4.5.1 計画立案

1 ねらい

2 概要

3 参加校

4 方法

5 日程

6 指導上の観点


4.5.1 企画立案

 将来的にインターネットが、広域ネットワークにおける学習支援環境を実現するとしても、その根底において必要とされるのは人間同志の信頼関係である。そういった人間関係をどう構築していくかが、これからの情報化社会に必要とされる教育であろう。

 1 ねらい

本企画では、それぞれの高等学校でのインターネット活用の実践を基盤とし、それらが全国的に交流していくことでどの様なコミュニケーションが展開されるかに焦点を当て、次ぎに述べるような点をねらいとした。

(1)インターネットを補助的な手段として全国の高校生がコミュニケーションを持とうとするときに、生徒たちの内面や行動にどんな変化が生じて来るのだろうか。

(2)高校生という時期にあって、メーリングリストの運営などに係わり、生徒たちがどの様にして自主性や自律性を高めて行くのだろうか。

(3)学校という枠組みにとどまるにせよ、全国的な展開の中で行われるにせよ、学年制度による従来の横割りの交流から、新たに人間性を主軸においた人間関係の形成が期待できるのではないか。

(4)周囲の教師などからの支援が必要であるとしたら、どの様な場面において、どの程度の働きかけが適当であるのか。

以上の視点を持ち、インターネットが「インターラクティブなコミュニケーションを支援する環境」であるという立場から、その総合的な活用方法を探り実践し、効果を検証する。

このページの先頭へ

目次に戻る


 2 概要

高校生の広域ネットワークにおけるコミュニケーションが、自律的に段階的発展を遂げるように援助し、最終的には学習支援環境として機能するように、その枠組みの構築を行っていく。

基本的には、メーリングリストという仮想的な環境でのコミュニケーションを中心とする。適宜ビデオ会議などのシステムの利用も行い、仮想的環境と現実の間のギャップを埋めるべく努力する。昨年度の実践の流れを受けて、生徒の興味関心に合わせたメーリングリストの細分化を計り、その活性化を促す。また、生徒の「自律性の種蒔き」に関しては、教師の適当な支援を要することも明らかになってきている。

以上を実践して行くには、主体としての生徒、支援者としての教師の双方に、メーリングリストの運営者として核となるコア・メンバーが必要である。つまり、生徒会執行部ならびに生徒会指導部などという現実の学校組織の枠組みを流用し、抵抗なく活動していけるように配慮する。

仮想的なコミュニケーションが、現実の世界でのコミュニケーションにどんな影響を及ぼすかも、この研究の興味ある柱の一つである。このことを検討するために、ネットワーク・リーダーズ・キャンプを開催する。生徒や教師が実際に顔を合わせて、先進施設の見学や有識者との懇談、ネットワークやコミュニケーションに関しての検討や議論を行い、幅広い見識を身に付けようとするものである。

メーリングリストの活性化には、メーリングリストが議論や共同作業の場であるという理解も必要であるし、自ら考えそれを公の場にさらして検討を加えて行くという、意志決定への態度の育成も求められている。そこに時間を要することにはなろうが、次の段階であるメーリングリストの細分化こそが、学習支援環境としての成否に関わるものである。生徒の興味関心を上手に取り込む形で、どう環境を構築するかが大きなテーマである。

このページの先頭へ

目次に戻る


 3 参加校

本企画は段階的に実施することで、実践におけるねらいの拡散を防ぐと同時に、生徒のコミュニケーションが自律的に無理なく発展を遂げるよう考慮する。また、発展の進行状況によってはその運営を柔軟に考えることとし、生徒を無理に方向付けるような行為は厳重に慎むように留意する。

以上の理由により、メーリングリストの運営が軌道に乗ることを第一の目的として交流の対象校をしぼり、情報交換の主旨の徹底や方法手段の定着を図る。参加校については、担当の教員が運営にあたっての細やかな眼が行き届くように配慮する。また、特定地域に集中しないよう全国的な散らばり具合を考慮する。普通科・工業科・商業科などの校種も重要な配慮事項である。

