教育におけるインターネット活用
〜ホームページを中心に〜
1.はじめに
学校の枠を越え、国内はもとより世界中の学校や地域との情報交流を可能にし、子どもたちの学習対象や表現手段を広げる情報通信ネットワークの活用は現在の学校教育現場において非常に重要視されている。そして、これを受けて、中学校は平成13年、小学校は平成15年をめどに、インターネット導入計画が各自治体によりすすめられている。
その情報通信ネットワークの核をなすのがインターネットのHP(ホームページ)である。ここでは、その手軽さと双方向性から、教育現場でも新たな情報伝達手段として定着しつつあるホームページを核にした実践について報告したい。
2.ホームページ交流 http://city.hokkai.or.jp/~tomamu/asp1.htm
平成9年度は、占冠村とアスペンの中学生による交換留学が行われた。そこで、これまでの電子メールによる交流から一歩進み、今回は画像や音声も取り入れたホームページ(以下HP)を核にし、様々な交流をすすめた。
作成は主に教師があたり、占冠村(トマム中)側で作成、収集した画像などのデータを電子メールで旭川の私のもとへ送信してもらい、そこでHPを作成し発信するという方法をとった。
ホストファミリー紹介
アスペンの中学生の滞在先となるホストファミリーをHP上で画像付きで紹介し、事前に家族構成や歓迎の言葉など様々な情報を伝えた。
日本語教室
事前に簡単な日本語を覚えてもらおうと、こちらの中学生が日本語音声を録音し、そのファイルをHPに埋め込み、アスペンでアクセスすることにより日本語学習教材として活用してもらった。
デイリーレポート
2週間の滞在中、毎日の様子を写真に収め、簡単な説明をつけてHPに掲載することで、日本での様子をアスペンにいる生徒の家族や市民に報告した。
これら、HPを核にした活動はアスペンの人々にたいへん喜ばれた。特にデイリーレポートに対しては2週間にわたり毎日、家族や市民たちから、のべ77通もの感謝の電子メールが届いた。
平成10年2月には占冠の中学生がアスペンを訪問しており、今度は逆にアスペンの中学校がHPを作成し、ホストファミリー紹介やデイリーレポートを発信してくれている。
従来の姉妹都市交流は、自治体同士の結びつきが主であり、また費用もかかるものであった。しかし、電子メールやHPを活用することによって、双方の生活に根ざした市民レベルでの交流が可能になる。
課題としては、デイリーレポートは速報性が重視されるため、HP作成は教師主導となりがちであったことがあげられる。今後、生徒のHP作成技能を高め、速報の作成にも対応できる能力を身につけさせることにより、活用範囲はさらに広がっていくであろう。
アスペンからのメール
Dear Keegan and crew, WOW you made it and I even found the Tomumu homepage.
They’ve done such a warm welcome for
you! It’s so great to be so easily connected
to you!!!
The homepage on the computer has pictures of you in the
airport and in front of a restaurant also the Spa that you spent your first
night, so I feel really intouch with you it’s
very nice for me and everyone here.
Thank you again for another great up-date on the homepage.
Whom ever is doing the photos has done a great job, please say thank you to
them for us. You have given me inspiration to help make a homepage for you when
you come here. I hope we can do it as well as you have !!
