4.9.8 特殊教育からの提言

本利用企画では、特殊教育諸学校の事例に絞って考察してきたが、現実には小・中学校に設置されている特殊学級においても個々の障害に応じた指導が行われている。さらに、厳密には障害児と呼ぶことはできないものの、通常の学級にも軽度な障害を持つ児童生徒や様々な教育的な配慮を必要とする児童生徒が在籍している。こうした子どもたちへの個別的対応を行えるシステムはまだ未整備な状況であるが、特殊教育でかねてより行っていた心理・医療等の領域と連携した個別対応や個別の教育計画などを参考として、個々の児童生徒の多様な教育ニーズをとらえ、柔軟に教育サービスを提供していくことにより、個性を伸ばし、「生きる力」を持つ子どもの育成が具体化されるものと考えられる。

インターネットを含む広域ネットワークの利用においても、単なる情報技能に終わることなく、文化の創造やネットワークコミュニティづくりに直接的に関わっていくことで最終的に障害の改善・克服を目指しているといった、障害児の取り組みを客観的に受け止め、その生き方を通じて、すべての子どもたちがより人間らしい生き方を学び取ってほしいと願うものである。

このように、特殊教育から学ぶこと、還元されることがらはいわゆる健常児といわれている子どもたちにもたくさんあるのではないだろうか。表面的な交流や慈善を教えることより、直接生き方を学びあう方が、すべての子どもたちにとって、本当の相互理解と相互信頼を生むことになるのである。広域ネットワークの本来の意義は、こうしたところにこそあるものと考える。

機器の操作や利用に関しては、以前より「障害を持つ人に使いやすい機器は、高齢者や幼児、そしてすべての人にとって、使いやすいものである。」といわれている。この考え方は、教育すべてにも適用できる真理である。障害児にとって便利なものは、障害児にだけ恩恵があるのではなく、すべての人にとって意義あるものとして本来的に目指すべき未来につながっているのである。



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