対象校の生徒たちがインターネットにおけるコミュニケーションに慣れ、コミュニティとしてある程度成熟してきた段階で、自由な参加へと展開する。ここで期待されるのは、コミュニケーションがいままで生徒が経験したことのない広い範囲にまで外に向かって拡張して行くことであり、逆に問題意識が個人のものとしてしっかり内側に向かって自覚され始めることである。

       参加校             担当教員

    北海道旭川凌雲高等学校     (奥村 稔/早乙女 浩子)

    川崎市立商業高等学校      (吉野 勉/堀 正芳)

    川崎市立川崎総合科学高等学校  (宮澤 賀津雄)

    愛知県私立滝高等学校      (栗本 直人)

    京都府立工業高等学校      (田中 邦明/野村 善之)

    愛媛県私立松山東雲中・高等学校 (胡田 隈)

    大分県立津久見高等学校     (瑞木 圭二)

    熊本県立小川工業高等学校    (岩永 久幸)

このページの先頭へ

目次に戻る


 4 方法

  (1)情報交換の手段

メーリングリスト(以下MLと略す)を用いた電子メールの利用を基本とする。手紙や電話・ファックス・ポケットベルなどに次ぐメディアとしての電子メールは、生徒たちにどの様に意識されるのであろうか。電子メールの使い方はもちろんであるが、コミュニケーションの道具となったときの利便性や危険性についても、充分に体得させる必要がある。必要に応じて、インターネット上のその他の手段(CU-SeeMeなど)や、非電子ネットワーク的手段(電話・オフラインミーティングなど)を活用することも考慮する。

  (2)情報交換の運用体制

対象校の教員と生徒から、それぞれコア(核)になるメンバーを選出しMLを作る(コア教師MLとコア生徒ML)。一般の教員と生徒に対しても、それぞれML(一般教師MLと一般生徒ML)を作成し、互いの働きかけによってスムーズな全体の運営を目指す。ここでは、一般のMLはコアのMLを包含した形となっている。

本企画の具体的運用内容をコア教師が検討し、一般教師やコア生徒への周知を図る。一般教師は各自の学校において一般生徒を援助し、コア生徒はMLにおいて一般生徒が活動しやすいような交通整理をして行くのである。本研究の主題は、この一般生徒のMLがどのように運営されて行くかにあるが、これは原則としてコア生徒によって行われるものであり、このことで自律的な情報交換の促進が図られる。

  (3)情報交換の運用方針

生徒により自主的に考えられた様々なテーマについてのプレゼンテーション・交流・討議・共同学習などが想定される。MLの交流の中からこれらのテーマや具体的な行動が出てくることが期待されるが、あまりにもその動きが見られない場合には、教師の側からの援助が必要となろう。その場合の教員の姿勢は、基本的に生徒のコミュニケーションに直接口を出すことはせず、コア生徒へのヒント・アドバイス程度にとどめる。

生徒間のコミュニケーションは、原則としてML上で行うもの(個人間のコミュニケーションを禁止するものではない。)とし、教師は常に状況を把握できるように留意する。

  (4)オフライン・ミーティング

仮想コミュニティとしてのMLでの交流ばかりではなく、現実に顔と顔を付き合わした形でのコミュニケーションは生徒にどの様な影響を与えるであろうか。それらを別のものとしての論じるのではなく、互いの相互作用としてどの様なものがあり、相対的にコミュニケーションの場にどんな効果を及ぼすのであろうか。これらのねらいを達成すべく、非電子ネットワーク的手段として『ネットワーク・リーダーズ・キャンプ』を開催する。

内容としては、最新情報機器の見学や実習、インターネットの先端で活躍される有識者の講義、生徒達による討論や提言などが考えられる。雑誌やテレビなどで見るだけではなく、実際にもの触れたり、現場に立ったり、人間と会ったりすることがどんな感動を与えるのであろうか。

このページの先頭へ

目次に戻る


 5 日程

  《段階1》

(1)昨年度の交流実績、交流の構造などを示したWebを立ち上げ、新規の生徒や教師が交流に参入しやすいように便宜を図る。また掲示板システムなども構築し、メーリングリストだけでなく、交流の幅を持てるようにする。

