横浜市立横浜商業高校
教諭 山崎 旬一
1.はじめに
情報伝達・処理技術の急速な発展は経済活動内容を大幅に変化させ、会計処理でのコンピュータ利用や日本語ワードプロセッサによる文書処理などに加えて、POS等に代表されるネットワークの利用が盛んに行われている。また、音声や動画を扱うマルチメディア技術の進歩は、コンピュータを語学学習やプレゼンテーションなどの道具として利用することを可能にした。
ネットワークの利用には技術的な問題とは別にセキュリティーやネチケットなど商業人としての習得すべき重要な課題が含まれ、これらの課題にも対応した情報リテラシー教育を行うことが時代に対応した商業教育であり、できるだけ多くのネットワーク化されたコンピュータの利用を通し、ネットワークの長所と短所を経験させることが必要である。また、コンピュータを商業英語などの言語学習における個別学習に利用するとともに、プレゼンテーションなどを通した情報発信を体験させる必要がある。
そのためには、生徒の希望に対応した複雑なコース選択を可能にする情報処理教室機能の整備と有効利用、学習内容の理解を助けるための教材提示装置等の設置、各教科研究室での教材作成機能の整備とネットワーク化、生徒が情報発信を行える環境が必要であり、段階的に整備したい。今回は平成9年度と10年度の整備内容と機能並びに問題点を報告する。
2.概要
(1)機器設置概要
・教材作成用と学習用ネットワークの2つのノードを持つ校内ネットワーク
・クライアント数約200台、NTサーバ8台
・光とスイチィングHUBを使ったバックボーン、100BASE-TXでPCを接続
・サーバ・ルータの集中設置
・教室サーバをルータとして利用し不要なパケットの抑止
(2)機能概要
・生徒ホームディレクトリのマッピング
・教材ディレクトリの自動複写
・イントラネット(WWWサーバ・MAILサーバ)機能
・図書室のメディアセンター化
・管理・運用の負荷軽減・年次処理の簡素化
(1)PC整備の考え方
・机上スペースの確保(第3情報処理室)
・拡張性の確保(第4情報処理室)
・既存機器の有効利用(第5情報処理室)
・異なるアーキテクチャー(第6情報処理室)
・商業英語への対応(第2情報処理室)
・教室機能の同質化
(2)旧機器の有効利用
・研究室に配布した旧機器や既存機器をネットワーク接続
・古いPCにはOSの変更も考慮
(3)将来の拡張性の確保
・映像系とデータ系ネットワークの分離
・バックボーンは高速なネットワーク
(4)管理・運用・保守の負荷軽減
・サーバとルータの集中管理
・手間よりわかりやすさを選択
(5)図書室のメディアセンター化
・CD−ROMサーバの設置
・管理負荷の軽減
(6)生徒による情報発信
・イントラネットの構築
・MAILはIMAP4プロトコル
・全情報処理室に教材提示装置の設置
(7)言語学習用音声入力環境の整備
・音声入力による自学自習システムの構築
(8)プッシュ技術による掲示板
・職員側で実験中(保健室から来室者の発信)
4.将来構想
・コンテンツの充実
・他教科での情報機器の利用
・自由に使えるPCを校舎内に設置
・インターネット接続
・緊急時の利用
・LL教室、視聴覚教室などへのPC持ち込み
5.まとめ
(1)障害の状況(4月〜11月)
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・初期不良 |
3件 |
・設定ミス |
2件 |
・機器構造上の問題 |
4件 |
・管理者不慣れ |
2件 |
・クライアントへのいたずら |
7件 |
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(2)利用の現状
・学期途中での利用教室の変更
・FD購入者の減少
・職員の関心の向上
・WWWでの行事報告
(3)問題点
・職員のスキル向上
・他教科での利用促進
・インターネットへの接続
・著作権
・個人情報保護条例
・職員の関心の向上
・全日制と定時制の連絡
(4)問題点解決へ向けた方策
・校内組織の構築(情報教育推進委員会)
・ニュースペーパーの発行(機能報告から可能性提案)
・学校間での連携