しい教育システムが展開されていくと思われる。
佐賀県では、平成3年11月に元国立教育研究所教育情報・資料センター長の浅木森利昭氏に本県教育長から新しい教育システムのインフラとしての教育情報システムの在り方について諮問がなされ、平成4年12月に答申が出された。平成5年度は調査研究を行い、平成6年11月に佐賀県教育情報システム
"EDU-QUAKE SAGA "の運用を開始している。
教育情報の流通の現状は、教育研究機関としての大学、学会、教育を実践する学校、その間でインタフェースの役割を持っている教育センターを考えた場合充分に流通しているとは言い難い。新しい教育システムを考えるとき、教育情報の流通は必要不可欠である。"EDU-QUAKE SAGA"には以上のことを踏まえ、次の4つの目的を持たせている。
1) 教師の経験的知識の蓄積・流通
2) 教育研究機関との交流の促進
3) 教材等の蓄積・流通の促進
4) 教育行政等の情報の蓄積・流通の効率化
そして、その中核として教員の自主的活動の場としてワークショップ(知恵の工房)を設置しており、小・中・県立と学校教育全体での活動を推進している。
インターネット利用の調査研究は、平成6年7月に全国初のMBONEを利用したインターネットとマルチメディアの教育利用の実践研究である「グローバル・クラスルーム・プロジェクト」を佐賀大学、和歌山大学との共同研究より開始している。その後平成7年4月よりE-mail、10月に教育センターのホームページを立ち上げると共にダイアルアップIPの接続の研究を開始し、平成9年10月1日より256Kの専用回線でインターネットのバックボーンに接続し本格稼動を行う。
2 活動状況
1) 教育情報システムへの接続状況(平成9年3月31日現在)
小学校 (177校)
約70%
中学校 (95校)
約80%
県立学校 (44校)
100 %
2) インターネットのダイアルアップIP接続状況(平成9年3月31日現在)
小学校 (177校)
約35%
中学校 (95校)
約40%
県立学校 (44校)
約70%
3) IP接続数(平成9年5月31日現在)
1,961(学校以外の個人の接続も含む。)
4) パソコン通信ID数(平成9年5月31日現在)
4,629(小・中・県立学校教員数:8,319名)
5) インターネットアカウント数(平成9年5月31日現在)
1,961(小・中・県立学校教員数:8,319名)
6) パソコン通信のアクセス数
228回/日
7) ダイアルアップIP接続アクセス数
6,348 回(平成9年5月1日〜5月31日)
8) "www.saga-ed.go.jp"から転送されたファイル総数
170,365 (平成9年5月1日〜5月31日)
9) ワークショップ数(平成9年9月1日現在)
パソコン通信 81
児童生徒用 6
教育センター 25
教科教育 14
交流広場 15
教育一般 21
インターネット 12
10) 学校のホームページ数 (平成9年9月1日現在)
小学校 (177校) 25
中学校 (95校)
13
県立学校 (44校)
20
計 (316校) 58
11) 回線数(平成9年10月1日より)
IP接続用
23回線
FAXサービス用 2回線
専用回線(教育センター〜佐賀大学)256kbps
3 課題
教育へインターネット利用を推進するための課題を整理すると以下のようになる。
1) インフラの整備
バックボーンの整備、機器の保守
2) コンテンツの整備
教育情報の一次情報のデータベース、教育情報の二次情報のデータベース等
3) 研修の推進
簡単な操作リテラシー、E-mail 、ガイドブック
4) ノウハウの整備
著作権、倫理の問題、情報の信頼性、新しい教育理論、具体的な教授方法等
5) その他
教育行政・学校の在り方、教師の役割