(2)昨年度からの参加校が継続して交流しているが、各校の事情から夏休み明けになって生徒が参加可能になる場合がある。よって9月から、基本的枠組みを構築するため、一般生徒向けメーリングリストの正式運用を開始する。

(3)同時に、各校から2名前後の意欲ある生徒を推薦してもらい、コア生徒のメーリングリストを立ちあげる。一般生徒のメーリングリストの細分化や、交流の企画等について検討を行う。卒業生についても、アドバイザーとしての協力を拒まない。

  《段階2》

コア生徒は生徒の立場から、教師は可能な範囲で学習の見地からテーマを提案し、一般生徒向けメーリングリストを細分化し活性化を図る。この場合、コア生徒や教師が細分化されたメーリングリストの担当を分担し、運営をしていく。多くの発言を引き出すと共に、その内容の深まりを期待する。

  《段階3》

細分化されたメーリングリストの活動や、「自律的意見交換」としての枠組みが安定した段階で、全国の高等学校にアナウンスして、参加を呼びかける。

  《留意事項》

(1)生徒から提案されるテーマに偏りが出るのではないか。例えば音楽関係。

(2)教師が提案するテーマに、一般生徒が参加しないのではないか。それなりのテーマを我々も考える必要がある。

(3)長続きしないテーマもあるだろうが、メーリングリストの存続を引き延ばすようなことはしない。逆に、時代の流れに乗った、臨機応変なバブル的対応が望まれる。

(4)目的を持った細分化されたメーリングリストでは、「外部ボランティア」などを取り入れることも含めて、今年度はこの自律的意見交換を『物理的にも精神的にも開かれた学習環境』という捉え方で進めて行きたい。

(5)「自律の種を蒔く」という意味で、昨年度は控えていた教師の個別的支援を積極的に進める。

(6)全国に呼びかける段階で、学校単位に呼びかけるのか、それとも高校生個人での参加をも認めるのかという判断。

  1. ドッと参入者があったときにの、物理的・精神的混乱はないのか。

このページの先頭へ

目次に戻る


 6 指導上の観点

ネットワークでの交流にあたって、次のような場面に応じて、各項目を考慮しながら生徒の活動を支援・指導していく。これらについての達成度等から判断して、本企画の評価とする。

(1)導入

・個々の生徒がネットワークにおける交流に積極的に参加できるか。

・ネットワーク上での発言が積極的に行なえるか。

(2)運営

・ネットワーク上での発言が積極的に行なえるか。

・発言内容に責任をもっているか。

・自己の考えと異なる意見に対して感情的にならずに対応・交流ができるか。

・相手の意見を聞くことが出来るか、また相手の立場を尊重できるか。

・発言内容が人に見られていることを意識して発言しているか。

・ネットワーク上の参加者で情報を共有することができるか。

・参加者がネットワーク上の課題に対して協力して解決を図れるか。

・ネットワークを基にして仲間意識を育てることができるか。

・他の事象に対して正しく評価することができるか。

・ネットワーク上で既存の参加者が、新規参加者に対して適切な助言を行なえるか。

(3)活用

・理論的な考え方を意識できるか、また身につけることができるか。

・自己の考えと異なる意見に対して、感情的にならずに対応・交流ができるか。

・発言内容が人に見られていることを意識して発言しているか。

・自己や相手の意見に対して、客観的に発言内容を分析することが出来るか。

・必要とする情報を的確に収集することができるか。

・入手した情報について整理、分類、加工が出来るか。

・ネットワーク上の参加者で情報を共有することができるか。

・参加者がネットワーク上の課題に対して協力して解決を図れるか。

・問題意識を持つことができるか。

・自己の表現力・説明能力(プレゼンテーション能力)が向上したか。

・ネットワークを基にして仲間意識を育てることができるか。

・他の事象に対して正しく評価することができるか。

・ネットワーク上で既存の参加者が、新規参加者に対して適切な助言を行なえるか。

(4)表現

・交流相手に対して正確に自分の考えを伝えることができたか。


このページの先頭へ

目次に戻る