3.共同製作
インターネットにより、グラフィックや音楽、テキストなどのデータを双方向でやりとりすることができる。その特性を生かし、小規模校の生徒たちの活動範囲を広げ、
遠隔地の中学生同士の交流を深めることをねらいとして、一つの作品を離れた学校の生徒同士で共同して完成させるという活動を行った。
ジョイントアート http://city.hokkai.or.jp/~higataka/joint.htm
トマム中学校と東鷹栖中学校の生徒間で行った。グラフィックソフトで作成した未完成の絵を送りあい、受け取った側が様々なアレンジを施し、完成させる。
(例)○送信側(未完成) → ○受信側(完成)
顔を描く → 洋服を描く
車を描く → 景色を描く
水槽を描く → 魚を描く
線画を描く → 色を塗る
ジョイントストーリー http://city.hokkai.or.jp/~higataka/jyoimain.htm
一方がオリジナルのストーリーを発信し、受信側がストーリーからイメージするグラフィックを作成する。
従来、生徒が共同製作をする場合は、学級、あるいは学校という枠から外へ出ることはなかった。しかし、インターネットを活用することにより、国内はもちろん、海外の生徒たちとも協力して一つの作品を仕上げるという活動が可能になる。特に僻地校の生徒にとっては、インターネット上に仮想的な学級を作り上げることにより、外部の大規模校の生徒とアドバイスしあいながら共同製作を進めることができる。これにより生徒の世界が広がり、新たな刺激を受け、新しい人間関係を築くことができる。
本校においては現段階では、まだ「遊び」のレベルであるが、インターネットを通じたデータ交流に慣れ親しませることにより、様々な学習に応用することができよう。
4.バーチャル時差体験 http://city.hokkai.or.jp/~higataka/vj.htm
インターネット上には公的、私的を問わず、街角や観光地のリアルタイム映像を24時間映し出しているライブカメラが接続されている。こちらからそのライブカメラにアクセスすることにより、居ながらにしてその映像を見ることができる。
このライブカメラは中学校地理的分野での時差の学習において効果的に活用することができる。各国の時差を計算で求めた後、実際の現地の様子をインターネット上のライブカメラの映像を見て、確認することができるのである。
生徒の、ライブカメラへの接続を容易にするために、教師側で世界主要都市に設置されたライブカメラへの接続先を集約したHPを作成し、生徒はそこから目的のライブカメラへマウス操作だけで接続できるようにした。
単なる計算と抽象的な概念づくりに終わりがちな時差学習に対して、「時刻が違う」という実際の結果をその目で確かめる活動を取り入れることにより、学習に対する意欲や定着度を高めることができる。
また生徒は、今この時間に日本にいる自分とは違う時間、違う空間を生きている人々がいるということをライブカメラを通じて体感することができる。そのことにより、世界の広さを知るか、あるいは逆に世界の身近さを知るか、それはそれぞれの生徒の感じ方によると思うが、インターネットを通じ、そのどちらかを考えるきっかけを与えることができると考える。
5.「わたしたちの町あさひかわ」
小学校中学年の郷土学習のために「わたしたちの町あさひかわ」という副読本が市教委より発行されているが、その一部をhtml化し、CD−ROMとして市内小学校に配布した。書物というメディアよりもパソコンという機器を通すことにより、子どもたちの学習意欲をより高めることをねらいとした。
また、html化することにより、将来的にはインターネット上に発信し、各地の副読本もリンクさせることにより、社会科学習において非常に効果的に活用できるサイトが構築されるのではないかと考える。
6.社会科リンク集
中学校社会科地理的分野での活用を視野に入れ、リンク集を作成し、各単元の学習でより理解を深めることを目的としてアクセスさせている。
特に、指導要領に基づいた学習課題を明確に位置づけ、その目標達成にふさわしいホームページを掲載するよう意識した。
例
九州地方
学習目標:「九州の工業は、現在、どのように変わろうとしているのだろうか。」
ホームページ:「八幡製鉄所」 http://www.yawata.nsc.co.jp/default.htm
鉄製品紹介や製造工程、製鉄所の歴史など、北九州工業地帯発展の原動力となった八幡製鉄所について詳しく調べることができる。
ホームページ:「スペースワールド」 http://www.spaceworld-inc.co.jp/
アトラクションやパビリオンなど、八幡製鉄所跡地に作られた遊園地スペースワールドのホームページ。
中国四国地方
学習目標:「中国・四国地方の交通の変化は、地域にどのような影響を与えているのだろうか。」
ホームページ:「本四連絡橋公団」 http://www.hsba.go.jp/index.htm
中国、四国地方の発展に大きな役割を果たしている数多くの連絡橋。それらを管理している公団のページで、橋周辺の道路網や橋を支える高度な技術について調べることができる。
近畿地方
学習課題:「京都の歴史的な建物や町並みなどの保存には、どのような問題があるのだろうか。」
ホームページ:「京都市」 http://www.pref.kyoto.jp/main.html